児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

永井善之「サイバー・ポルノ規制と刑法・児童ポルノ法の改正」大阪経済大学法学研究所紀要200412

 抜き刷りをいただきました。
 児童ポルノと刑法の改正法について学者が書いています。
 学説に乗っかっていくと、弁護士は楽です。

「はしがき」から
表現規制条項として、文書や図画などのいわば最も古典的なメディアしか存在しなかった一九〇七年(明治四〇年) の同法典の制定以来、技術革新に基づくメディアの進歩に対しても常に柔軟な解釈よる対応がなされることで何ら実質的な改止を経なかった刑法一七五条と、これを基本的に踏襲していた児童ポルノ法(旧法).一条三項、七条が、近時のサイバー・ポルノの急増に伴い初めて右のような大幅な改正を受ける (予定である) ことに鑑みて、本稿では、これらの改正の具体的内容を分析してその意義を考察し、併せて児童ポルノ法については、今回の改止による、現在わが国でもその速やかな批准が意図されているサイバー犯罪条約の担保状況についても検討することとする。これにより、今般の刑法および児童ポルノ法の改正(予定) の、サイバー・ポルノ規制のあり方との観点からする意義あるいは問題点およびこれに伴う今後の (立法論に限られない) 課題などを、確認したいと考える。

 個人的法益一元説

児童ポルノ規制にあっては、わいせつ物規制と比較した場合、客体たるポルノの性描写要件がわいせつ性を必要とせず非常に緩やかであること、規制対象行為類型の範囲・種類が相当に広範であること、さらに、その違反に対する法定刑がより峻厳であること、これの諸点からして、憲法上の表現の自由保障(憲法二一条) に対してもより広範にわたる制約であること、が認められる。その規制のこのような峻厳性に照らしても、児童ポルノ規制の法益としては、個人的法益とともに、およそ児童を性的対象とみることのない健全な社会風潮・生活環境などといった社会的法益をも並列的に認めること (個人的法益・社会的法益二元説)さえも妥当ではなく、それは被写体児童に係る個人的法益に尽きると解されるべきように思われる (個人的法益一元説)

 これは、刑法学会関西部会での報告に加筆したもの。
http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20040726/p1
http://d.hatena.ne.jp/images/diary/o/okumuraosaka/2004-07-26.jpg
 おなじ共同研究でも、学者はこうやって業績ができていくわけですが、同じこと書いた弁護人には棄却判決の山。

 なお、この見解によれば、児童ポルノ罪の法定刑はさらに重くなる可能性があり、実務においても罪数や量刑の面で刑事責任が重くなる方向に向かう可能性がある。