これ、判決書もらいたい事件です。
まず、報道によれば隠し撮りの事案です。
盗撮は、3項製造罪(姿態とらせて製造)にならないって、島戸検事が書いちゃったし、判例も微妙に分かれたからなあ。そもそも「姿態とらせて」という構成要件は、盗撮を除外するために設けたとか書いちゃった。
児童淫行罪の犯人自ら、カメラを仕掛けたのであれば、撮影された内容=淫行は、全部演技なんだから、「姿態とらせて」と言えないこともない。微妙です。捜査弁護が必要です。
撮影行為自体を児童淫行罪の実行行為とした裁判例もあるから、そこで落ち着くか。
さらに、製造罪をどっちに起訴するかが問題だな。
児童淫行罪と3項製造罪(姿態とらせて製造)との罪数関係については、東京高裁は観念的競合。奈良地裁家裁は併合罪。
大阪高裁が熟考中。奈良地検と大阪高検に聞けば、成り行き上併合罪と答える。東京高検(東京地検、横浜地検)は、成り行き上観念的競合だと答える。また罪数評価でねじれてる。
まあ、名古屋地検の独自性というか(日本法からずれた)名古屋法というかとうのもあるので、わからない。
こんなこと被告人も弁護人もしるよしもないが。知らないまま裁判受けているのもお気の毒だ。
名古屋地検岡崎支部は28日、同市の市立中学校教諭=県青少年保護育成条例違反の罪で起訴=を児童福祉法違反(いん行)の罪で、名古屋家裁岡崎支部に追起訴した。
児童買春・児童ポルノ禁止法違反(児童ポルノの製造)容疑でも再逮捕されたが、地検は同容疑については「捜査中」としている。
2006.07.29毎日新聞社
同時進行して二重評価されて実刑というのはお気の毒なので、大前提の弁護方針としては、地裁事件と家裁事件の進行をずらすこと。ロリコン加重の二重評価を防ぐため。2週間くらいずらさないと、一方の公判調書を他方に出せない。
岡崎支部だと、地裁も家裁も同じ裁判官になるんですが、そこで手を抜かない。証拠じゃなくても、上申書でもなんでもいいから、記録に残る書面で、他方の事件の存在をアピールしておく。
それでも、証拠までは見せられないから、併合の利益が十分考慮されているとはいいがたい。
判決は、両方実刑か、両方執行猶予じゃないとおかしい。