児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

少年法37条の削除に関する国会審議

 これだけですね。参考人のコメントもない。
 「家裁の専属管轄だ!」って大見得切っていた割には極めてあっさり放棄。
 弁護士もあまり知らないことですが、量刑の支障ですよね。
 児童淫行罪と製造罪の罪数処理も小さな論点になって、児童淫行罪の機会の製造罪が多用されると思います。
 略式手続が適用になって、量刑はどう動くかに注目しています。

http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/000416920080530014.htm
第14号 平成20年5月30日(金曜日)
神崎 武法君
法務省刑事局長)    大野恒太郎君
○神崎委員 子供が被害者になった成人の犯罪の管轄の問題ですけれども、これを地方裁判所に変更することにいたしましたけれども、これはなぜこのように変更することとしたのかお伺いをします。
○大野政府参考人 現行の少年法は、少年法三十七条一項に掲げる児童福祉法違反等の少年の福祉を害する成人の刑事事件につきましては、家庭裁判所が管轄権を有するものとしているわけであります。

 この理由でありますけれども、こういう成人の刑事事件は、少年事件を専門に扱って少年に理解のある家庭裁判所が取り扱うのが適当であるというのが一つ目の理由、それから二つ目の理由は、こうした事件は少年事件の調査の過程で発覚することが多く、証拠関係も少年事件と大部分が共通することから家裁が扱うのが便宜である、こういうことで、家裁の管轄権に属せしめられたと考えられているわけであります。

 しかし、実際のところ、刑事事件担当の裁判官も少年に対する理解を十分に有しておりまして、適切な対応が可能でありますし、また、少年保護事件と少年の福祉を害する成人の刑事事件の証拠関係が共通であるからといっても、少年保護事件の証拠が自動的に刑事事件の証拠になるわけではありません。

 さらに、今のような家裁管轄の状況ですと、当該の成人につきまして、家裁が管轄を有する少年法三十七条一項に掲げる事件とそれ以外の地裁が管轄を有する事件がいわゆる併合罪の関係にある場合に、家裁と地裁に別々に訴えを提起することになりまして、それによって審理期間が不当に長くなったり、あるいは併合して一括して審理された場合とは異なる刑が言い渡されるという不都合があるわけであります。

 また、家裁管轄の成人の刑事事件につきましては、家庭裁判所に起訴されるということで、簡易裁判所で出されることになる略式命令による処理ができないという不都合もあるわけです。

 そこで、今回、少年法三十七条を削除いたしまして、同条一項に掲げられた少年の福祉に係る成人の刑事事件につきましても、ほかの事件と同様に地方裁判所等で取り扱うこととしたものであります。