児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

[ハイテク犯罪・サイバー犯罪] インターネット上の違法・有害情報への対応に関する研究会最終報告書」の公表

 で、東京の偉いさんによれば、掲示板管理者の刑事責任は、当分、地方の裁判所でコツコツやれということですね。

http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/060825_6.html
http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/pdf/060825_6_1.pdf

1 電子掲示板の管理者等が他人の掲載する情報を放置した場合の法的責任
(1)刑事上の責任
電子掲示板の管理者等が、他人の掲載した違法な情報を放置した場合の刑事責任については、実行行為を作為(違法な情報が掲載されたディスクアレイの陳列)と捉えるか不作為(他人により掲載された違法な情報について送信防止措置を行わないこと)と捉えるか、正犯と構成するか従犯と構成するか等の法的構成に関する問題があり、これらの法的構成によって問題となる点も異なるものと考えられる。17この点、電子掲示板の管理者等について他人の掲載した違法な情報に関して刑事上の責任が肯定された裁判例18は、いずれも電子掲示板の管理者等において違法な情報の流通について積極的な関与が認められる事案であり、単に違法な情報の存在を認識したが、これについて送信防止措置を行わず放置したことのみを理由として刑事上の責任が認められたものではないと解される。
したがって、現時点においては、電子掲示板の管理者等において、違法と思われる情報について単に送信防止措置を行わないというだけでは、他に特段の事由がない限り、刑事上の責任を問われるおそれが高い状況ではないと考えられる。
しかし、電子掲示板の管理者等として、他人が掲載した違法な情報の流通に対してどの程度の関与があれば積極的な関与があるとして刑事責任が認められることになるかについて明確な基準が示されているものではないため、今後の裁判例の動向等を注視する必要がある。
将来的に、電子掲示板の管理者等が、他人の掲載した違法な情報を放置していた場合の刑事上の責任について、その範囲を明確にする必要が生じた場合等においては、諸外国の法制度を参考にしつつ立法措置を講ずることの検討も必要になる可能性があると考えられる。





第5 違法な情報への対応に関する提言
インターネット上を流通する違法な情報のうち、権利侵害情報については、プロバイダ責任制限法関係ガイドラインが存在しており、権利侵害情報の判断基準等を規定するほか、法務省人権擁護局からの削除依頼又は信頼性確認団体を経由した削除依頼等の仕組みにより、電子掲示板の管理者等による情報の権利侵害性の判断を支援しているところである。
上記の取組を参考に、インターネット上を流通する社会的法益等を侵害する違法な情報に対する電子掲示板の管理者等による送信防止措置を効果的に支援する方策を検討すると、違法な情報の判断基準等を提示するとともに、違法性の判断に関して専門的知見、経験等を有する機関(組織)からの削除依頼については、仮に、電子掲示板の管理者等が違法ではない情報について誤って送信防止措置を行った場合でも、裁判所によって、送信防止措置について、当該情報の流通が違法であると信じるに足りる相当の理由があり故意又は過失がないと判断されることが期待されるような仕組みを構築することが考えられる。
具体的には、違法な情報の例示及び判断基準を提示するとともに、警察等、社会的法益を侵害する違法な情報について法令の解釈及び具体的事案における適用に関して専門的知見を有する機関からの送信防止措置依頼に対して、電子掲示板の管理者等が対応手順等を参照できる違法な情報への対応ガイドラインを策定し、電子掲示板の管理者等による送信防止措置を支援することが考えられる。