これは「保管罪ではない」と説明されています。
法条競合ですかね。
7条5項の保管罪
5 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
むしろこういうサーバー蔵置行為(公然陳列行為の一部)の方が実は「保管罪」。
インターネットを利用する不特定多数の者に対し児童ポルノ罪像を送信して児童ポルノを公然と陳列しようと企て、の被告人方において、PCに接続したインターネットを利用し、3号児童ポルノ1画像を「」が管理する同所所在のサーバーPCに送信して記憶蔵置させ、・・
・児童ポルノ・児童買春を公然陳列した
でも、これは通常陳列を伴うので、陳列罪として評価しているので、保管罪は出番がない。
サーバー管理者への提供罪もありうるが、陳列罪として評価していることも注意。
さらに、最近の陳列罪は、
サーバーPCに送信して記憶蔵置させ、不特定多数のネット利用者に対し、上記児童ポルノ画像を閲覧が可能な状態を設定し、同月日ころ
、上記わいせつな児童ポルノ画像情報に接続した「」ら不特定多数の者に対して上記情報を送信して、再生閲覧させ
も含めて陳列罪1罪と評価されているのだが、
「」ら不特定多数の者に対して上記情報を送信して
の部分だけを取り出すと、不特定多数への提供罪(7条4項)が成立する。
まとめると、
保管罪として起訴されている事案は、所持罪。
公然陳列罪として起訴されている事案が、保管罪+サーバー管理者への提供罪+不特定多数への提供罪(7条4項)+公然陳列罪
なのであって、1999年に施行された児童ポルノ法ですらサーバーにUPするという典型的な行為についてうまく擬律できていない状況がわかる。
規制したい範囲は理解できるのだが、個々の構成要件の守備範囲がよく考えられていない。
第7条(児童ポルノ提供等)
児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。
2 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
3 前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第一項と同様とする。
4 児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。
5 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
6 第四項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを外国に輸入し、又は外国から輸出した日本国民も、同項と同様とする。