児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

性犯罪者の再犯防止への社会的取り組み −司法、行政、医療の視点から−

 行ってないイベント。
 常習的な福祉犯の被告人が精神科に受診したんですが、「異常なし、治療の必要なし」と言われました。
 病的な原因によるものとそうでないもの(医学的には検知できない原因)があって、病的な方は治療効果があるかもしれないけれど、それ以外は打つ手がないんじゃないかと考えています。「規範意識の涵養」で治ればいいんですけど。

文部科学省 科学技術振興調整費
平成17年度採択課題「犯罪、行動異常、犯罪被害等の現象、原因と治療、予防の研究」
http://www.tmd.ac.jp/mri/mri-crps/20071110symposiumSO/071110symposium_070926.htm
国際シンポジウム
性犯罪者の再犯防止への社会的取り組み −司法、行政、医療の視点から−
■日 時  平成19年11月10日(土) 午前10時00分〜午後3時30分(午前9時30分開場)
■シンポジスト
ソフィー・バロン・ラフォレ フランス エスキロル精神病院(精神科医
ダニエル・ジョルジュ・コンダミナス フランス 国家警察(アタッシェ)
ジェローム・エンドラス スイス チューリッヒ州法務局(心理学者)
安田 貴彦 日本 山形県警察 本部長
東本 愛香 日本 東京医科歯科大学難治疾患研究所 特任助教(心理学者)
■座長
澤田 健一 府中刑務所 所長
山上 皓 東京医科歯科大学 名誉教授

ここは有害情報ではありません。

 情報ネットワーク法学会で違法でない有害情報について議論していたんですが、違法情報についても法律の対応がはっきりしないので、「有害」というだけではどうにもうまくいきません。
 このブログも「児童ポルノ・児童買春を助長するから有害だ」と思われがちですが、処罰範囲を明確にして処断刑期を広くとって厳重処罰するという思想ですから。

管理者の削除義務

 地裁レベルでは掲示板管理人には当然に削除義務があるようですね。

名古屋地裁H18.1.16(幇助)
上記掲示板の開設者としてこれを管理し,違法画像が同掲示板に受信掲載されているのを発見した場合には,これを削除するなどして,これが不特定多数のインターネット利用者に閲覧等されるのを防止すべき義務があるのに,・・・・ABCDこもごも,・・・児童ポルノを不特定多数の者に公然陳列しようとした際,同掲示板にこれらの画像が受信掲載されていて,不特定多数のインターネット利用者が再生閲覧することが可能であることを知りながら,敢えてこれを放置し,もって,これを幇助した。

横浜地裁H15.12.15(正犯)
児童ポルノ公然陳列罪において不作為の態様による犯罪の成立を否定すべき理由はなく,前掲各証拠によれば,被告人は本件ホームページの開設・管理者としてアップロードされた児童ポルノ画像を削除する作為義務も作為可能性もあったことは明らかであり,にもかかわらずこれを削除しなかった被告人の刑責はアップロード者の刑責とは別に追及されるべきものであると考えられるから,アップロード者の刑責で児童ポルノ画像が公然陳列されたことによる法益侵害が評価し尽くされるとはいえないし,被告人が事後従犯になるものでもない。

「素人モデル撮影会」の危険性

 児童ポルノ・児童買春でもよく出てきますが、出会い系サイトには該当しないので、放任状態です。
 児童モデルと本番行為をすると、児童買春+児童ポルノ製造で即、公判請求になります。
 支払った金は「性交等の対償」ではなく「撮影の対価」だという弁解はし飽きました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071110-00000006-gen-ent
 掲示板はもっとスゴイ。
「29歳主婦です。結婚してモデルをやめ、子供をひとり産んでますが、体のラインは崩れていません。妊娠線もまったく目立ちません。また、モデルをしてみたいと思い応募しました」
「22歳で色白のDカップです。撮影内容と希望日時、ギャラを書いてお返事下さい」
「ハードな撮影も応相談。内容と時間・ギャラや希望日時の4点を必ず書いてお返事頂けるようにお願いします」
 こんな書き込みが写真付きでワンサカ掲示されているのだ。
「今回もそうですが、掲示板で直接交渉し、1対1で撮影を行うケースは犯罪につながりやすい。強姦、脅迫、ネット流出は後を絶ちません。安易にヌードを撮らせる女性も悪い。追加料金で“本番”に応じる女性までいます。はじめから援助交際目的でモデルに応募していたり、美人局(つつもたせ)も横行しています」(事情通)

逮捕までの段取り

 そんなこと心配してもしょうがないと思うのですが、よくある質問です。心配しているうちに、又は、自分だけは逮捕されないと高をくくっているうちに逮捕されるものです。
 どこの警察でもこういう感じでやってますよね。

1 捜査の端緒=被害児童の携帯電話(補導・職務質問・拾得物でもなんでもあり)
2 通話・メール先について携帯電話会社へ捜査事項照会
3 並行して、被害児童の事情聴取(取調)
 ここで「××歳の児童であることは事前に伝えました」「対償供与の約束をして性交したことは間違いありません」等、固めてしまう。
4 児童買春の事実が確認されれば、さらに、現場の実況見分・ホテルの帳簿・被疑者の人定などを含めて、逮捕状請求の資料を揃える
5 逮捕状請求
6 被疑者を警察署に呼び出して通常逮捕

 怖いのは、真実はどうであれ、逮捕前に、刑事vs児童の力関係で、「××歳の児童であることは事前に伝えました」「対償供与の約束をして性交したことは間違いありません」と供述を固められていること、被疑者もいい人(頑強でない人)が多いので逮捕されると早期釈放を期待して早期に全面自供してしまうことですね。
 経験的にいうと、逮捕状請求前までなら、弁護人を選任して活動してもらえば、状況が好転することがあります。