児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

調書修正、内容確認せず……県警、巡査部長を訓戒処分

 書類だけ整えようとする警察官もいるんですが、誤記の訂正なんて序の口です。
 取調もないのに警察が調書を印刷して被疑者の家に持ってきたりしますね(→不起訴)。
 また、児童買春罪で年齢不知を主張している被疑者が取調に行ったらいきなり「これに署名押印してください」と印刷した調書(「相手が18歳未満だと知っていました」)が出てきて、「訂正するにはもう一回来てもらわなあかん。」なんて言われたこともあります。(→不起訴)
 弁護人がいるのに。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/nagasaki/news003.htm
ひき逃げ事件の容疑者に修正した供述調書の内容を確認せず、地検に書類を送ったとして、県警の50代の男性巡査部長が虚偽有印公文書作成・同行使の疑いで2005年12月、長崎地検書類送検され、起訴猶予処分になっていたことが分かった。
 県警によると、巡査部長は平戸署の交通課に勤務していた同年10月、ひき逃げ事件の容疑者の供述調書を作成し、容疑者に署名、押印をさせた。しかし、図面の符号を誤記したことに気づき、正しく修正した1ページを差し替えたが、容疑者に内容を確認しなかった。地検の担当者が1ページだけ割り印がないことに気付いて発覚。巡査部長は「捜査を急いでいたため」と話したという。

静岡県青少年のための良好な環境整備に関する条例

 朝から静岡県条例の「青少年」の意味について質問があって、調べました。
 条文の通りです。
 静岡県では、万人に年齢確認義務があって、過失があれば処罰されるようです。国法にはこんな義務ないのに。怒らないんでしょうか?
 その割には、教員の淫行の報道をよく聞きます。

 この規定を楯にして
  年齢知らなくてもおまえはすでに条例違反で有罪だ
なんて児童買春の取り調べをやられると、堪りませんね。そのためにあるのかもしれませんが。

http://www.pref.shizuoka.jp/kyouiku/kk-09/documents/siori08.pdf
静岡県青少年のための良好な環境整備に関する条例
制定 昭和36年10月4日条例第55号
次代をになう青少年が、心身ともに健やかに成長することは、すべての人の念願であつて、青少年は人として尊ばれ、社会の一員として重んぜられ、よい環境のなかで育てられなければならない。
このために、県民は今日まで絶えまない努力を続けてきた。しかしながら、現代の社会環境は必ずしも満足すべき状態とは言えない。よつて、県民は、青少年に対し深い関心と愛情を持ち、青少年が近代社会人としての人間形成ができるよう、良好な環境を整備し、青少年の健全な育成を図らなければならない。ここに、新たな自覚と決意のもとにこの条例を制定するものである。
第1条 この条例は、青少年の健全な育成を図るため、良好な環境を整備することを目的とする。
(定義)
第3条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 青少年 小学校就学の始期から満18歳に達するまでの者(婚姻によつて成年に達したものとみなされる者を除く。)をいう。
(淫いん行及びわいせつ行為の禁止)
第14条の2 何人も、青少年に対し、淫いん行又はわいせつ行為をしてはならない。
2 何人も、青少年に対し、前項の行為を教え、又は見せてはならない。
(罰則)
第21条 第14条の2第1項の規定に違反した者は、2年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
7 第14条の2、第14条の3又は第15条に規定する行為をした者は、青少年の年齢を知らないことを理由として、第 1項から第3項までの規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない

淫行と恐喝。

 権利行使と恐喝という犯罪阻却の問題じゃなくて、罪数の話。
 稀にあるんですが、観念的競合としても、家裁に行ったり、地裁に行ったり。
 この事案では、地裁・高裁・最高裁は、観念的競合で地裁管轄としています。

被告人は,A17が満18歳に満たない児童であることを知りながら,同女が援助交際と称する売春をしていることに因縁をつけ,暴力団関係者を装い,同女に売春させるなどしてその売上金等を喝取しようと企て,・・・において,同女に対し,「やくざに断ってやってもらわなあかん。どないすんや。」,「どうやって稼ぐんだ。もっと援助交際して稼げ!」,などと語気鋭く申し向けて支払を要求し,同女をして,もし,その要求に応じなければ,暴力団員に引き渡されるなどした上,その身体等にいかなる危害を加えられるかもしれない旨畏怖困惑させ,1/1ころ上記対償金の中から万円の交付を受けてこれを喝取するとともに、さらに,2/1ころ,ホテル において,同女に対し,遊客Bを相手に対償の支払を得て性交させ,もって同女に淫行させた。

という事例。
 児童淫行罪の支配関係の一種として、脅迫・強要というのがあるんですが、その場合の罪数処理がまたややこしい。
 恐喝は1/1既遂、児童淫行罪は2/1既遂ですが、名古屋高裁は観念的競合としています。

 児童淫行罪と恐喝罪は併合罪
 被告人の行為の重心を恐喝罪という財産犯にあるとすれば、本件の淫行は、恐喝の手段として行われたものである。
 それが一番顕著に出ているのは、恐喝罪は1/1の交付で既遂となるのに、淫行はその後登場した遊客との間で2/1に行われている点である。恐喝罪既遂の時点では児童淫行罪は不成立なのである。

恐喝罪が先に既遂になっているのに、どうして観念的競合になるのであろう?社会見解上一個の行為とは到底言えない。

 また罪質から考えても、恐喝罪の本質は財産犯であるから財物取得に重心があるのに対して、児童淫行罪の本質は性犯罪であるから淫行(性交・性交類似行為)に重心があるのであって、
脅迫文言
  ↓
財物取得
  ↓
淫行
という時系列では、両罪の行為としては重なり合いが小さく、社会見解上1個の行為とは言えない。

4 児童淫行罪と恐喝罪は併合罪だとする判例名古屋高裁s42.3.1)
 このように、恐喝と児童淫行罪が手段結果の関係にあるときは、牽連犯ではなく、併合罪だというのが判例名古屋高裁s42.3.1)である。

5 恐喝罪と児童淫行罪の軽重(犯情)
(1)犯情(刑法10条3項)とは?
 判例によれば「刑法第十条第三項にいわゆる犯情とは、当該犯罪の性質、犯行の手口、被害の程度その他一切の情状を指称する」とされる。
 その判断の時点は、処断刑を定めるとき、すなわち判決時である。判決までに証拠として現れた事実を総合して、一切の情状を考慮して決めるのである。

(2)本件の犯情比較
 一般論として、恐喝罪は財産犯であるから、被害金額の大小が犯情を左右し、被害弁償によって財産的被害と精神的苦痛については補填しうる。
 その証拠に財産交付に至らないときは、未遂罪として懲役5年が上限となる。
 これに対して、児童淫行罪の保護法益は、単に犯行時における性的自由の侵害だけではなく、児童の徳性・健全成長に対する悪影響をも含むものであり、金銭賠償によっては補填できない。(心身の傷は自然治癒に任されていて、治癒するかどうかはわからない。)
 それ故に、強制の要素(強姦・強制わいせつ)がなくても懲役10年という法定刑となっているのである。(強制の要素があれば、別途強姦罪・強制わいせつ罪が成立し観念的競合となる)
 近時児童福祉法が改正されて罰則が強化された、すなわち、児童の思慮浅薄につけ込む性犯罪の被害を重視するという動向も看過できない。

 本件についてみると、恐喝罪の被害金額は弁償が行われていること、他方、被害児童の健全育成のためのケアが行われていないことを考慮すれば、一審判決時や原判決時点における犯情比較では、児童淫行罪が最も犯情が重いことは明らかである。
 仮に弁償が児童淫行罪の被害に限定したものであるとしても、児童淫行罪が最も犯情が重い。


(3) 児童淫行罪の方が恐喝罪より犯情が重いという裁判例
 実は、同種の裁判事例では、児童淫行罪が最も重いとされている。福井家裁事件の恐喝も悪質であるが、児童淫行罪が犯情重いとされているのである。
福井家裁H14

「プロバイダ責任制限法 発信者情報開示関係ガイドライン」

http://www.telesa.or.jp/consortium/provider/2007/20070226.htm
 これでわかるんでしょうか?
 名誉毀損もプライバシーも最終的には裁判所とか弁護士任せということになります。
 なんかそういう判定屋みたいな仕事ばっかりです。
 

http://www.telesa.or.jp/consortium/pdf/provider_070226_guideline.pdf
6 発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の判断
(1) プロバイダ等は、請求書の記載に基づいて、請求者が発信者情報の開示を受けるべき正当な理由を有しているかについて判断することとする。
(2) 発信者情報の開示を求める理由が、①損害賠償請求権の行使のためである場合、②謝罪広告等名誉回復措置の要請のため必要である場合、③発信者への削除要請等、差止請求権の行使のため必要である場合には、通常は、請求者は発信者情報の開示を受けるべき正当な理由を有しているものと考えられるが、例えば差し止め請求の場合に既に権利侵害情報が削除されており、請求の必要性がなくなっていることなどもありうることから、発信者の意見も考慮した上で判断する必要がある。
その他の理由であって、正当な理由を有しているか否かについての判断が困難な場合には、プロバイダ等は、弁護士等の専門家に相談した上、判断を行うことが望ましい。

b) これらの事情等は、個別の事案の内容に応じて判断されるべきものであり、プロバイダ等において判断することが難しいものでもある。したがって、現時点において権利侵害の明白性が認められる場合についての一般的な基準を設けることは難しい。発信者に対して意見を聴取した結果、公益を図る目的がないことや書き込みに関する事実が真実でないことを、発信者が自認した場合などには、名誉毀損が明白であると判断してよい場合があるが、それ以外の場合については、以下の発信者情報の開示を認めた裁判例等を参考にして、権利侵害の明白性の判断を行い、判断に疑義がある場合においては、裁判所の判断に基づき開示を行うことを原則とする。


b) 以上によれば、情報の流通によるプライバシーの侵害について一般的な基準を設けることは難しい。しかしながら、プライバシー侵害が明白であるとして発信者情報の開示が認められた事例なども考慮すれば、一般私人の個人情報のうち、住所や電話番号等の連絡先や、病歴、前科前歴等、一般的に本人がみだりに開示されたくないと考えるような情報については、これが氏名等本人を特定できる事項とともに不特定多数の者に対して公表された場合には、通常はプライバシーの侵害となると考えられる。また、一般私人に関するものであることからすれば、違法性を阻却するような事情(社会の正当な関心事である等)が存在することも一般的には考えにくい。
したがって、このような態様のプライバシー侵害については、当該情報の公開が正当化されるような特段の事情がうかがわれない限り、発信者情報の開示を行うことが可能と考えられる。

http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=MMITba002026022007
 策定にあたり一般から募集したパブリックコメントでは、プロバイダーのほか、弁護士や学校教諭などから57件の意見が寄せられた。その中には、「表現の自由などの権利に対し、一プロバイダ・管理人が判断していいのか」という意見が目立ったという。
 これに対し桑子氏は、「もともと法律の枠内としてあったもので、それに従ってガイドラインをつくった。裁判になると時間と労力がかかり、情報開示の請求をためらう人も多かったので、場合によってはプロバイダーの判断で速やかに対応できるように書式や手引きをつくった」と説明する。ガイドラインはあくまでもプロバイダ責任制限法法のなぞりにすぎないという位置づけで、「そもそもプロバイダーが個人情報を勝手に開示してよいのか」という議論は、ガイドラインではなく法律に問うべきだという。

これでだめなら、法改正しかないという御意見ですね。

逮捕者続出…大阪弁護士会が会員に「終身制」倫理研修

 一瞬「終身刑」かと思いました。
 奥村は若輩者ですので、日々研鑽を積んでおります。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070226i506.htm
 法のプロにも終生、倫理を磨いてもらいます――。昨年秋から半年間で5人もの逮捕者を出した大阪弁護士会(小寺一矢会長、会員3069人)が新年度から全会員に対し、「終身制」の倫理研修を義務付ける方針を固めた。
 これまでは弁護士歴30年以内を対象としてきたが、50〜70歳代のベテランばかりが事件を起こしたことを重視、3月の臨時総会で正式決定する。同弁護士会は「明らかに異常事態。弁護士として恥ずかしい限りだが、自覚に任せるばかりでは……」と危機感を募らせている。
 同弁護士会によると、倫理研修は、依頼者からの預かり金口座の取り扱いなど実例を交えた内容で、弁護士登録時と5、10、20、30年目に受けるよう義務づけている。

児童買春1罪で懲役1年6月執行猶予3年(地裁)

という判決をいただきました。ありがとうございました。
 近頃、必ずしも、1罪=罰金では済まないようです。
 取り締まっても、効果薄いときは、厳罰化に向かうおそれがあります。

絶対に別れない。

 ちなみに、法廷で「もう二度としません」といって、執行猶予になった被告人のうち、取り消される人は、13.3%(保護観察付きだと27.7%)だそうですよ。
 奥村の元依頼者では、再犯した人は1人だと思います。連絡がないので知らないだけかもしれませんが。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070226-00000046-mailo-l23
東山動植物園:「乗ると別れる」打ち消して! 上池のボート、噂逆手に無料 /愛知
1時間まで無料乗船出来るようにした。物珍しさも手伝って、イベント開始後、多くのカップルが搭乗し愛の絆をより深めている。
 ボートを利用した(26)と、(25)は「付き合って3カ月。彼の転勤で、1月から遠距離恋愛となり、東山動植物園では初デート。寒かったけれど、周りの目も温かく、楽しかった。絶対に別れない」と話していた。

http://hakusyo1.moj.go.jp/nss/list_body?NSS_BKID=43&HLANG=&NSS_POS=80
平成13年における執行猶予取消人員は,前年より240人(3.8%)増加して6,541人となっており,取消事由は,再犯により禁錮以上の刑に処されたことによるものが94.2%と圧倒的に多数を占めている。
 なお,ある年次における執行猶予確定人員と,その年次における執行猶予取消人員とでは,その対象が異なるので,前者に対する後者の比率は,厳密な意味での執行猶予取消率とは言えないが,執行猶予取消しのおおよその傾向を知るため,この比率を算出すると,執行猶予取消率及び保護観察付き執行猶予者の再犯による取消率は,それぞれ13.3%,27.7%となっている。これを罪名別(執行猶予確定人員総数及び保護観察付き執行猶予確定人員がいずれも100人以上のものに限る。)に見ると,執行猶予取消率は,覚せい剤取締法違反で25.4%,窃盗で22.3%の順で高く,保護観察付き執行猶予者の再犯による取消率は,覚せい剤取締法違反で37.5%,窃盗で33.0%の順で高くなっている(検察統計年報による。)。

 覚せい剤の執行猶予は1/4も取り消されるんですね。
 だから、
   覚せい剤で執行猶予判決を受けたら取り消される
というのは、都市伝説でもなんでもないです。

反省文・謝罪文・嘆願書・詫び状の添削

 今日は添削屋さんみたいでしたが、
  どの行為の、
  誰に対する
  どんな結果
について謝るのか、

 さらに、その行為について
  自分でどう評価していて、
  原因はどこにあって、
  どう改善されたのか
を自分の言葉で明らかにしましょう。

児童の遺族も教諭告訴=HPに写真無断転載

 著作権法違反は親告罪なので、弁護人が示談に行ってるはずですが・・・
 遅い・誠意がないと言われても、行ってるはずですが・・・

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2007022600786
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070226-00000114-jij-soci
3児童の遺族も教諭告訴=HPに写真無断転載
 交通事故で死亡した児童の写真がインターネットのホームページ(HP)に無断掲載された問題で、3児童の遺族が26日、HPを開設した容疑者(33)=児童買春・ポルノ処罰法違反容疑で逮捕=について、著作権法違反容疑で警視庁に告訴した。同庁は同容疑での立件に向け捜査を進めている。


 サーバで行われるとされる事件(公然陳列罪、公衆送信権侵害罪、名誉毀損罪など)では、サーバのHDDが同じだと、行為が重なる(科刑上一罪)可能性が出てきます。
 サーバが違うから、愛知県警に告訴された事件とは、別罪(併合罪)だという理屈のようです。愛知県警の事件は愛知県警+名古屋地検がまだやってるということですね。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070227-00000101-yom-soci
事故死児童の写真HP掲載、著作権侵害で教師再逮捕へ
2月27日3時12分配信 読売新聞
 交通事故死した児童らの写真をインターネット上に無断掲載していた容疑者(33)(児童買春・児童ポルノ禁止法違反容疑で逮捕)について、警視庁生活経済課は26日、名古屋市で2002年9月に事故死した(当時3歳)らの無断掲載に関し、著作権法違反容疑(著作権侵害)で再逮捕する方針を固めた。
 昨年、愛知県警が同法違反容疑で書類送検しているが、同課では、写真を掲載したホームページ(HP)が複数のサーバーにまたがって開設されている点をとらえ、立件可能と判断、遺族の告訴を受理した。

被疑者・弁護人は、名古屋の事件についてはどう対応していたのか?