児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

新任検察官奮闘記 研修672号H16.6 法務総合研究所

 小林検事の体験談です。
 この事件の裏話です。
http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20040702#p5

 実際、被害児童の人定が取れない場合、
  見た目16歳
で公判請求された事例は少ないと思います。真実16歳でも、「16歳です」「18歳です」と言い当てることができないから。

 見た目基準でいくなら、14歳が限界ではないでしょうか?それでも、思春期遅発症の成人の可能性が数%あるので、ややこしい弁護人が来る前に、自白を固めておく必要があります。たいてい被告人は「児童」だと思っています。

 刑事部長の疑問は正当ですが、何も、人定がなければ児童ポルノで立件できないということもありません。本田守弘研修634号参照。常識的な事実認定に落ちついています。

 なお、検察官が、児童ポルノ販売罪の余罪を訴因変更請求で追加する癖を付けてしまうと、罪数にうるさい裁判官に遭遇して、いずれ破綻すると予想します。ババ抜きかロシアンルーレットみたいな瑕疵で、当たった人は責任を問われます。
 法定刑5年になり、「被害児童」という用語も定着したのに、いまだに、児童ポルノ罪の保護法益を看過して、児童ポルノに「被害児童」が見出せないようでは、ザル法のままである。

新任検察官奮闘記 研修672号H16.6
児童ポルノ販売の事件で,画像に映し出された女性の年齢に関する証拠が画像を見た医師による鑑定以外にない事案を担当したことがありました。しかも,その鑑定は明確な根拠に基づく客観的なものではなく,医師による推測の域を出ないものでした。
(中略)
すると,刑事部長から,「それで年齢が証明できるのか。16歳くらいというのはいいけど,18歳になっていないということが間違いなくいえるのか。画像から被写体の女の子が18歳以上でないと断言できるのか。18歳と16歳は見てすぐ違うと言えるような差なのか。」などと言われ 思わずハッとしました。私は,それまで何も問題ないと思ってその事件を処理していましたが,「そう言われればそうだ。これはまずいことになった。」とそのとき初めて思ったのでした。刑事部長からは,「君,大丈夫って自信満々に言っとったよな。」などと言われましたが,私は,「部長の御指摘のとおりです。」と言うはかありませんでした。結局,その事件は,被写体の人定を特定できなかったものについては,わいせつ物頒布で処理しました。

この事件では、法医鑑定で児童でない可能性が指摘されましたが、自白が認められたので、ビデオを補強証拠として有罪となりました。本田さんは、宮崎地検検事正。

判例研究 児童ポルノビデオテープの画像自体から,被撮影者が実在する18歳未満の者であると認定した事例児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律2条3項各号に掲げる「児童」は,実在する者であることを要するが,具体的に特定することができる者であることを要しないとした事例(大阪高判平成12.10.24)
著者 本田 守弘
請求記号 Z2-162
雑誌名 研修
出版者・編者 誌友会研修編集部
巻号・年月日 (634) [2001.4]
ページ 1〜12
本文の言語コード jpn: 日本語
記事種別コード 8: 判例研究
雑誌記事ID 462340500