児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

体液を掛ける行為を強制わいせつ罪とした事例(奈良地裁H19.11.7)

 わいせつ行為というのは無限定です。

強制わいせつ罪の被告に実刑判決 奈良地裁、懲役4年6カ月 /奈良県
2007.11.08 朝日新聞社
 小学生の女児らに路上で体液をかけたとして、強制わいせつなどの罪に問われた被告(39)の判決公判が7日、奈良地裁であり、石川恭司裁判官は懲役4年6カ月(求刑懲役5年)の実刑判決を言い渡した。
 判決によると、被告は05年2月から今年3月の間、京都市内や奈良市内の路上などで、たばこの包装フィルムに入れた自分の体液を8〜19歳の女性計16人の顔などに投げつけた。

近親者からの被害が増えている(沖縄県警)

 沖縄だけなのかはわかりません。

県内強姦 倍増23件/07年10月末 県警まとめ/暴行、わいせつも増
2007.11.09 琉球新報
 県警によると、強姦は二十三件で前年同期比で十三件増加し、暴行は百六十件で三十二件増加した。傷害は百六十三件で七件減少、強制わいせつは五十件で五件増加、略取誘拐は三件で二件減少した。検挙率は65・9%で4・8ポイント悪化した。
 強姦事件の被害者には、中学生一人、高校生四人、大学・専門学生一人の計六人の未成年者が含まれている。
被害が増加したことについて、県警は「毎年被害が増減するので、今年が昨年より増えた理由は分からない」としている。ただ、近親者からの被害や夜中の被害が多いため、注意を呼び掛けている。

情報ネットワーク法学会第7回研究大会

 掲示板管理者(プロバイダ)の刑事責任について、裁判例を紹介しました。
 現在、基調講演「情報ネットワーク社会と刑法」山口厚教授。

 山口教授曰く

危険源を制御する責任・・・
設置したサーバを危険源とすることは、例外的をのぞいて無理
一般に他人によって危険が生じたときに、削除義務が生じるとすることはできない。
他人による既発の危険を解消する義務はない。
既発の危険を利用する意図がある(働きかけた)ときのみに削除義務がある。

とのこと。不真正不作為犯。
 最後の討論のパネラーも立法化には消極的。ホットラインセンターは、法律なくても警察が摘発してくれる云々。
 ということで、判例動向に注意するとともに、正犯か幇助かわからない刑事責任が我が身に降りかからないように注意しましょう。

飛び降り自殺者を重過失致死で送検

 「過失」だと犯罪被害者給付金制度が適用されないような気がします。「重過失」はどうなんでしょう?
 以前、同種の事件で、「傷害致死」で送検してませんでしたっけ?
こんなところで飛び降りたら、地上の他人を傷つけるという未必の故意はありますよね。
 亡くなった方には気の毒ですが、巻き添えで死亡した方への補償も考慮して罪名を決める必要があります。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071110-00000912-san-soci
警視庁池袋署は男性を司法解剖して詳しい死因を調べるとともに、飛び降りた女性について、重過失致死の疑いで容疑者死亡のまま書類送検する方針。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071110-00000033-mai-soci
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071110-00000204-yom-soci

犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律
第2条(定義)
この法律において「犯罪被害」とは、日本国内又は日本国外にある日本船舶若しくは日本航空機内において行われた人の生命又は身体を害する罪に当たる行為(刑法(明治四十年法律第四十五号)第三十七条第一項本文、第三十九条第一項又は第四十一条の規定により罰せられない行為を含むものとし、同法第三十五条又は第三十六条第一項の規定により罰せられない行為及び過失による行為を除く。以下「犯罪行為」という。)による死亡、重傷病又は障害をいい、犯罪行為の時又はその直後における心身の被害であつてその後の死亡、重傷病又は障害の原因となり得るものを含む。
2 この法律において「犯罪被害等」とは、犯罪被害及び犯罪行為により不慮の死を遂げた者の遺族が受けた心身の被害をいう。
3 この法律において「重傷病」とは、負傷若しくは疾病が治り、又はその症状が固定する前における当該負傷又は疾病に係る身体の被害であつて、当該負傷又は疾病の療養の期間が一月以上であつたことその他政令で定める要件を満たすものをいう。
4 この法律において「障害」とは、負傷又は疾病が治つたとき(その症状が固定したときを含む。)における身体上の障害で政令で定める程度のものをいう。
5 この法律において「犯罪被害者等給付金」とは、第四条に規定する遺族給付金、重傷病給付金又は障害給付金をいう。

http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/soudan/hanzai/hanzai6.htm
犯罪被害給付制度は、通り魔殺人等の故意の犯罪行為により、不慮の死を遂げた被害者の遺族や、身体に重傷病を負い又は障害が残った被害者に対して、社会の連帯共助の精神に基づき、国が犯罪被害者等給付金を支給し、その精神的、経済的打撃の緩和を図ろうとするものです。

なお、公安委員会の裁量で重過失でも支給されたことがあるようです。

闘犬にかまれた男児兵庫県が犯罪被害者給付金支給へ
2005.02.05 読売新聞社
昨年四月、兵庫県明石市の県立明石公園で闘犬(体長約八十センチ、オス)にかまれ、重傷を負った同市内の男児(4)に対し、県公安委員会は五日までに、犯罪被害者等給付金を支給することを決めた。過失犯罪の被害者に同給付金が出るのは全国的にも珍しいという。
男児は、鎖が外れた闘犬に襲われて頭に大けがをしており、散歩させていた神戸市内の男(28)が重過失傷害罪で起訴された。神戸地裁明石支部は「昼間の公園に危険な闘犬を連れて行ったことは極めて故意に近い過失」と懲役二年四月の実刑判決を言い渡していた。