児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

「スケベおやじ」は犯罪か?

http://gsearch.news.yahoo.co.jp/gs?ty=d&aid=QSKS20041002000016x9e&dbid=QSKS&ind=4&key=%a5%dd%a5%eb%a5%ce+or+%c7%e3%bd%d5&dbty=0&andor=0
 50期修習の奥村弁護士にとって、山室さんは、「隣のクラスの刑裁教官」。

 山室さんの、児童買春判事の判決には問題点がある。
 まず、児童買春罪を比較的軽微な犯罪とした点は認識が甘い。山室さんが刑事裁判のエリートだとすると、大方の裁判官の認識のレベルはこの程度。この判決を使えば、東京地裁で初犯の買春犯は執行猶予になる。児童買春被告人は安心した。
 逆に、山室判決が実刑であれば、旧法でも初犯実刑がありうることが周知となり、法改正によって刑を引き上げる必要はなかったのではないか。

 次に、記事でもエピソードとして紹介されているが、被告人質問で被告人を「スケベおやじ」とした点。裁かれているのは、児童買春行為の責任であって、スケベおやじ性ではない。スケベおやじであってもなくても児童買春行為は犯罪であって(非身分犯)、それが裁かれている。スケベおやじ性よりも、被害の深刻さで断罪すべきであった。 被告人が「スケベおやじ」であろうと、「ロリコン」であろうと、「洗濯室で酒盛り」していようと、関係ない。あえて被告人を評するならば、「児童買春野郎」が適切だった。それ以上でもそれ以下でもない。

ストレス主張に裁判官、苦い思い 少女買春の村木判事初公判
2001.07.24 東京朝刊 35頁 1社 (全1739字)  朝日新聞社
 山室恵裁判長(53)は被告への補充質問で、12年後輩の裁判官をにらみつけた。「言葉は悪いが、単なるロリコン、単なるスケベおやじだったのではないのか」


 確定記録では、山室さんの御名前も不開示決定となっています。

東京地裁H13.8.27
(量刑の理由)
本件は  である被告人が,現金の供与を約束して.ホテルで14歳の少女と性交し(判示第1の事実)・カラオケボックスで16歳のの少女の胸を触るなどし(判示第2の事実)、ホテルで15歳の少女に手淫させるなどした(判示第3の事実)という児童買春の事案である.

被告人は平成12年5月ころ,プリペイド式携帯電話を購入し・伝言ダイヤルを利用するなどして被害児童らと知り合い,同女らにいわゆる援助交際を持ちかけて本件各犯行に及んだものである。

被告人自身の供述によれば.・・・・ストレスを解消するため,自分とは違う世界の人間と交流を持ちたいなどと考えるようになって,本件各犯行に及んだというのであるが.仮に.被告人の供述するとおり,仕事の重圧を強く感じていたとしても.そのことと本件のような犯罪に手を染めることとが直接結び付くものではなく.犯行の動機に酌量すべき余地はない。

犯行の態様を見ると,被告人は,伝言ダイヤルを通じて知り合った被害児童らに対し,「」という偽名を使い,同女らが精神的に未熟であることに付け込んで,「最後までいかなくていいから,一緒にホテルに行ってくれたら2万円あげるよ。」などと言って,現金と引換えに性的関係等を要求し.ホテルやカラオケボックスに被害児童らを連れ込んで,性交したり,手淫させるなどし,第1の犯行においては,被害児童に会う前にホテルの下見までしていたのであり,悪質である。本件各犯行が成長過程にある被害児童らの心身に有害な影響を与えたことは明らかであり,とりわけ,判示第1の被害自動は14歳と年少である上,性交にまで及んだことからすると,その有害性の程度を軽視することができない。一方,被告人も捜査段階の当初から各犯行を素直に認め,公判廷においても反省の態度を示していること,被害児童の親との間で示談に向けて努力していること,法律扶助協会に万円の贖罪寄付をしたこと・・・

以上に加え,本件犯罪の法定刑が懲役3年以下と比較的短期である上.東京地方裁判所に係属した同種事案の量刑を見ると.法律上執行猶予の付けられない事案を別にすれば.ほとんど全部について執行猶予付き懲役刑の判決がなされており,しかも,これらの中には,被害児童の人数や行為態様等の点で本件よりも悪質な事案が多数あって,児童の保護・育成に意を払うべき立場の者による犯行も含まれていること.・・・

したがって,被告人に対しては,懲役2年に処し,5年間その刑の執行を猶予することにより刑事上の責任を負わせるのが相当であると判断した。

よって,主文のとおり判決する。

(求刑懲役2年)

平成13年8月27日

東京地方裁判所刑事第5部

弾劾裁判の判決が公開されています

http://www.eda-jp.com/satsuki/2001/011128.html
平成13年(訴)第1号 罷免訴追事件
            判     決