児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp@okumura-tanaka-law.com)

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深夜、幼なじみの一六歳の女子をその依頼に応じて、自動車に同乗させた少年に対する北海道青少年保護育成条例違反保護事件につき、警察は補導したが、審判不開始になった事例(釧路家裁S51.9.25)

北海道青少年保護育成条例保護事件
釧路家庭裁判所決定昭和51年9月25日
家庭裁判月報29巻5号94頁
       主   文
 この事件について審判を開始しない。
       理   由

1本件送致事実の要旨は、
 「少年は、Aと共謀のうえ、正当な理由がなく、保護者の依頼または承認を得ないで、一八歳未満の○狭○代○(昭和三四年一〇月二七日生、当時一六歳)を普通乗用自動車に乗車させて昭和五一年四月五日午後一一時から翌六日午前零時二五分ころまでの間、標津郡○○○町○×〇〇×丁目先付近路上を走行し、もつて深夜同伴したものである。」というにあり、上記事実は北海道青少年保護育成条例二〇条一号、一一条二項に該当するものであるという。
2同条例は「何人も正当な理由がなく、深夜において保護者の依頼を受けず、またはその承認を得ないで青少年を同伴してはならない」 (一一条二項)旨規定し、前示規定に違反した者に対し五、〇〇〇円以下の罰金または科料に処するものとし(二〇条一号)、青少年とは学齢始期から満一八歳に達するまでの者(ただし、女子であつて配偶者のある者を除く、二条一項)であり、深夜とは午後一一時から翌日午前四時までの間(一一条一項)であると定義している。
 ところで、同条例の規定自体よりして処罰対象とする「青少年の深夜同伴」行為とは「保護者の依頼を受け、またはその承認を得ない等正当な理由がない青少年の深夜同伴行為」であることは明らかであるが、それは一見すると極めて抽象的定義となつているものの、同条例の制定目的が「青少年の福祉を阻害するおそれのある行為を防止し、その健全な保護育成を図る」 (一条)ことにあるとされることをも考慮するときには、「青少年の福祉を阻害」するに至る危険性が認められ、かつその行為の態様等の諸般の事情が社会倫理的秩序において許容されないものと認められる場合を指称すると解するのが相当である。
3よつて本件記録をみるに、○狭○代○の司法巡査に対する供述調書によると、○狭は少年とは幼馴染の間柄であるが、昭和五一年四月五日午後一〇時三〇分ころ、○○○町内を歩行中、A運転の普通乗用自動車の助手席にいた少年より「どうしたのよ」と声をかけられたため、○○町にある実家に帰ろうと考え、「〇〇に帰るなら乗せて行つて」と頼み、少年らもこれに応じたので、後部座席に乗車し、その後Aが少年に「○○○町の親方のところに寄つて行く」といい、少年より「いいべ」と尋ねられたが、○○○ならそんなに時間がかからないと考え、「いいよ」と了承して〇〇〇町内を走行中警察官に発見された旨の記載があり、また少年の司法巡査に対する供述調書にも同旨の記載がある。
 以上の事実によれば、少年と〇狭とは幼馴染であつて、深夜歩行中の〇狭を発見した少年が不審に思つて声をかけ、〇狭からその実家まで乗車させてほしいとの依頼に応じて乗車させ、○狭の承諾のもとに途中寄道をしたというものであつて、かくの如き行為をもつて到底「青少年の福祉を阻害」するに至る危険性があるものとは認め難く、またその行為の態様等諸般の事情からして社会倫理的秩序において許容されないものとなし難いことも明らかであるから、少年の本件所為は同条例一一条二項に該当しないことに帰する。
4よつて本件については非行なしとして少年法一九条一項に則り、主文のとおり決定する。(裁判官 大淵敏和)

 条例の解説を見ても、裁判例は反映されてないようです。

北海道青少年健全育成条例の解説H19
(深夜外出の制限)
第35条
保護者は、やむを得ない理由がある場合のほか、深夜(午後11時から翌日午前4時までの聞をいう。以下同じ。)にその監護する青少年を外出させないように努めなければならない
2 保護者は、前項に規定する理由により深夜にその監護する青少年が外出する場合においては、自ら同行し、又は成人に依頼して同行させるようにしなければならない。ただし、必要やむを得ない事情がある場合は、この限りでない。
3 何人も正当の理由がなく、深夜において、保護者の依頼を受けず、又はその承認を得ないで青少年をその自宅以外の場所に連れ出し、同伴し、文はとどめではならない。
【趣旨】
本条は、心身ともに未成熟で、発達過程にある青少年が深夜に外出する行為について、犯罪等に巻き込まれたり、健全な育成には好ましくない誘惑等から青少年を守るため、保護者の注意義務と、保護者以外の者が保護者の依頼又は承認を得ないで青少年を外出させることを禁止する規定である。
【解説】
1 第1項関係
本項は、青少年の健全育成に配慮するため、基本的な考え方として、深夜外出を制限することを強く打ち出したものである。
青少年の深夜外出は、生活習慣の乱れの原因となるほか、他の青少年の不良行為(深夜はいかい等)からの影響や犯罪等に巻き込まれることが危慎されることから、保護者に対する注意義務を定めたものである。
「やむを得ない理由」とは、祭礼、初詣等の行事が深夜にわたるような場合であるが、これらについても、この条例の趣旨を考慮して保護者は特別の注意をはらう必要がある。
「外出」とは、住居や居所を離れているすべての状態をいい、街路の通行、はいかいはもちろん、無断外泊、宿舎やキャンプ等の施設からの外出も含まれる。
2 第2項関係
本項は、やむを得ない理由により青少年が外出する場合においても、保護者が同行するか成人に依頼して同行させるようにする注意義務を定め、保護者の責任を明確にするとともに、青少年の監護について自覚を促すことを目的とする。
「必要やむを得ない事情」とは、夜学、夜勤、新聞配達、青年団体の活動等の場合をいう。
3 第3項関係
本項は、保護者以外の者に対し、正当な理由がある場合を除き、深夜において青少年を自宅から連れ出すことなどを制限する規定である。
(1) 「何人も」とは、第20条の解釈と同様である。
(2) 「正当な理由」とは、保護者不在中における急病、災害等緊急事態等に関して保護者の委託又は承認を得ることができない場合、また、青少年の深夜外出を発見した場合に保護者のもとに同行する場合や一時保護のために児童相談所に同行する場合等をいう。
(3) 「連れ出し」とは、深夜において、青少年をその住所又は居所から離れさすことをいう。
(4) 「同伴」とは、屋外屋内の如何を問わず、当該青少年の住居以外のすべての場所において同伴することをいう。
(5) 「とどめ」とは、連れ出している、あるいは既に外出している青少年が、帰宅の意思を表しているにもかかわらず、それを翻意させ、又は制止することをいい、その手段は問わない。