児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

[児童ポルノ・児童買春]webサイトへの投稿を「提供罪」とした事例

 閲覧・摘録しました。

富山簡裁h16.10.07略式命令
罰金30万円
被告人は
bcが開設したwebサイトに3回にわたり電気通信回線を通じて3号児童ポルノの情報3画像分を投稿し、
もって電気通信回線を通じて児童ポルノを記録した電磁的記録を「提供した」ものである。

 同時に閲覧した記録には、児童ポルノ公然陳列罪の罰金事例(珍しい!)もあって、改正後に量刑がつり上がったとは思えない。

 特定少数への提供罪(7条1項)と、不特定多数への提供罪(7条4項)は別の構成要件なんですが、これだと、特定人(BC)に提供したのか、不特定多数(web閲覧者)に提供したのかがわかりません。訴因不特定で無効の起訴状です。

  「もって特定少数の者に対して・・・提供したものである」
にするか、
  「もって不特定多数の者に対して・・・提供したものである」
にするかは明記してください。

第7条(児童ポルノ提供等)
1 児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。
4 児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。

 報道で明かな事案としては、AB2人がサーバで児童ポルノサイトやってて、6人が彼らに投稿していたようです。

ネットに児童ポルノ提供容疑で2人逮捕、全国初適用 富山署=富山 - 読売新聞 (272文字)
 2004年9月18日(土)
児童ポルノ:画像データ提供容疑で初摘発 2人を逮捕−−富山県警 - 毎日新聞 (265文字)
 2004年9月18日(土)

 それなら、「AB2人(特定少数)に対して提供した」と記載すべきです。
 提供の定義=利用可能にすることだとすれば、誰にとって利用可能にしたのか、実際に誰が利用可能状態だったかを立証することになるので、提供の相手方の記載は必須です。

 36画像で罰金とはね。これも大都市では公判請求です。