児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童ポルノ販売+犯罪収益隠匿 横浜地裁H15.6.24

 架空口座の金を贖罪寄付させようとする弁護人と差し押さえようとする捜査機関が競争になったりします。
課税通報されたりするので、規範意識・遵法姿勢を示すために、修正申告させることもあります。

児童ポルノ販売+犯罪収益隠匿 横浜地裁H15.6.24
被告人を懲役3年及び罰金200万円に処する。
その罰金を完納することができないときは,金1万円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判が確定した日から4年間その懲役刑の執行を猶予する。
被告人から金185万5362円を追徴する。

罪となるべき事実の要旨
被告人は,
第1 別表1記載のとおり,平成14年5月22日ころから同年12月20日ころまでの間,前後8回にわたり,郵送又は宅配便の方法により,同所からほか6名にあてて,販売代金合計2万3550円で,衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写した児童ポルノであるCD−R合計21枚及び男女の性交場面等を露骨に撮影したわいせつな図画であるCD−Rl枚を送付し,同年5月22日ころから同年12月22日ころまでの間,これを上記  方ほか6名方に到達させて販売し,
第2 氏名不詳者から購入した    名義の通帳及びキャッシュカード等を使用して,犯罪収益等の帰属を仮装しようと企て,
1 別表2記載のとおり,平成14年1月16日から同15年2月7日までの間,前後62回にわたり,いずれもそのころ,    ほか44名に対し,前同様の児童ポルノ及び前岡様のわいせつな図画等を収録したCD−R等を譲り渡した対価として得た現金を,上記  らから前記    名義の郵便貯金口座に振込入金させて,合計64万8550円を同口座に預け入れ,
2 別表3記載のとおり,同14年7月25日から同15年2月7日までの間,前後113回にわたり,いずれもそのころ,   ほか89名に対し,前同様の児童ポルノ及び前同様のわいせつな図画等を収録したCD−R等を譲り渡した対価として得た現金を,上記  らから前記    名義の株式会社三井住友銀行  支店の普通預金口座に振込入金させて,合計120万6812円を同口座に預け入れ,もって犯罪収益等の取得につき事実を仮装した。

量刑の事情
本件は,インターネットのホームページ上の掲示板に宣伝を掲示し,電子メールで交信して児童ポルノ及びわいせつ図画を販売し,またその販売代金等を他人名義の口座に預け入れて犯罪収益等の取得につき事実を仮装した事案である。
被告人は,個人的趣味から始めた児童ポルノ等の収集・交換を通じて,児童ポルノの希望者が多いことを知り,販売したら金になると考え,金儲けのために,自宅でダビングして製造したCD−R等を販売し,さらに取引相手や捜査機関に身元がばれないようにするなどの理由で,匿名性の高いケリーメールアドレスを利用するだけでなく,他人名義の口座をインターネットで購入して利用し,取得した犯罪収益等の帰属を仮装していたものである。被告人は,児童ポルノ等の販売が違法であることを十分に承知しながら,児童ポルノが児童の心身に悪影響を与え,児童の権利を著しく害することや,犯罪収益等の仮装が社会に与える害悪等を深く考慮することなく,極めて安易にこれらを敢行している。販売していた児童ポルノ等の種類も多く,販売システムを構築し,巧妙かつ大規模に,長期間にわたり職業的に敢行していて,実際にも多額の利益を得ており,犯情は悪質である。被告人の刑事責任は相当に重い。