児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

摘発違法サイトに警告文 警察庁

 兵庫県警の事件といえば、当たりがつくのですが、urlがわからないので仕組みがよくわかりません。
 ワンクリック詐欺みたいに、「見る方も違法です。警察に通報しました。」って、一発かましておいた方がいいかもしれません。
 児童買春事件に頻出する出会い系サイトでも「当サイトでの逮捕者、今月××人。通算×××人」と表示するとか。

http://news.goo.ne.jp/article/kyodo/life/CO2007062501000100.html
摘発された違法サイトを開こうとすると「このようなサイトを利用すると犯罪の助長行為になります」という警告文を表示する取り組みを、警察庁がこのほど始めた。早速、兵庫県警が摘発した携帯電話向けサイトに警告文が表示された。全国の警察が昨年摘発したサイトは20数カ所で、ほとんどがわいせつ画像や著作権侵害などのサイト。警察庁は「見ていた人が違法性を認識してくれれば」と期待を寄せる。

http://www.asahi.com/national/update/0630/TKY200706300224.html
HPを閉鎖したサービス提供業者やネット接続業者らに掲載を依頼する。
兵庫県警が摘発した携帯電話のわいせつHPにアクセスするとこのような「※警告※」が表れる
 わいせつ画像や児童ポルノは、個人が見たりダウンロードしたりすること自体は違法でないが、サイト運営者側の違法行為と表裏一体のうえ、利用者がこれらの画像を第三者に提供すれば罪に問われる。警告は利用者側からも、こうした犯罪を抑え込もうとの狙いだ。

 フィッシングの手口で警察サイトに誘導するのかと思いましたが、「依頼」するんだそうです。

被害児童への被害弁償中

 今日は朝から2件、弁償しました。
 だいたい受け取ってもらえますが、中には、被害児童本人から
  どうして名前知ってるんですか?
  被告人も知ってるんですか?
という問い合わせも。
 名前は起訴状に出てますから、被告人には送達されるし、公判廷で検察官が朗読されていますけど。
 捜査というのは訴訟のための証拠収集ですから、「被害者」として警察の取調を受けると、調書が刑事訴訟に回ってきて、弁護人に届く。これは被告人に見せてチェックしてもらいます。

「地元の××弁護士会でこの種の事件を扱う弁護士はいない」という苦情。

試しに、大阪弁護士会の情報提供サービス
http://www.osakaben.or.jp/web/lawyersearch/field_search.php
のフリーワードで検索してみて下さい。ヒットしないと思います。

奥村の登録内容
http://www.osakaben.or.jp/web/lawyersearch/result.php?id=026229
躊躇しているわけです。
「無料・電話相談」の依頼が集中するかもしれないので。

返済訴訟、控訴多分しない=近く総連と協議−土屋弁護士

 依頼者が決めることなのに、協議しないで漏らしちゃっていいの?
 執行逃れじゃなくて、時間稼ぎで控訴するというのは、よくある手で、控訴審で和解になることもあるのに、なんか、捜査でびびっちゃったということでしょうか?

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070625-00000043-jij-soci
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2007062500309
朝鮮総連側代理人の土屋公献弁護士は25日午前、「控訴するかしないか分からないが、多分しないと思う」と述べた。26日以降、総連側と協議するという。控訴期限は7月2日。

当初は任意に撮影・送信していた→後、強要した場合(岐阜県警)

 どっかの時点で間接正犯に変わっているかもしれません。

http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20070625/200706250827_2162.shtml
17歳少女を脅し、わいせつ画像送らせる
 調べでは、容疑者は今年4月中旬、少女がインターネット掲示板に「下着を売る」と書き込んでいたことから連絡を取り、少女のわいせつ画像を携帯電話メールで送るように依頼。当初は応じていた少女が要求を断るようになったことから、電話などで「今までの画像をばらまく」などと脅してわいせつ画像を送らせた疑い。 

 大阪では、強要しようとしまいと、間接正犯処理されているようです。

大須賀寛之「著作権侵害とプロバイダ等の責任」知的財産法の理論と実務 第4巻[著作権法・意匠法]

 民事と刑事が入り乱れた議論ですが、プロバイダ正犯説だと、差し止め対象もプロバイダなんでしょうね。

大須賀寛之「著作権侵害とプロバイダ等の責任」知的財産法の理論と実務 第4巻[著作権法・意匠法]
(2)刑事責任について
最近、電子掲示板の設置者がわいせつ事犯の不作為犯として検挙され、有罪判決を受けるという事案が見られる(東京高判平16 6 23公刊物未登載など)。著作権侵害についても刑事罰が設けられているので・同様にプロバイダ等の刑事責任が問題となり得る。この点については、プロバイダ等の行為を作為と捉えるのか不作為と捉えるのか、不作為犯と構成した場合の作為義務の根拠は何か、プロバイダ等は正犯か従犯かなど解決されなければならない解釈論上の論点が多い(山口厚ほか「プロバイダの刑事責任をめぐる問題」情報ネットワ-ク法学会等編インターネット上の誹謗中傷と責任109頁(商事法務2005年))。
なお、コンビュ-夕やネットワークを利用した犯罪行為については、国際社会が共通の認識のもとに対応することが不可欠であるが・・・

大須賀寛之「インターネットをめぐる著作権侵害について」知的財産法の理論と実務 第4巻[著作権法・意匠法]

 リンクの定義をいろいろ探しています。定義付けより、現象を説明した方が早いかもしれません。
 

(3) ハイパーリンクに関する問題
ウェブページを開設して情報発信する場合には、しばしば、他のウェブページにリンクを張る行為(ハイパーリンキング)が行われる。ウェブページ上の文字列や画像をクリックすると他のウェブページの情報を受信できるようにリンクが張られていることもあるし、フレーム技術(1つのウェブページを複数のウインドウに分割し、それぞれが独立して情報を表示できるようにする技術)を用いてウェブページ上に他のウェブページの情報を直接表示できるようにリンクが張られていること(フレーム・リンク)もある。いずれにしろ、リンクを張った者は、単にリンク先のウェブページのURLを指定しているに過ぎないのであり、リンク先の情報を複製しているわけでもなければ、リンク先のウェブページの情報を自ら送信しているわけでもない。フレーム・リンクの場合でも、情報の送信はあくまでリンク先のウェブページから行われており、受信した者がブラウザ上でウェブページを閲覧すると一体のウェブページのように見えるというに過ぎない。したがって、リンクを張る行為が直ちに著作権侵害になることはないと解される(もっとも、リンク先のウェブページで著作権侵害が行われていることを知りながら、敢えてリンクを張ったような場合には、リンク先のウェブページの情報発信者とともに共同不法行為が成立することはあろう。

 この後、winnyについても言及あり。

元教諭に懲役2年6月求刑=事故児童写真のHP掲載−東京地裁

 あっさり結審ですが、怒れる被害者に対して、情状立証は何をしたんでしょうか?こだわってやると、いろいろ忙しいですよ。
 量刑のポイントは、著作権侵害罪について、被写体の遺族の感情をどこまで考慮できるかですね。そこがネックになるので、重い量刑はできないのではないかと予想します。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070625-00000107-jij-soci
 弁護側は最終弁論で執行猶予付き判決を求めた。公判は結審し、判決期日は7月5日と決まった。
 この日の公判では、被害児童の遺族4人が意見陳述。名古屋市の当時(3)=の母(43)は「娘を二度も三度も殺された気分。犠牲者と遺族への冒涜(ぼうとく)だ」と述べ、厳しい刑を求めた。 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070625-00000512-yom-soci
検察側は「亡くなった子供たちをおとしめる行為で、癒やすことの出来ない悲しみに苦しむ遺族の感情を踏みにじった」と述べ、被告に懲役2年6月を求刑した。弁護側は執行猶予付きの判決を求めて結審。判決は7月5日に言い渡される。
 検察側は論告で、被告が勤務先の小学校で性的な目的で教え子の写真を撮影し、自分と同じような小児性愛者にメールで送付していたと指摘。「教師としての地位を悪用し、教え子の無防備な写真を平然と引き渡す倫理観の欠如は甚だしい」と厳しく批判した。

 「懲戒処分」の社会的制裁というのは最近効かないですね。

追記
 奥村は最近「寛大な・・・」という弁論要旨を書いてません。たいてい「類似裁判例に照らせば、懲役×年程度、執行猶予○年程度が相当である。」って書いていますね。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070626-00000014-san-soci
 検察側は「犯行は被告人の異常な性癖によるものであり、社会内での更生は極めて困難」として懲役2年6月を求刑した。弁護側は最終弁論で寛大な刑を求めた。判決は7月5日。
 検察側は論告で「被告が行ったのは単に著作権を侵害したにとどまらず、亡くなった子供をおとしめ、悲しみの癒えない遺族の感情を踏みにじる行為」と断じた。
 また、検察側は論告で、被告のパソコンには児童や死体の画像が約80万点も記録され、さらに性的な関心から教え子の写真も撮影して小児性愛者に送っていたことも指摘。「このような行為をする者に教師の資格はない」と述べ、懲戒免職になったことは特に斟酌(しんしゃく)すべき事情でないことを強調した。
 論告に先立ち、事故死した子供の写真を被告のHP「クラブきっず」に無断掲載された遺族が「子供を侮辱した被告を許すことはできない。最高の処罰を求めます」などと陳述。被告はうつむいたままで聞いていた。

 被害者の科刑意見は、常に処断刑期の上限です。怒っているのだから当然です。

ネット上の誹謗中傷などを有人監視する企業向けサービス

 結局、合理的された人海戦術
 名誉毀損・信用毀損の判断は、機械では困難でしょう。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070625-00000005-zdn_ait-sci
 サイトロックは6月25日、インターネット上で企業に対する誹謗中傷や内部告発、事故や犯罪に繋がる情報などが掲載されていないかを監視するサービス、「siteROCK Brand Care」(サイトロック・ブランド・ケア)を7月から提供開始すると発表した。
 これまでサイトロックは、クライアントPC、サーバ、およびびネットワーク機器といったITインフラの運用・監視を行うサービスを行ってきた。有人監視サービスは今回が初めて。

「学校裏サイト」管理人不起訴=書き込み、名誉棄損ならず−大阪地検 (時事通信社 - 06月25日 21:00)

 プロバイダの刑事責任、大阪地検は、不作為の幇助説なんですね。

http://www.jiji.co.jp/jc/c?g=soc_30&k=2007062500858
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070625-00000167-jij-soci
学校裏サイト」管理人不起訴=書き込み、名誉棄損ならず−大阪地検 (時事通信社 - 06月25日 21:00)
 インターネットの掲示板で、女子中学生を実名で中傷する書き込みを放置したとして、名誉棄損のほう助容疑で書類送検された掲示板管理人の20代男性=大阪市=について、大阪地検は25日、嫌疑不十分で不起訴処分とした。
 同地検は、書き込みの内容が名誉棄損ではなく、侮辱に当たると判断した。刑法の規定で、侮辱のほう助は罰することができない。
 男性は昨年10月から11月にかけ、大阪市内の私立中学の情報を扱った「学校裏サイト」で、当時13歳の女子生徒を実名で中傷する書き込みを削除するよう保護者が要請したのに拒否して放置。今年1月、大阪府警書類送検されていた。 

http://www.nhk.or.jp/osaka/lnews/03.html
これについて、大阪地方検察庁は掲示板に「うざい」などと記された書き込みは具体的な事実を指摘して相手を中傷する名誉棄損にはあたらず、事実を指摘しないで中傷する侮辱にあたると判断しました。
そして侮辱のほう助については刑事責任を問う規定がないとして大阪地方検察庁は男性を不起訴にしました。

 この解釈では、管理者の刑事責任の面では、掲示板での侮辱はやらせ放題ということになります。

刑法
第64条(教唆及び幇助の処罰の制限)
拘留又は科料のみに処すべき罪の教唆者及び従犯は、特別の規定がなければ、罰しない。
第231条(侮辱)
事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。