児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

上告審としての事件受理申立における判決書謄本添付について

 刑事訴訟で、この手続だけは有料なんです。
 かねがね疑問に思っているのですが、判断してもらえるでしょうか?

 規則258条の3第1項により本申し立てには原判決の謄本添付が要求され、添付しない申し立ては却下される。

規則第258条の3(事件受理の申立理由書・法第四百六条)
申立人は、前条第二項の規定による謄本の交付を受けたときはその日から、前条第一項但書の場合には第二百五十七条の申立をした日から十四日以内に理由書を原裁判所に差し出さなければならない。この場合には、理由書に相手方の数に応ずる謄本及び原判決の謄本を添附しなければならない。
2 前項の理由書には、第一審判決の内容を摘記する等の方法により、申立の理由をできる限り具体的に記載しなければならない。

 ところで、判決謄本請求は有料であって、費用免除の途はない。

法第46条〔謄抄本の請求〕
被告人その他訴訟関係人は、自己の費用で、裁判書又は裁判を記載した調書の謄本又は抄本の交付を請求することができる。

刑事訴訟法施行法
第十条  新法第四十六条の規定により訴訟関係人から裁判書又は裁判を記載した調書の謄本又は抄本の交付を請求する場合の費用の額は、当分の間、その謄本又は抄本の用紙一枚につき六十円とする。第二条の事件について旧法第五十三条の規定により請求する場合についても、同様である。
2  前項の費用は、収入印紙で納めさせることができる。

 本件では、原判決は  枚あるので、円の印紙を納めた。 弁護人は「謄本」交付のために、印紙の納付を余儀なくされたのである。
 要するに、上告審としての事件受理申立にはお金が必要なのである。
 およそ、刑事事件における申し立てには費用を要しないにもかかわらず、これだけは、費用を払わないと最高裁の判断を得られないのである。
 これは、裁判を受ける権利(憲法32条、37条)に違反する。申立にあたり謄本が不可欠だという規則及び、謄本交付請求にあたり費用負担を強いる法律は、上記の観点からは無効である。

 これ申し立てると、上告理由が増えるのと、判決書が早いような気がするのと。
 謄本を要求される(コピー不可)のですが、別ルートで判決書がFAXされてきたりすると、何のためにお金払って謄本とらなあかんの?という気がします。
 なお、検察官には無料で交付されます。判決の執行のためらしいです。