児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「ワン切り」業者を逮捕=改正電気通信法を初適用−山形県警

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041203-00000341-jij-soci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041203-00000074-mai-soci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041203-00000104-kyodo-soci

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S28/S28HO096.html
有線電気通信法
(昭和二十八年七月三十一日法律第九十六号)
第十五条  営利を目的とする事業を営む者が、当該事業に関し、通話(音響又は影像を送り又は受けることをいう。以下この条において同じ。)を行うことを目的とせずに多数の相手方に電話をかけて符号のみを受信させることを目的として、他人が設置した有線電気通信設備の使用を開始した後通話を行わずに直ちに当該有線電気通信設備の使用を終了する動作を自動的に連続して行う機能を有する電気通信を行う装置を用いて、当該機能により符号を送信したときは、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

 不注意の間違い電話が処罰されないように、「多数の相手方に電話をかけて符号のみを受信させることを目的として」という目的犯なんですね。
 保護法益なんかは「有線電気通信に関する秩序」ということになって、具体的にはこういう事らしい。

009/013] 155 - 衆 - 総務委員会 - 7号
平成14年11月21日
○加藤副大臣 まず最初のお尋ねでありますが、委員御指摘のいろいろな原因があった、そのことによって減少してきたと思うわけでありますが、どっちがというんではなくて、まさに国民利用者のワン切りへの対応の方法が周知されたことや、また、お話がありました携帯電話事業者が自主的に取り組んだ、またさらに、政府においてワン切りに対する法規制の検討を開始したということが全部相まって減ってきたのではないのかなという気がいたします。しかし、これは確かに減少しておりますが、八月に一たん増加に転ずる状況もあり、まだ予断を許さないような状況であります。
 したがいまして、この電気通信ネットワークのふくそうというのは、一たん起これば経済活動や市民生活にはかり知れない影響を与えることになるものでありますので、ふくそうを引き起こす危険性をはらんでいるワン切りを野放しにするわけにはまいりません。いつ行われるか予期できない状況を放置しておくことは、まさに電気通信の安全性及びこれに対する国民の信頼を揺るがしかねないものでありますから、これらを処罰対象とすることによって当該行為を防止する必要があるということであります。

ワン切り業者逮捕 今年2月、山形に拠点設置 「相談」「苦情」も急増=山形 - 読売新聞 (960文字)
 2004年12月4日(土)
5800万回ワン切り業者逮捕 法改正後初の摘発 都内から7道県遠隔操作 - 読売新聞 (454文字)
 2004年12月4日(土)
ワン切り」規制初適用、3人逮捕−−山形県警 - 毎日新聞 (446文字)
 2004年12月4日(土)
ワン切り:容疑で3人、初の逮捕−−山形県警 - 毎日新聞 (441文字)
 2004年12月4日(土)
ワン切り」業者逮捕 改正法を初適用 山形県警 - 産経新聞 (640文字)
 2004年12月4日(土)
都内の「ワン切り」業者に逮捕状 着信に「023」残す手口使う=山形 - 読売新聞 (421文字)
 2004年12月3日(金)
山形県警が「ワン切り」業者逮捕へ 電気通信法改正後初めて - 読売新聞 (530文字)
 2004年12月3日(金)
ワン切り」規制:初適用、3人逮捕−−山形県警 - 毎日新聞 (236文字)
 2004年12月3日(金)


なお、ワン切り関係の刑事事件が
衣笠利彦「悪質なワン切り業者にわいせつ物公然陳列罪を適用して立件起訴した事例」捜査研究'02.10.
に紹介されています。

東京地裁平成14年10月18日
  判     決
主      文
被告人A及び被告人Bをそれぞれ懲役1年に、被告人Cを懲役10月に処する。
被告人3名に対し、この裁判確定の日から3年間、それぞれその刑の執行を猶予する。

理      由
(犯罪事実)
 被告人3名は、共謀の上、所在の被告人方(当時)に、性交時における男女の会話やその際の感情などを露骨な声音で表現したわいせつな音声を記憶させた、録音再生機と電話回線の連動した装置(いわゆるコミュニケーションサーバ)を設置し、同サーバから多数の携帯電話に電話をかけて瞬時に接続を切り、同サーバの電話番号をその携帯電話に着信記録として残すという方法や、メール配信サーバから多数の携帯電話に対して上記コミュニケーションサーバの電話番号等を表示したメールを送信するという方法により、同サーバの電話番号等を広く宣伝した上、平成14年2月上旬ころから同年3月1日ころまでの間、同サーバに電話をかけてきた三谷秀則ら不特定多数の者に対し、同サーバに記憶させた上記わいせつな音声を再生して聴取させ、もって、わいせつ物を公然と陳列した。

(量刑の事情)
 本件は、被告人らが、共謀して、わいせつな音声を記憶させたコミュニケーションサーバを設置した上、これに電話をかけてきた不特定多数の者に対し、その音声を再生して聴取させたという、わいせつ物公然陳列の事案である。
 本件で、被告人らが上記サーバに記憶させていた音声は、いずれも性交時の男女のやり取りやその情景などを如実に想起させる、露骨でわいせつ性の高いもので、このような内容の音声を、同サーバに電話をかけてきた不特定多数の者に聴取させるということ自体、健全な性風俗を害する悪質なものであることはいうまでもない。しかも、被告人らは、労せずして多額の利益を得ることをもくろみ、被告人Aを代表取締役とする有限会社の営業として、複数の同サーバを購入して設置し、主に利用者からの問い合わせの電話に対する対応や利用料金等の請求に携わる多数のアルバイトの従業員を抱え、わいせつな音声を内容とする番組ごとに利用料金等の振込先銀行口座まで設けるなどした上、相協力し合って、本件犯行に関わる一連の企てを遂行していたというのであるから、犯行の組織性は顕著であり、また、犯行の動機にも、酌むべき点は見あたらない。
 さらに、被告人らが、上記サーバの電話番号を広く宣伝し、多数の者にその番号に電話をかけてくるよう勧誘するために用いた手口をみても、判示のとおり、瞬時に、膨大な数の携帯電話にあててその電話番号等を送信し、これらの携帯番号の保有者の関心を引いた上、折り返しその番号に電話をかけてきた者に対し、短時間、無料でわいせつな音声の一部を電話口に流してその好奇心をかき立て、引き続き有料でわいせつな音声を聴取させるという、甚だ巧妙なものである。このように、被告人らは、本件に際し、さしたる抵抗感もなく、他人の迷惑を顧みない通信手段の悪用であるとして社会的に強い避難を受けている、いわゆる「ワン切りコール」あるいは「迷惑メール」と称される手段まで用いていたばかりか、実際に上記音声を聴取しながらその利用料金を支払わない者に対し、次々と電話をかけて、利用料金のほかに延滞料金等の名目で法外な金員をも支払うよう執拗に督促し、これにより多額の利益を得ていたというのであって、金儲けのためにはあくどい手段を用いることさえ辞さないという被告人らの規範意識の希薄さも、厳しい非難を免れないものである。