児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

少女が下着脱ぎ“即売”、「生セラショップ」摘発

 大阪にもあの下品な条例ができるんでしょうか?

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20040715i416.htm
容疑者らは6月下旬の5日間、中学3年の女子生徒(14)の外出時間を「1日1回20分以内」と制限したうえ、客の前で下着を脱がせて販売させた疑い。

第34条〔禁止行為〕
何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
九 児童が四親等内の児童である場合及び児童に対する支配が正当な雇用関係に基づくものであるか又は家庭裁判所都道府県知事又は児童相談所長の承認を得たものである場合を除き、児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる目的をもつて、これを自己の支配下に置く行為

第60条
②第三十四条第一項第一号から第五号まで又は第七号から第九号までの規定に違反した者は、三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

福岡高等裁判所判決平成4年3月23日
高等裁判所刑事裁判速報集平成4年77頁
家庭裁判月報45巻6号116頁
判例タイムズ789号278頁
判例タイムズ846号54頁
二 被告人には、児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる目的がなかったとの主張について
 弁護人の所論は、要するに、被告人は、被害児童に対し、ダイヤルQ2の電話の応対の仕事上で、異性交遊や売春につながりかねない行為を禁止するとともに、いかがわしい会話等には自分の意思で電話を切ってもよいと説明していたのであるから、被告人には、児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる目的がなかった、というのである。
 そこで検討するに、児童福祉法三四条一項九号にいう「児童の心身に有害な影響を与える行為」とは、社会通念上、児童の健全な育成を積極的に害することが客観的に明らかな行為をいい、当該行為の有害性が客観的に認められる限り、被害児童を支配下に置いている者が、その有害性を主観的に認識している必要はないと解すべきところ、被告人は、いわゆるテレホンセックスや売春の申し込みの電話を受けうることを十分に認識していなから、本件業務に従事させていたのであり、右のような行為が社会通念上、児童の心身に有害な影響を与えるものであることは明らかである。
三 被告人は、児童を自己の支配下に置いたものではないとの主張について
 弁護人の所論は要するに、被告人は被害児童を雇用していたが、休日を与え、休み時間もとらせるなどしており、同人らを監視したり、同人らに本件行為を強制したものではないから、児童を支配下に置いたものではないというのである。
 そこで検討するに、児童福祉法三四条一項九号にいう「自己の支配下に置く」とは、児童の意思を左右できる状態の下におくことにより使用、従属の関係が認められる場合をいうが、必ずしも現実に児童の意思を抑制することがなくても客観的に児童の意思を抑制して支配者の意思に従わせることができる状態を顕現した場合をもって足りると解されるところ、被告人は、被害児童をNコーポに住み込ませたうえ、被告人もしばしば同所に泊まり込んだほか、被告人の愛人やその配下の者を泊まり込ませるなどし、同所において、被害児童に時給五五〇円で深夜にわたる業務に従事させ、勤務時間中は、被告人らにおいて児童の勤務ぶりを監視するとともに、その自由な外出を示じ、食事もいわゆる店屋物をとらせたうえ、賃金も被告人の愛人が預かるなどし、また被害児童の一人にその勤務態度が悪いとして暴力を加えることもあったことか認められることなどを総合すれば、被告人は児童を支配下に置いたというべきである。
 以上の次第で、被告人が児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる目的で、これを自己の支配下に置いた旨認定し、児童福祉法三四条一項九号違反の罪の成立を認めた原判決には、法令の解釈、適用の誤りはなく、事実の誤認も見当たらない、論旨は理由がない

東京高等裁判所判決昭和59年9月27日
児童福祉法34条1項9号の児童を「自己の支配下に置く行為」とは、児童の意思を左右できる状態に置くことによつて使用、従属の関係が認められる場合をいい、このような関係が存在する以上、たとえそれが児童の希望に基づくものであり、その親権者もこれに同意していたとしても、このような事情は同条項違反の罪の成否を左右すべき事由とはならない。
家庭裁判月報37巻10号116頁
家庭裁判月報39巻9号105頁