瀬戸毅(刑事局国際課国際刑事企画官)さん。
研修700号記念号に載せていただきました。
弁護人の悪口は書いていません。
本件は,それ自体は販売の対象とされていないわいせつ物に該当する児童ポルノ画像を保存した光磁気ディスクについて,「販売の目的」を認めた判例であるが,従前議論されていた,わいせつな画像を含むビデオテープで,それ自体を販売する意図はないが,当該テープを複製したテープ(いわゆるダビングテープ)を販売する意図であった場合に,当該原本となるビデオテープ(いわゆるマスターテープ)を所持する行為をもって,刑法175条後段のわいせつ文書販売目的所持罪に当たるかという論点について,事例は異なるものの,止面から取り上げた初めての最高裁判例であり,実務上の影響も大きいと思われることから,若干の解説を加えるものである。
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そ の 他
本罪の成立を認める説の中には,わいせつな電磁的記録が保存されている有体物を本罪の対象とするのではなく,電磁的記録自体を対象とすることにより解決を図ろうとするものがあり判例の中にも,わいせつな画像データそのものがわいせつ物であるとするものがあるが,わいせつな画像データを記憶,蔵置させたホストコンピュータについて,本条が定めるわいせつ物に当たるとした最高裁決定(平成13年7月16日刑集55巻5号317頁)が出たこともあり,画像データそのものをわいせつ物として構成することは困難であろう。
その後、マスターテープの事件について、大阪高裁h18.10.20が出ていますが、この判例が持ち出されています。
高裁は当然判例を知っているので、控訴趣意書にも
最近の判例は言われんでも知っとるわ。判例の事件の弁護人じゃ
って書いておきました。