児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

H26からの強制わいせつ罪多数(被害者3名)につき、弁償2300万円・懲役9年(岡崎支部r01.6.3)

 求刑12年に弁護人は執行猶予を求めたようです。
 児童ポルノ製造罪は公訴時効なので起訴されていません。
 3歳4歳からの被害者からは供述は取れませんが、証拠の標目に画像が出てきますので、撮影されていたことがわかります。

名古屋地方裁判所岡崎支部令和01年06月03日
主文
被告人を懲役9年に処する。
未決勾留日数中100日をその刑に算入する。

理由
(罪となるべき事実)
 被告人は、後記のE園に保育士として勤務していたものであるが、
第1 別紙記載のD(当時4歳。以下「D」という。)が13歳未満の女子であることを知りながら、同人にわいせつな行為をしようと考え、平成26年2月27日午後2時12分頃から同日午後2時24分頃までの間、愛知県E園丙組において、同人に露出した自己の陰茎を口でくわえさせるなどし、もって13歳未満の女子に対し、わいせつな行為をした
第2 別紙記載のA(当時3歳。以下「A」という。)が13歳未満の女子であることを知りながら、同人にわいせつな行為をしようと考え、平成28年5月20日午後2時16分頃から同日午後2時27分頃までの間、前記E園乙組において、同人に露出した自己の陰茎を手で触らせ、口でなめさせるなどし、その陰部に直接自己の陰茎をこすりつけるなどし、もって13歳未満の女子に対し、わいせつな行為をした
第3 別紙記載のB(当時3歳。以下「B」という。)、A(当時4歳)及び別紙記載のC(当時4歳。以下「C」という。)がいずれも13歳未満の女子であることを知りながら、これらの者らにわいせつな行為をしようと考え、平成28年9月上旬頃、前記乙組において、
  1 Bに露出した自己の陰茎を手で触らせるなどし、
  2 Aに露出した自己の陰茎を手で触らせるなどし、
  3 Cに露出した自己の陰茎を手で触らせるなどし、
  もって13歳未満の女子に対し、それぞれわいせつな行為をした
第4 Bが13歳未満の女子であることを知りながら、同人にわいせつな行為をしようと考え、
  1 平成28年12月16日午後1時40分頃、前記乙組において、同人(当時3歳)の口に自己の陰茎をくわえさせるなどし、
  2 平成29年1月10日午後1時30分頃、前記乙組において、同人(前同)の口に自己の陰茎をくわえさせるなどし、
  もって13歳未満の女子に対し、いずれもわいせつな行為をした
第5 A(当時5歳)が13歳未満の者であることを知りながら、同人にわいせつな行為をしようと考え、平成30年3月16日午後2時20分頃、前記E園●●●倉庫において、同人の身体を同倉庫内の段ボールの上に仰向けに寝かせた上、そのパンツをずらして陰部を直接なめるなどし、もって13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした
第6 A(当時5歳)が13歳未満の者であることを知りながら、同人にわいせつな行為をしようと考え、平成30年5月18日午後6時20分頃、前記E園甲組において、同人の身体を同組内の畳の上に仰向けに寝かせた上、そのパンツをずらして陰部を直接なめるなどし、もって13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした
ものである。
(証拠)(括弧内の番号は、証拠等関係カード中の検察官請求証拠の番号を示す。)
判示事実全部について
 被告人の公判供述
 写真撮影報告書(甲2)
 捜査報告書(甲3)
判示冒頭事実について
 ●●●の警察官調書(甲10)
判示第1の事実について
 被告人の警察官調書(乙26ないし28)
 ●●●の警察官調書(甲87)
 写真撮影報告書(甲81、85、90)
 捜査報告書(甲82、86、89、93)、捜査報告書謄本(甲80)、捜査報告書抄本(甲83、84)
 「これらの写真に写っている女の子は間違いなく私の娘●●●です。」と題する書面抄本(甲88)
判示第2、第3の2、第5、第6の各事実について
 捜査報告書(甲95)
判示第2ないし第4の各事実について
 写真撮影報告書(甲21)
判示第2の事実について
 被告人の警察官調書(乙19、20)
 写真撮影報告書(甲61)
 捜査報告書(甲52、53、56、57、62)、捜査報告書抄本(甲54、55、58)
 「これらの写真にうつっているのは娘の●●●にまちがいありません」と題する書面抄本(甲60)
判示第3の事実全部について
 被告人の検察官調書(乙25)、警察官調書(乙22ないし24)
 捜査報告書(甲63、71、79)、捜査報告書抄本(甲64ないし70)
判示第3の1の事実について
 ●●●の警察官調書抄本(甲72)
 捜査報告書抄本(甲73)
判示第3の2の事実について
 ●●●の警察官調書(甲74)
 捜査報告書抄本(甲75)
判示第3の3の事実について
 ●●●の警察官調書(甲76)
 捜査報告書抄本(甲77)
判示第4ないし第6の各事実について
 捜査報告書(甲7)
判示第4の事実全部について
 捜査報告書(甲22、51)、捜査報告書抄本(甲46)
 動画の切り抜き画像が添付された書面等の抄本(甲47)
判示第4の1の事実について
 被告人の警察官調書(乙14、15)
 捜査報告書(甲37、39、41、43ないし45)、捜査報告書抄本(甲36、38、40、42)
判示第4の2の事実について
 被告人の警察官調書(乙16、17)
 報告書(甲31)、捜査報告書(甲24、26、28、30、33、35)、捜査報告書抄本(甲23、25、27、29、32、34)
判示第5、第6の各事実について
 捜査報告書(甲20)
判示第5の事実について
 被告人の検察官調書(乙11)、警察官調書(乙9、10)
 写真撮影報告書(甲17、18)
 捜査報告書(甲11、13)、捜査報告書抄本(甲12、19)
判示第6の事実について
 被告人の検察官調書(乙7)警察官調書(乙2ないし4)、警察官調書抄本(乙6)
 写真撮影報告書(甲9)
 捜査報告書(甲4、5)、捜査報告書抄本(甲6、8)
(適用法令)
1 罰条
  判示第1ないし第4の各所為 各行為ごと(判示第3の各事実については各被害者ごと、判示第4の各事実については各行為ごと)にいずれも平成29年法律第72号附則2条1項により同法による改正前の刑法176条後段
  判示第5、第6の各所為 いずれも刑法176条後段
2 併合罪の処理 刑法45条前段、47条本文、10条(犯情の最も重い判示第2の罪の刑に法定の加重)
3 未決勾留日数の算入 刑法21条
4 訴訟費用の不負担 刑事訴訟法181条1項ただし書
(量刑の理由)
 本件各犯行は、被告人が、E園の保育士という立場にありながら、被害者である園児らが被告人に懐いていることに乗じて、その歪んだともいえる性欲を満たすため、性的行為の意味すら理解していない被害者らに対して行った極めて卑劣な行為であるところ、一連の犯行が、中断した時期を挟んで4年間余りの期間にわたって行われている上、犯行態様をみても、自己の陰茎を被害者の陰部に押しつけたり、被害者らの口にくわえさせたり、被害者らの陰部をなめたりするなどの強度のわいせつ行為に及んでいる点で、その犯情は相当に悪質というほかはない。
 幼児に対する性的被害に関する研究を行っている専門家は本件のような性的被害が被害者らの今後の健全な生育に悪影響を及ぼす高い可能性を指摘していることを踏まえると、本件各犯行が被害者らの今後の成長に与える悪影響も強く懸念されるところであり、保育士として信頼していた被告人により自分の子どもが被害を受けたことを知った各被害者の親の処罰感情も極めて厳しい。
 以上によれば、被告人の刑事責任は相当に重く、本件が刑の執行を猶予するのが相当な事案とは到底認め難く、被告人に対しては長期の実刑をもって臨むことが相当である。
 他方、被告人は、被害者らに対して総額2300万円●●●の金銭弁償を行い、うち●●●との間では民事的示談も成立させた上で、本件各犯行につき事実関係を全て認め、反省の情を示していること、被告人の妻が今後の監督を約束しているほか、被告人が社会復帰後において精神科医師による治療等を受けることが予定されていることで、被告人の今後の更生に結び付く事情もうかがえること、被告人にこれまで前科前歴がないことなどの事情も認められるので、これらの被告人のために酌むべき事情も考慮して量定した。
 よって、主文のとおり判決する。
(検察官●●●弁護人●●●各出席)
(求刑 懲役12年)
刑事部
 (裁判官 鵜飼祐充)