児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

買春+3項製造罪(単純製造罪)の控訴趣意書記載例

 こんなの書いていたので、blogがお下劣になってしましました。
 データが児童ポルノかという争点もあって、一応サイバー犯罪なんですけど。

 個人撮影の「ハメ撮り」事案の控訴趣意書案の理屈の部分の一部です。まだ事件番号もつかないんですが、使い回しの部分が多いので、起訴状と一審判決とでここまで書けます。注釈含めて325ページ。単純製造罪の問題点。
 どうせ公判廷で陳述しますし(毎度同じですし)、判例と資料名が参考になると思うので紹介します。といっても、判例はほとんど未公開です(判決日だけでは確定記録も特定できないということです)。

 長い引用は注釈に落としたんですが、それでも前置きが長くて、頭でっかちですね。控訴理由だけだと80ページくらいなのにね。

 この後被告人と打ち合わせて、取捨したり、追加したりして、思い残すところがないように、迷わず刑の執行が受けられるようにします。

児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反等被告事件
高等裁判所刑事部
平成17年う第 号
平成17年 月 日
控訴趣意書
高等裁判所刑事部御中

弁護人弁護士 奥 村 徹
大阪弁護士会
 弁護人の控訴の趣意は下記の通りである。
 なお、第1部〜第5部は各控訴理由(第6部)の前提として控訴理由と一体をなすものである。
 また、弁護人には児童ポルノを肯定する思想はなく、本件についてもそのような主張はしていない。

第1部 児童ポルノに関する判決例 9
第1 大阪高裁H12.10.24所持罪*1 9
第2 京都地裁H14.4.24販売罪*2 9
第3 大阪高裁H14.9.12販売罪(前記京都地裁判決の控訴審)*3 10
第4 東京高裁H15.6.4*4(被告人上告) 13
第5 横浜地裁H15.12.15*5 14
第6 名古屋高裁金沢支部H14.3.28*6 15
第7 大阪高裁H14.9.10*7 15
第8 大阪高裁H15.9.18*8 16
第2部 児童ポルノ罪の立法経緯・立法目的 19
第1 児童ポルノ罪の立法経緯・立法目的の確認 19
1 国会議事録 19
2 参議院法制局の説明*10 19
3 学説 20
(1)西田典之・鎮目征樹  20
(2)木村光江 20
(3)園田寿 21
(4)大塚仁 23
(5)加藤久雄  24
(6)伊東研祐 24
(7)木村光江 24
(8)永井善之 25
4 法務省公安課長の見解 25
5 児童ポルノと闘う国際社会 27
第2 児童ポルノ罪の保護法益について 29
1 条文上の根拠 29
(1) 本法  29
① 立法趣旨 29
② 被害者保護規定 30
③ 年齢知情規定 31
④ 構成要件の分析 32
⑤ 児童ポルノ各罪の構造 34
⑥ 改正案 37
(2) 刑事訴訟法改正条項 40
(3) 被害者保護法による取り扱い 42
(4) 児童福祉法 44
(5) 最近の児童保護立法について 45
(6) 社会的法益説の根拠条文 47
2 社会的法益説の不当 47
3 立法段階での議論 51
(1) 趣旨説明 51
(2) 親告罪とする可能性 52
(3) 従来の刑法犯との比較 52
(4) 児童の実在性 53
(5) 被害者がいる社会的法益の罪とする余地 53
4 実務家の見解 53
(1)「警察官のための特別法犯・犯罪事実記載例」(令文社)P171 54
(2)元検事正佐野慎一・検事吉田広司「犯罪事実データベースver.2.0」 55
(3)犯罪事実記載の実務 特別法犯Ⅰ P77 56
(4)実務家のための刑法概説P500  56
(5)法務総合研究所「研修」(平13.4,634号)P3〜 57
(6)尾島明最高裁調査官の見解 57
5 児童買春罪との整合性 58
6 児童ポルノ製造罪(撮影行為)との整合性 59
7 児童福祉法との関連性 61
8 被害者救済上の問題点 63
9 参議院国民福祉委員会 64
10 参議院法務委員会 64
11 法務省刑事局長通達*31 66
12 法務省刑事局長の回答*32 67
13 判決例 67
(1)大阪高裁判決H12 67
(2)京都地裁判決(平成12年わ第61号) 70
(3)京都地裁H14.4.24 販売罪*33 70
(4)大阪高裁H14.9.12 販売罪(前記京都地裁判決の控訴審)*34 71
(5)東京高裁平成15年6月4日(被告人上告) 73
(6)横浜地裁H15.12.15*35 75
(7)アメリカの判例NewYorkv.Ferber 76
(8)アメリカの判例Ashcroft法務長官外 対 FreeSpeechCoalition外 80
14 まとめ 81
第3 法改正 81
1 第159国会衆議院青少年問題に関する特別委員会平成16年06月01日*36 81
2 第159国会参議院法務委員会平成16年06月10日*37 83
3 法文*38 84
第3部 事実認定の手法〜何を認定するのか 85
第4部 児童買春罪の基本的解釈 90
第1 定義の確認 90
第2 児童買春法の立法趣旨 90
第3 児童買春法の保護法益 91
第4 買春罪の実行行為 93
1 はじめに 93
2 買春罪の構成要件・実行行為 93
(1)構成要件の確認 93
(2)代償供与と性交との因果関係・対価関係 93
3 買春罪の実行行為 95
4 立法者(参議院法制局) 96
5 大阪高検篠崎検事の見解 97
6 裁判例 98
(1)高知地裁平成14年8月21日(被告人控訴 控訴棄却) 98
(2)金沢地裁H13.9.14 共犯事例 100
① 起訴状 100
② 冒頭陳述要旨 100
③ 地裁判決 101
④ 控訴審判決 名古屋高裁金沢支部H14.3.28 101
(3)大阪高裁H15.2.6 児童福祉法違反事件 104
(4)札幌簡裁H13い10112 105
(5)福井地裁H14.12.27 106
(6)福井地裁H14.12.18 106
(7)札幌地裁H13.5.14H13わ95等 107
(8)山口簡裁H12.9.11H12い118〜119 107
(9)大阪高裁H15.9.18 108
第5 対償供与の約束は性交前でなければならない 110
第6 買春罪の実行の着手 112
第5部 本件 118
第1 条文の確認 118
第2 起訴状 118
第3 原判決 119
第6部 控訴理由  122
控訴理由第7 法令適用の誤り〜データが児童ポルノであって、HDDなどが児童ポルノではない。 161
控訴理由第9 訴訟手続の法令違反〜訴因不特定(ハードディスクにつき構成要件である「姿態をとらせる」に該当する事実が全く記載されていない) 173
控訴理由第10 法令適用の誤り〜原判決「罪となるべき事実」は3項製造罪の構成要件をみたさない。 174
控訴理由第12 法令適用の誤り ダビングによるハードディスクの製造は3項製造罪に当たらない。 186
控訴理由第13 量刑不当 197