最高裁は社会見解上1個かどうかというんですが、結局、a罪とb罪ではどうかという総当たりの組み合わせで、ケースごとに決めてるんですよね。
'①構成要件的行為の重なり合いが認められ'観念的競合にあたるとされたもの、
②構成要件的行為の重なり合いが認められないのに、観念的競合にあたるとされたもの、
③構成要件的行為の重なり合いが認められるのに'観念的競合の成立が否定されたもの
なんて言い出したら、構成要件の重なり合いがあってもなくても、観念的競合になったりならなかったりということになります。
最高裁S49.5.29
刑法五四条一項前段の規定は、一個の行為が同時に数個の犯罪構成要件に該当して数個の犯罪が競合する場合において、これを処断上の一罪として刑を科する趣旨のものであるところ、右規定にいう一個の行為とは、法的評価をはなれ構成要
件的観点を捨象した自然的観察のもとで、行為者の動態が社会的見解上一個のものとの評価をうける場合をいうと解すべきである。
林正彦観念的競合における「一個の行為」について
判例の分析
判例を整理・分析するに際し、いかなる基準・方法によるべきかは一つの問題である。そして観念的競合の成否については構成要件的行為の重なり合いの有無が重要な確認方法であると考えられるので'ここでは'①構成要件的行為の重なり合いが認められ'観念的競合にあたるとされたもの、②構成要件的行為の重なり合いが認められないのに、観念的競合にあたるとされたもの、③構成要件的行為の重なり合いが認められるのに'観念的競合の成立が否定されたもの'に分類して代表的なものを掲げ'判例の考え方に迫ってみたい