児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童生徒が利用する携帯電話等をめぐる問題への取組の徹底について(通知)

 文科省に電話で教えてもらいました。
 弁護人の使い途としては、こういう通知に反した利用のあげくに被害に遭った場合、被害者側の落ち度として評価してもらえないかと思って。

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/04121502/056.htm
児童生徒が利用する携帯電話等をめぐる問題への取組の徹底について(通知)
20文科初第49号
平成20年7月25日

都道府県教育委員会教育長殿
各指定都市教育委員会教育長殿
都道府県知事殿
各指定都市長殿
附属学校を置く各国立大学法人学長殿

文部科学省初等中等教育局長
金森 越哉

(印影印刷)

文部科学省スポーツ・青少年局
山中 伸一

(印影印刷)

 児童生徒が、携帯電話のメールやインターネットを利用する機会は、近年急激に増加してきており、それに伴い、インターネット上の学校非公式サイト(いわゆる「学校裏サイト」)等を利用し、特定の児童生徒に対する誹謗中傷が行われるなど、「ネット上のいじめ」という新しい形のいじめの問題が生じています。また、児童生徒がいわゆる出会い系サイト等のインターネット上の有害な情報に携帯電話からアクセスし、犯罪に巻き込まれる事件も相次いでいます。
 このような中、今般策定された「教育振興基本計画」(平成20年7月1日閣議決定)においては、今後5年間に取り組むべき施策として、いじめ等に対する取組や青少年を有害環境から守るための取組を推進していくこととされています(別添1)。さらに、このたび取りまとめられた池坊文部科学副大臣主宰の「子どもを守り育てる体制づくりのための有識者会議まとめ【第2次】」(平成20年6月、別添2)においては、携帯電話の利用実態の把握や保護者等への理解促進とともに、学校での携帯電話の取扱いに関するルールを策定することが必要である等が提言されているところです。
 特に、学校における携帯電話の取扱いについては、一律に持ち込みを禁止している場合や、条件付きで持ち込みを認めている場合など、多くの学校で地域の実態に応じて指針を策定し、それに基づいて既に指導を行って頂いていると承知しています。しかしながら、一部の学校においては、こうした指針が策定されておらず、学校としての方針が明確になっていない場合も見受けられることから、学校における携帯電話の取扱いに関する方針を明確化し、教職員及び保護者の間で共通理解を図り、児童生徒への指導の充実をより一層図っていくことが必要です。
 ついては、貴職におかれては、これら教育振興基本計画や関連する法令等(別添3)の動向を踏まえつつ、下記1〜5のそれぞれの事項に十分ご留意の上、関係部署、関係機関と連携しつつ、携帯電話の利用の実態の把握、学校における携帯電話の取扱いに関する方針の明確化、情報モラル教育の充実及び携帯電話等を通じた有害情報に関する啓発活動等について、各地域の実情に応じて更なる取組の充実を図るようお願いします。
 なお、都道府県・指定都市教育委員会にあっては所管の学校及び域内の市区町村教育委員会等に対して、都道府県知事にあっては所轄の私立学校に対して、この趣旨について周知徹底を図るとともに、適切な対応がなされるよう御指導をお願いします。

1 携帯電話等の利用の実態の把握について
 児童生徒の携帯電話の利用をめぐっては、過度に携帯電話に依存している状況や携帯電話を通じたいじめ・犯罪・被害に巻き込まれたりする問題が指摘されている一方、いまだ保護者をはじめとする関係者の認識が十分ではないことも課題として指摘されている。このため、各教育委員会等においては、個人情報の取り扱いに留意しつつ、インターネットやメールの利用を中心に携帯電話の利用の実態を把握し、その結果を踏まえて、教職員や保護者等が適切に対応することが必要である。このため、各地域の実情を踏まえつつ、日頃より児童生徒の携帯電話等の利用の実態の把握に努めること。

2 学校における携帯電話の取扱いに関する方針の明確化について
(1) 各学校及び教育委員会においては、学校における携帯電話の取扱いに関して、以下の指針例を参考とし、児童生徒の発達段階を踏まえつつ、各学校や地域の実態に応じて方針を明確化し、指針を作成するなどして、児童生徒及び保護者に周知するとともに、児童生徒への指導を徹底すること。
【指針例】
 発達段階を考慮し、小中学校においては、学校への児童生徒の携帯電話の持ち込みについては、原則禁止とすること。
 児童生徒の通学時における安全等の観点等特別やむを得ない事情から、携帯電話の学校への持ち込みが必要と判断される場合は、学校長の判断により、例えば居場所確認や通話機能に限定した携帯電話の持ち込みを可能とすること。
 学校への持ち込みを認める場合には、校内での使用を禁止したり、登校後に学校で一時的に預かり、下校時に返却したりするなど、学校での教育活動に支障がないように配慮すること。
(2) 指針の作成及び実施にあたっては、あらかじめ保護者等への周知を行うなど、学校の取組に対する理解を得て、協力体制を構築することが望ましいこと。
3 「ネット上のいじめ」等に関する取組の徹底について
 「ネット上のいじめ」を含むいじめ等に対する取組については、教育振興基本計画において、「未然防止、早期発見・早期対応につながる効果的な取組や関係機関等と連携した取組、いじめられている児童生徒の立場に立った取組を促進する」としており、各学校及び教育委員会においても、「いじめの問題への取組の徹底について」(平成18年10月19日付け18文科初第711号初等中等教育局長通知)を踏まえ、更なる取組の徹底を進めていくこと。
 なお、各学校等において、「ネット上のいじめ」問題への取組を進めるに当たっては、「子どもを守り育てる体制づくりのための有識者会議まとめ【第2次】」における提言を受け、国が、今後作成・配付することを予定している「対応マニュアル(例)」や「事例集」の活用なども考えられること。

4 学校における情報モラル教育の取組について
 情報化の影の部分への対応として、他人への影響を考えて行動することや有害情報への対応などの情報モラル教育をしっかりと教えることが重要であり、次の点に留意して取り組むこと。

(1) 情報モラル教育については、学校全体で取り組むとともに、家庭との連携を図りつつ、指導を行うことが必要であること。
(2) 新学習指導要領の実施も踏まえ、各教科等の指導の中で、小学校低学年から発達段階に応じて情報モラルを取り扱うことが必要であること。
(3) 学校における情報モラルの指導に当たっては、文部科学省で作成した指導モデルカリキュラムや指導事例を紹介する教員向けWebサイト等を活用することや、子ども向けリーフレット(「ちょっと待って、ケータイ」)等を教材として利用することが有効であること。また、「ネット上のいじめ」や学校裏サイト等の実態等、児童生徒の携帯電話等の利用に関する最新の情報を入手して指導することが重要であること。
5 有害情報に関する啓発活動の推進について
 特に携帯電話等を介して、児童生徒がインターネット上の有害情報に容易に接し、被害に遭いやすい状況にある(別添4)。このような中、平成20年6月18日に公布された「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」においては、国及び地方公共団体は、家庭における青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの利用の普及を図るため必要な施策を講じること(第14条)、インターネットの適切な利用に関する広報啓発等を行うこと(第15条)とされている。また、「子どもの携帯電話等におけるフィルタリングの普及促進に向けた啓発活動について」(平成20年3月21日付け19文科ス第599号スポーツ・青少年局長等通知)においては、

 子どもが出会い系サイト等に携帯電話等を通じてアクセスし、トラブルや犯罪にあう被害が依然として多発していること
 犯罪と無関係と思われるウェブサイトでも、掲示板などのコミュニケーション機能がある場合、お互いの連絡先等を交換して、出会い系サイトのように利用され、子どもが犯罪に巻き込まれる可能性があり、また、実際に犯罪被害も生じていること
 子どもを犯罪被害から守るためには携帯電話等にフィルタリングを利用することが有効であること
 携帯電話等で利用できるフィルタリングにはホワイトリスト方式とブラックリスト方式があり、子どもの年齢や利用実態を踏まえ適切なフィルタリングを選択する必要があること
等について理解し得るようきめ細かな内容を伝えることに留意し、学校関係者や保護者をはじめ住民に対する啓発活動に取り組んでいただくよう依頼したところである。
 今後は、これらの内容を踏まえ、保護者をはじめとする関係者に対し、入学式時の保護者説明会など効果的な説明の機会を捉えて携帯電話等を通じた有害情報の危険性や対応策についての啓発活動を行い、児童生徒が使用する携帯電話等においてフィルタリングが利用されるよう努めること。
 その際、保護者や地域住民に対して、上記1.の調査結果についても併せて周知したり、「e−ネットキャラバン(e−ネット安心講座通信業界キャラバン)」(平成19年11月7日付け19生参情第18号生涯学習政策局参事官等通知)や「インターネット安全教室」(経済産業省警察庁NPO等と連携して実施)、「非行防止教室、サイバーセキュリティカレッジ」(都道府県警察が実施)等を活用したりするなど効率的・効果的な取組を推進すること。