児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

出会い系サイトにおける投稿者(児童又は児童を誘う大人)の表現の自由

 管理者による削除が表現の自由の侵害ではないかという検討がありますが、表現行為自体が犯罪とされている場合は、その刑罰法規の合憲性が問題になって、仮にその刑罰法規が合憲であれば、それを管理者が削除するのに表現の自由を持ち出す必要はないですよ。
 誘引罪の犯人から訴えられることを気にしているようです。
 なんか業者の責任ばっかり気にした議論が多いですね。
 むしろ問題にすべきなのは、誘引行為の書き込みを放置した事業者の不作為犯ですよね。犯罪的に違法なんだから。

http://www.npa.go.jp/cyber/deaimeeting/h19/youshi3.htm
第3回 出会い系サイト等に係る児童の被害防止研究会議事要旨
1 日 時  平成19年11月30日(金) 13:00〜15:00
2 場 所  当庁19階 庁議室

http://www.npa.go.jp/cyber/deaimeeting/h19/doc3/3-6.pdf
児童に関係する書き込みの削除義務について
表現の自由との関係で慎重な検討をすべきではないか
→ 出会い系サイトではそもそも児童の利用が認められていないので、児童に関係する書き込みを削除したとしても、投稿者(児童又は児童を誘う大人)の正当な権利利益を侵害することとはならないのではないか。【別紙1】
【別紙1】
出会い系サイト上の書き込みの削除義務と表現の自由について
(※1及び2は、芦部信喜憲法第四版及び憲法学Ⅲによる。)
3 出会い系サイト上の書き込みの削除義務と表現の自由について
今回、事業者が児童に係る誘引を知ったときの削除義務を課すことを予定している。当該規制は出会い系サイトにおける「児童の表現の自由」及び「児童を誘引しようとする児童以外の者の表現の自由」を制約するものである。
「児童」の「表現の自由」の制約については、現行法で児童の出会い系サイト利用が認められていないことによって、出会い系サイトにおける児童の表現行為は既に制約されているので、削除義務によっても実質的な不利益の変更はない。よって、表現の自由を侵害しない。
「児童を誘引しようとする児童以外の者」の「表現の自由」の制約について、判例の採用する合理的関連性の基準に照らして検討すると、①出会い系サイトに関連する児童被害の発生実態を踏まえれば、出会い系サイトの利用に起因する犯罪から児童を保護するという立法目的は正当であり、②児童の利用が認められていない出会い系サイトにおいて、児童を相手方とする誘引は法律上存在しない受け手に向けられた情報の伝達といえることから、こうした表現の自由を保護する必要性は相対的に低いので、児童保護ためにこれらを事後的に規制することは必要かつ合理的な規制手段であり、③当該規制により判断力の未熟な児童を児童売春等の犯罪から保護できる利益は、法律上存在しない受け手に向けた表現行為を行うことによる利益に比して大きいことから、表現の自由を侵害しない。
なお、文面上児童による誘引のうち児童以外の者が児童を装って行うものについては、児童の利用が認められていない出会い系サイトにおいて児童を装って行う表現行為であるから、こうした表現の自由を保護する必要性も相対的に低いと考えられるため、表現の自由を侵害しない。
よって、当該規制は表現の自由を侵害しない。