児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

[性犯罪] 強制わいせつに児童ポルノ罪が併合された事例(仙台地裁H18.9.28)

 画像が流出した模様です。
 製造罪とは併合罪で処理されると思われますが、疑問です。

連続わいせつ 元陸自隊員に懲役12年求刑=宮城
2006.08.05 読売新聞社
 元自衛官による女子中学生への連続強制わいせつ事件で、5件の強制わいせつと児童買春・児童ポルノ禁止法違反などの罪に問われている被告(26)の公判が4日、仙台地裁(山内昭善裁判長)であった。検察側は論告で「被害少女の人格を全く無視しており、情状酌量の余地がない」と述べ、懲役12年を求刑した。

http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/miyagi/news/20060805ddlk04040652000c.html
被告は裁判官の質問に対し「知人から少女のわいせつ画像をもらううちに、自分も撮ってみたいと思うようになった」と動機を説明。検察側は「卑劣、陰湿で少女の人格を極限まで踏みにじる行為」と指摘した。毎日新聞 2006年8月5日

追記
 「わいせつ」なんて無限定だから、撮影行為も含む。
 撮影行為自体が、従来、強制わいせつの実行行為とされてきて、いまでもそうなのに、児童ポルノ製造罪を立てると、併合罪になるのはおかしい観念的競合。なお、児童淫行罪の性交・性交類似行為とは観念的競合(判例)。
 製造罪の個数については、被害児童の数にかかわらず、包括一罪にする裁判例が複数ある。

 とすれば、撮影を伴う数個の強制わいせつ罪は、製造罪をかすがいにして、一罪となる。「かすがい」は「現象」だからしょうがない。
 変な結論だが、裁判例の集積による帰結であって独自の見解とは言わせない。児童ポルノ罪の保護法益と罪数をよく考えなかった(そんな言葉も知らなかったであろう)立法者の責任だと考えています。