児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

所論にかんがみ職権により判断する。

http://mytown.asahi.com/ishikawa/news01.asp?kiji=7814
弁護団は大喜びのようです。

 しかし、判決文を見る限り、弁護人が挙げた上告理由は全部理由がなかったので職権破棄したようにみえます。
 まるで、弁護人の主張は全部的外れだったかのようです。

http://courtdomino2.courts.go.jp/judge.nsf/$DefaultView/918FFFAD517D354149256F0E000D3EE8?OpenDocument
判例 平成16年09月10日 第二小法廷判決 平成13年(あ)第347号 背任被告事件
要旨:
銀行頭取が信用保証協会役員と共謀して同協会に対する背任罪を犯したと認めるには合理的な疑いが残るとされた事例
内容:件名 背任被告事件 (最高裁判所 平成13年(あ)第347号 平成16年09月10日 第二小法廷判決 破棄差戻し)
原審 名古屋高等裁判所 (平成11年(う)第53号)
主    文
原判決を破棄する。
本件を名古屋高等裁判所に差し戻す。
理    由
 弁護人城正憲ほかの上告趣意のうち,判例違反をいう点は,事案を異にする判例を引用するものであって,本件に適切でなく,その余は,単なる法令違反,事実誤認の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
 所論にかんがみ職権により判断する。
(中略)
5 そうすると,原判決は,事実を誤認して法律の解釈適用を誤った疑いがあり,破棄しなければ著しく正義に反するものと認められる。
 よって,その余の所論について検討するまでもなく,刑訴法411条1号,3号,413条本文により,原判決を破棄し,前記指摘の点などについて更に審理を尽くさせるため,本件を原裁判所に差し戻すこととし,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
 検察官吉田博視公判出席
(裁判長裁判官 北川弘治 裁判官 福田 博 裁判官 滝井繁男 裁判官 津野 修)


 しかししかし、上告趣意書に記載された411条該当の主張があったから、職権発動があったわけです。

条解刑事訴訟法P874
411条
1)本条の意義  本条は、法が上告理由を審法追反と判例違反とに限定したこととの関連で、具体的事案の適正な処理と当事者の具体的救済をはかる趣旨で設けられたものである。上告申立ての理由を定めたものではなく、上告審の職権事項を定めたものであるから、当事者が本条の該当事由を主張しても、職権発動を促す趣旨に過ぎず、また、当事者の主張がなくても、本条の職権発動により原判決を破棄することができる。

 判決上、その証拠はというと
   所論にかんがみ・・・
のくだりですね。何百頁の主張も「所論」の2文字ですが、弁護人はちゃんと仕事しています。

 それなら最高裁も、判決文で、そう書けないんでしょうか?弁護人の言うとおりだって。