原判決は牽連犯なんですが、高裁の係属部は以前「児童ポルノ罪は併合罪だ」という判決を書いたので、原判決をほめて擁護しないとだめなんです。
牽連犯については、
条解刑法第2版p198
犯罪の手段若しくは結果である行為数個の行為が手段・目的又は原因・結
果の関係(牽連性)にある場合をいう。このような牽連性には,主観的牽連性と客観的牽連性があり得るが,客観的牽連性のみが牽連犯の要件であるとする客観説が判例通説である(最判昭24・7・12集3-8-1237,最大判昭24・12・21集3-12-2048)。
で、製造罪と提供罪はこういう条文ですから客観的牽連性はありますよね。
第7条(児童ポルノ提供等)
1児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。
2 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
3 前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第一項と同様とする。
4 児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。
5 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
そこで、牽連犯の裁判例も出てきてます。
奈良地裁H18.1.13
さいたま地裁熊谷支部H18.2.9
富山地裁高岡支部H19.4.11
さいたま地方裁判所川越支部H20.3.11
しかし、判例見ていると、牽連犯にしてくれるのは難しいようですね。