児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「選挙運動期間中に開設または書き換えする」の出典は?

http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20050826/1125048841の続き。

 「頒布」にはうるさいんですよ。
 「頒布」概念の相対性ということで公選法についても調べたことがあります。ここでも有体物にこだわった規制なので、電話攻勢になるのかと納得。

 しかし、規制しながら「更新しなければいい」というのが一貫してないというか間抜けですよね。
 刑事法的に考えると、web掲載による法益侵害については「継続犯」だという高裁判例もいくつかあって、継続犯だとすれば、要件が揃った時点以降について、犯罪成立です。

http://www.google.co.jp/search?sourceid=navclient&hl=ja&ie=UTF-8&rls=GGLG,GGLG:2005-35,GGLG:ja&q=%E9%81%B8%E6%8C%99%E9%81%8B%E5%8B%95%E6%9C%9F%E9%96%93%E4%B8%AD%E3%81%AB%E9%96%8B%E8%A8%AD%E3%81%BE%E3%81%9F%E3%81%AF%E6%9B%B8%E3%81%8D%E6%8F%9B%E3%81%88%E3%81%99%E3%82%8B
Q  インターネットで選挙運動はできますか?
 できません。パソコンのディスプレーに表示される文字等は,公職選挙法に規定する「文書図画」にあたり,パソコンのディスプレーに表示された文字等を一定の場所に掲げて人に見えるようにすることは「掲示」に,不特定又は多数の方の利用を期待してインターネットのホームページを開設することは「頒布」にあたると解されておりますので,選挙運動に使用することはできません。
 公職選挙法では,「文書図画による選挙運動」は法律で認められた手段(選挙用ポスターや葉書など)以外は一切使用できないと包括的に規制されていますので,純粋な政治活動として使用するホームページであっても,選挙運動期間中に開設または書き換えすることは,選挙運動の禁止を免れる目的と認められる場合には公職選挙法第146条(文書図画の頒布又は掲示につき禁止を免れる行為の制限)違反となります。

公職選挙法
第146条(文書図画の頒布又は掲示につき禁止を免れる行為の制限)
何人も、選挙運動の期間中は、著述、演芸等の広告その他いかなる名義をもつてするを問わず、第百四十二条又は第百四十三条の禁止を免れる行為として、公職の候補者の氏名若しくはシンボル・マーク、政党その他の政治団体の名称又は公職の候補者を推薦し、支持し若しくは反対する者の名を表示する文書図画を頒布し又は掲示することができない。
2 前項の規定の適用については、選挙運動の期間中、公職の候補者の氏名、政党その他の政治団体の名称又は公職の候補者の推薦届出者その他選挙運動に従事する者若しくは公職の候補者と同一戸籍内に在る者の氏名を表示した年賀状、寒中見舞状、暑中見舞状その他これに類似する挨拶状を当該公職の候補者の選挙区(選挙区がないときはその区域)内に頒布し又は掲示する行為は、第百四十二条又は第百四十三条の禁止を免れる行為とみなす。

 その「更新しなければいい」というのは自治体の選管サイトにもそう出ていますが、「選挙運動期間中に開設または書き換えする・・・」という中央選管の見解の根拠というのはどこにあるかというと・・・

「選挙時報」H9.01 
また、純粋な政治活動として使用するホームページであってら、選挙運動期間中に開設又は書き換えをすることについては、選挙運動の禁止を免れる目的と認められる場合には同法第一四六条違反となり、そのように認められない場合であっても政党その他の政治活動を行う団体か開設又は書き換えをするホームページに当該選挙区の特定候補者の氏名又は氏名類推事項が記載されている場合には同法201条の13違反となるのである。

なお、選挙運動期間前に開設した純粋な(選挙運動性がない)政治活動としで使用するホームページが選挙運動期間に入った場合には直ちに違法となるものではないので、このような場合にそのホームページのアドレスを選挙運動用ビラ、ポスター、選挙公報等の選挙運動の手段の中で紹介したとしても、そのホームページの内容自体に選挙運動性がない以上差し支えないであろう

・・・・・・
参考
平成8年10月28日
自治省行政局選挙部選挙課
 平成8年10月2日付け<回答願>について以下のとおり回答します。
A-1(規制の合憲性)
 公職選挙法第142条の合憲性については、昭和39年11月18日最高裁判所判決等により、同法第143条の合憲性については、昭和30年4月6日最高裁判所判決等により、それぞれ確認されております。
A-2(構成要件該当性)
  a)「文書図画」
 公職選挙法の「文書図画」とは、文字若しくはこれに代わるべき符号又は象形を用いて物体の上に多少永続的に記載された意識の表示をいい、スライド、映画、ネオンサイン等もすべて含まれます。したがって、パソコンのディスプレーに表示された文字等は、公職選挙法の「文書図画」に当たります。
  b)「頒布・掲示」
 公職選挙法の「頒布」とは、不特定又は多数人に文書図画を配布することをいい、従来より、文書図画を置き、自由に持ち帰らせることを期待するような相手方の行為を伴う方法による場合も「頒布」に当たると解しております。また、「掲示」とは、文書図画を一定の場所に掲げ、人に見えるようにすることのすべてをいいます。したがって、パソコンのディスプレーに表示された文字等を一定の場所に掲げ、人に見えるようにすることは「掲示」に、不特定又は多数の方の利用を期待してインターネットのホームページを開設することは「頒布」にあたると解しております。
3.(政党等の政治活動規制)
 公職選挙法の「文書図画」の解釈は、A-2 a)のとおりですので、文書図画として同法第201条の13の規制を受けますし、更に、立札及び看板の類としての態様において用いられれば、同法第201条の5の規制を受けます。
 政治活動とは、一般的抽象的には、政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、若しくはこれに反対し、又は公職の候補者を推薦し、支持し、若しくはこれに反対することを目的として行う直接間接の一切の行為をさすということができますが、公職選挙法にいう「政治活動」とは、上述の一般的抽象的意味での政治活動のうちから選挙運動にわたる行為を除いた行為であると解されております。
 したがって、選挙運動にわたる政治活動は、公職選挙法においては、政治活動としての規制ではなく、選挙運動としての規制を受けることとなります。なお、公職選挙法にいう「選挙運動」とは、「特定の公職の選挙につき、特定の立候補者又は立候補予定者に当選を得させるため投票を得又は得させる目的をもって、直接又は間接に必要かつ有利な周旋、勧誘その他諸般の行為をすること」と解されております。

「IT時代の選挙運動に関する研究会報告書」選挙時報'02.10
http://www.soumu.go.jp/singi/pdf/houkokusho.pdf(低解像度)
インターネットを使った選挙運動・政治活動に対する現行法の考え方
公職選挙法第百四十二条第一項は、選挙運動のために使用する文書図画について、同条に規定する通常葉書又はビラのほかは、頒布することができないと規定している。
公職選挙法上の「文書図画」とは、文字若しくはこれに代わるべき符号又は象形を用いて物体の上に多少永続的に記載された意識の表示をいい、スライド、映画、ネオン・サイン等もすべて含まれるものであり、コンピュータ等のディスプレイ上に表れた文字等の意識の表示は、公職選挙法上「文書図画」と解されている。
また、公職選挙法上の「頒布」とは、不特定又は多数人に文書図画を配布するジを開設すること、不特定又は多数人ことをいい、文書図画を不特定又は多数人に発信到達させる行為、つまり、不特定又は多数人の利用を期待してホームページを開設すること、電子メールを発信することも「頒布」に当たると解されている。
したがって、コンピュータ等のディスプレイ上に表れる文字等の意識の表示が選挙運動のために使用されるものである場合には、これを不特定又は多数人に発信到達させることは、公職選挙法第百四十二条の規定に違反することとなる。
また、コンピュータ等のディスプレイ上に映し出されたものを選挙連動のために「掲示」することは、公職選挙法第百四十三条第二項に違反する。
この他、公職選挙法第百四十六条は、選挙運動用文書図画の頒布又は掲示の禁止を免れる行為として、選挙運動期間中に公職の候補者の氏名等を表示する文書図画を頒布又は掲示することを禁止している。このため、政治活動であっても、候補者の氏名等を表示したホームページを開設する等の行為が当該禁止を免れる行為にあたる場合は公職選挙法第百四十六条に違反する。
また、公職選挙法第二百一条の十三第一項第二号は、政党その他の政治活動を行う団体は、選挙期間中において政治活動のために、掲示又は頒布する文書図画に、当該選挙区の特定の候補者の氏名等の事項を記載することはできないとしている。したがって、政治活動を行う団体の候補者の氏名を表示した政治活動用ホームページについては、選挙運動期間中更新することができない。

などの文献はあるものの、今のところ、規則・通達は見あたらないようです。
 上記報告書に、ネットの功罪が検討されています。
 WINNYWINMXで流すのはどうなのかについては言及がない。