児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

長岡範泰「名誉毀損的情報を仲介した者の責任について」関西大学法学ジャーナル'03.3.

 長岡説では、匿名掲示板の管理者は名誉毀損罪の正犯(不作為犯)。プロバイダーも射程に入る。
 長岡君には、刑法学会で会ったので、PDFで児童ポルノ掲示板事件(東京高裁H16.6.23)を読んでもらっています。
 作為犯構成なんじゃよ。

 長岡先生になっています。
   長岡範泰 帝塚山大学経済学部・京都光華女子大学講師

長岡範泰「名誉毀損的情報を仲介した者の責任について」関西大学法学ジャーナル'03.3.
上のように考えると、Bのような者の不作為は、幇助と解するよりも、むしろ、その不作為が新たな名誉毀損のための行為であると理解し、この者を正犯として把捉するべきであろう。このような把握は、行為の社会的な実態からかけ離れているかにも見えるかも知れない。しかし、行為者を特定できない匿名掲示板における名誉毀損行為を前提とするならば、管理・運営者を新たな正犯であると見るのも、さほど不自然ではない。管理権限を持つ者があえて実行する放置も、当該発言を見た第三者による複写も、そして当初の発言も、互いに性質を異にし、しかし独立した実行行為であるとすることは、むしろ実態に適う。散発的な発言等はそれぞれ一個の行為として把握されるべきものであり、管理者については、一連の発言の不削除を一個の構成要件的行為として見るのが妥当なのである。−このような評価と把握は、それぞれの行為について別個に時効を計算できる点でも、実際の行為態様に即している。