この判例の後は、大阪でも破棄されないらしいです。
刑事の控訴審で法令適用が割れるのは時々あって、「わからないから最高裁に聞いてくれ」という投げやりな判決もあります。
2 東京高裁では,原判決のような立場の判断が続いていた一方,大阪高裁では職権破棄が続出し,「処理の方法が東京と大阪の両高裁でほぼ正反対となっている不思議と言えば不思議な現象である。」(白井万久 自由と正義2006年10月号5頁以下)と指摘されていた。筆者は,東京(高裁)と大阪(高裁)の違いという点で,かつて読んだ写真面割りの証拠価値確保の条件」と題する論考に「事案は,まったく同じようなものであり,写真面割りその他の捜査手法もそれほど有意な差があるわけではないのに,一方は無罪を維持し,他方は無罪を破棄して有罪としている。両者の論理をみると,関西は直感的,感覚的であり,その根底にともかく無罪にしようという方針が働いていると思われる。)に対し,関東は,論理的,分析的であり,少なくとも白紙の状態で判断しようとしているように思われ関東と関西の裁判官の気質の差を如実に表しているといえる。」(河上和雄・判タ579)と述べられていたのを連想させられてもいた。
(法務総合研究所教官村瀬正明)
たとえば、児童淫行罪と児童ポルノ製造罪の罪数処理(併合罪か観念的競合か?)については、
観念的競合説 東京高裁H17 大阪高裁H18
併合罪説 大阪高裁H18
という感じで割れています。
被告人も弁護人も共通なのに大阪高裁が割れていますから、東西の裁判官気質というわけではなく、単にわからないんでしょうね。