児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

 同一日時場所における児童福祉法違反(淫行させる行為)と児童買春とは併合罪大阪高裁(H15.2.6)

 児童福祉法児童ポルノ・児童買春法の立法趣旨・保護法益はどう違うんでしょうか?

阪高裁H15.2.6
一方、弁護人が指摘する前記大阪地方裁判所判決は、
「被告人は、平成年12月21日18時00分〜20時37分頃にかけて、大阪府ホテル407号室内において、A子が未成年者であり満18才未満の「児童」と知りながら、A子に現金4万円を供与して、自らと性交させ、もって児童買春をした」というものである。
【判決要旨第1】なるほど、たしかに両事実は、同一の場所において、Sと共に、A子に対して行われた事案であるけれども、児童福祉法と児童買春・児童ポルノ法は、それぞれ、立法趣旨や保護法益が異なっていることは明らかであり、前者(原判示第2.)は、「児童に、他人と性交をさせる罪」後者(前記大阪地裁の判決)は、「児童に利益を供与して、買春をする罪」であつて、それぞれ、処罰根拠を異にしているのであるし、当然、それぞれの行為態様も異なっているのであるから、この両事実は、「実体上.一罪」「科刑上一罪」ではなく、併合罪の関係にあると解するのが相当である。

 なお、この事件の被告人は、地裁でも実刑、家裁でも実刑でした。高裁判決は家裁判決への控訴ですが、併合審理の利益が受けられなかったことなどを考慮して、2ヶ月だけ減刑されています。(未決勾留日数の法定通算がありますから、もう少し短縮されます。)