児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

h27.3.23 22:20ころの死亡交通事故について、禁錮3年、執行猶予5年(求刑・禁錮3年4月)(佐久支部H27.9.7)が確定した後、同日22:07の道交法違反(速度超過)等で起訴して、懲役3月罰金20万円が求刑され、公訴棄却となった事例(佐久支部H31.3.18)

「両親の願いは、有罪判決を受けた上で、15年の判決の執行猶予が取り消されること。」と報道されています。
 実体判決された場合、後の有罪判決(求刑懲役3月罰金20万円)については、前刑の余罪になるので、25条1項の要件で執行猶予が検討されることになります。
 参考条文と文献を挙げておきます。

模範六法
刑法第五〇条(余罪の処理)
 併合罪のうちに既に確定裁判を経た罪とまだ確定裁判を経ていない罪とがあるときは、確定裁判を経ていない罪について更に処断する。
併合罪の関係に立つ数罪が前後して起訴され、前に起訴された罪について刑の執行猶予が言い渡されていた場合に、後に起訴された余罪が同時に審判されていたならば一括して執行猶予が言い渡されたであろうときは、右の後に起訴された罪については、本条一項によってさらに執行猶予を言い渡すことができる。(最大判昭31・5・30刑集一〇━五━七六〇)
※本条一項によって刑の執行を猶予された罪の余罪について、さらに執行猶予を言い渡すためには、両罪が併合罪の関係にあれば足り、実際上、同時審判が不可能ないし著しく困難であるかどうか、または同時に審判されたならば執行猶予を言い渡しうる情状があるかどうかを問わない。(最大判昭32・2・6刑集一一━二━五〇三)

条解刑法
10)余罪と執行猶予
執行を猶予された罪の余罪の場合本条1項l号の要件を文字どおりに解釈すると,ある罪について執行猶予を言い渡す有罪判決が確定した後にその確定前に犯した罪について刑を言い渡すべき場合でも執行猶予を言い渡すことはできないように思われる。しかし判例は,もしこれらが同時に審判されていたら一括して本条I項により刑の執行を猶予することができたのであるから,それとの権衡上,本条1項l号の欠格事由がないものとして更にその刑の執行を猶予することができるとする(最大判昭28・6・10集76~1404)。判例はこの考え方を更に進め,同時審判を受ける可能性がなかった余罪,すなわち,前の裁判の言渡し後確定前に犯した罪も同様に解している(最大判昭32・2・6集112 503)。したがって,ここでいう余罪とは,前の裁判確定時を基準としてそれ以前に犯した罪をいい,こ
の場合の執行猶予は本条2項ではなく1項によって言い渡すべきことになる(最大判昭31・5・30集105 760)。この場合に前の刑と余罪の刑とが合算して3年以下であることを要するかという問題があるが,消極に解すべきであろう(大阪高判昭42・10・6高集20-56230 なお,本条注15参照)。

判例秘書
判例番号】 L02220501
       賍物故買被告事件
【事件番号】 大阪高等裁判所判決/昭和41年(う)第984号
【判決日付】 昭和42年10月6日
【判示事項】 数個の罪の中間に確定裁判があるため同時に2個以上の刑に処する場合に、全部の刑について初度の執行猶予を言い渡すための宣告刑の刑期
【判決要旨】 数個の中間に確定裁判が介在するため、2個以上の懲役若しくは禁錮に処すべき場合、刑法25条1項の規定により右各刑につき刑の執行猶予の言渡をするには、それぞれの刑期が3年以下であれば足り、その各刑期を合算したものが3年以下であることを要しない。
【参照条文】 刑法25-1
【掲載誌】  高等裁判所刑事判例集20巻5号623頁
       判例タイムズ213号249頁
       判例時報510号76頁
【評釈論文】 研修236号31頁
       判例評論116号41頁

https://digital.asahi.com/articles/ASM3J6HXLM3JUOOB00P.html?iref=pc_extlink
 一度判決が確定した交通事故を巡り、その後判明した速度違反を改めて罪に問えるのか。こうした点が争点となった裁判で、長野地裁佐久支部は18日、長野県御代田町の会社員男性(46)に公訴棄却(求刑懲役3カ月)の判決を言い渡した。事故で中学3年の息子を失った両親が、男性を執行猶予とした1度目の判決に不満を抱き、独自の調査で大幅な速度超過の疑いを訴え実現した2度目の裁判だったが、思いは届かなかった。

 被告側は今回の裁判で、一つの事件について再び罪に問えない「一事不再理」の原則を訴えて免訴を求めた。この点、勝又来未子裁判官は「(両事件は)社会的見解上、別個のものと評価できる。一事不再理には当たらない」と判断。そのうえで、法定速度を36キロ上回る時速96キロだったとする検察側の主張については「合理的な疑いが残る」とし、時速76キロだったと認定。道路交通法上の反則行為に当たると判断したが、裁判を起こすには本人に通知したうえ、未納のまま納付期間を経過する必要があるが、それを踏んでいない形式上の不備があるとして公訴を棄却した。

https://digital.asahi.com/articles/ASM3J4VTCM3JUOOB00B.html
地検、告発受け起訴
 「謝罪はいらないから、本当のことを話してほしい」。事故の1年後、男性から届いた2回目の手紙にこう返事を書いたが、反応はなかった。「真相を知りたい」という思いは、怒りに変わっていた。17年5月、地検に告発状を提出した。
 地検は告発を受けて捜査を始めた。事故があった午後10時7分ごろの時速は96キロだったとして、18年2月、男性を道交法違反(速度超過)の罪で起訴。事故後の車の改造についても問い、道路運送車両法違反(不正改造)の罪も加わって、再び裁判が始まった。
 そして18日、判決の日を迎える。検察側は速度超過について懲役3カ月を、不正改造について罰金20万円を求刑。両親の願いは、有罪判決を受けた上で、15年の判決の執行猶予が取り消されること。刑務所に、ただ入ってほしいわけではない。「反省の機会にしてほしいんです」と善光さん。1人の命を奪ったという事実と、向き合ってほしいだけだ、という。
     ◇
 男性側は速度超過の罪について、判決で確定済みの事件については再度、罪には問われない刑事訴訟法上の原則「一事不再理」にあたると主張。有罪か無罪かを判断せず、裁判を打ち切る免訴などを求めている。不正改造の罪についても違法とまでは言えないとし、無罪を主張している。
 長野地検の干川亜紀次席検事は、15年の時点で道交法違反を適用しなかった理由について、「お答えできません」とした。当時は時速70~80キロとしており、捜査不足ではなかったのかとの指摘にも、コメントはしなかった。