児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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保護者と青少年とが同伴で深夜外出すること

 保護者同伴でも規制する方向のようです。

東京都青少年の健全な育成に関する条例の解説 令和元年8月
(深夜外出の制限)
第15条の4保護者は、通勤又は通学その他正当な理由がある場合を除き、深夜(午後11時から翌日午前4時までの時間をいう。以下同じ。)に青少年を外出させないように努めなければならない。

【要旨】
本条は、第1項において保護者に対し、深夜に青少年を外出させない努力義務を課し、第2項においてすべての者に対し、保護者の委託又は同意を得た場合その他正当な理由がある場合を除いて、深夜に青少年を連れ出すこと等を禁止した規定である。さらに、第3項においてすべての者に対し、深夜に外出している青少年の保護及び善導を、第4項において深夜に営業を営む事業者等に、その施設内及び敷地内にいる青少年に対し、帰宅を促すことをそれぞれ努力義務として定めている。
【解説】
本条でいう「保護者」とは、第4条の2第1項の「保護者」と同義である。近年、生活時間帯が深夜に及ぶとともに、深夜に営業する施設も増加したことなどから、青少年が深夜に繁華街を俳個し、コンビニエンスストア内や駐車場の敷地内、店の前の路上でたむろするなどの行動が目立つようになり、また、事件や犯罪に巻き込まれる事例も増えている。これらを背景に、平成16年の条例改正により新設された。
第1項は、本来第一義的に保護者が自覚を持つべき事項であるが、子供が深夜に俳個していたり、無断外泊をしていても、無関心であったり、携帯電話で連絡が取れるから問題がないとしてすぐに迎えに来ない保護者もいるなど、保護者の責任感が希薄化していることから、通勤又は通学その他正当な理由がある場合を除き、深夜に青少年を外出させない努力義務を保護者に課したものである。
これにより、保護者の責任を明確にし、自覚を促すことを目的としている。
ここでいう「正当な理由」とは、勉強又は就労(労働基準法で認められている範囲内に限る。)のように定例的なもの、本人又は保護者・親戚等の病気や事故、旅行先からの帰宅等の突発的又は一時的なものの両方が想定される

(深夜における興行場等への立入りの制限等)
第16条次に掲げる施設を経営する者及びその代理人、使用人その他の従業者は、深夜においては、当該施設に青少年を立ち入らせてはならない。
一興行場
二設備を設けて客にボウリング、スケート又は水泳を行わせる施設
三個室を設けて当該個室において客に専用装置による伴奏音楽に合わせて歌唱を行わせる施設
四設備を設けて客に主に図書類の閲覧若しくは観覧又は電気通信設備によるインターネットの利用を行わせる施設(図書館法(昭和25年法律第1 18号)第2条第1項に規定する図書館を除く。)
2前項各号に掲げる施設を経営する者は、深夜において営業を営む場合は、当該営業の場所の入口の見やすいところに、東京都規則で定める様式による掲示をしておかなければならない。

【要旨】
本条は、興行場、ボウリング場・スケート場・水泳施設、カラオケボックス、まんが喫茶・インターネットカフェの経営者等に対し、当該施設に深夜に青少年を立ち入らせてはならないことと、その旨の表示を義務付けた規定である。
【解説】
第’項は、第1号から第4号までに掲げる施設の経営者等に、深夜、青少年が当該施設に立ち入らないようにすることを求めたものである。保護者同伴の場合でも制限の対象となる。「当該施設」とは、当該営業が行われている施設をいい、「青少年を立ち入らせてはならない」とは、映画等の観覧やボウリング、カラオケ、インターネットの利用等を行う目的の青少年を入場又は入店させてはならないことをいう。
第1号に定める「興行場」とは、興行場法(昭和23年法律第137号)第1条第1項に定めるとおり、「映画、演劇、音楽、スポーツ、演芸又は観せ物を、公衆に見せ、又は間かせる施設」を指す。深夜における興行場等への立入制限については、青少年が、深夜の時間帯になる前に、すでに該興行場等に入場してしまっている場合の取扱いが問題となる。例えば、野球のナイター等で延長戦となり、又は劇場等で事故のため終演時間が遅れたなどの理由で、午後11時以降にまで立入りの状態が継続するような場合は、青少年に退場を求めることが本旨である。

神奈川県青少年保護育成条例の解説 令和5年3月
「第3章青少年の健全な育成を阻害するおそれの行為の制限等」(第24条~第34条)は、深夜外出の禁止、みだらな性行為の禁止など主に行為制限中心の規定で構成した。
小さな子どもを連れて深夜の繁華街で行動する保護者が増加していることが指摘されており、こうした行為が青少年の生活習慣の乱れを惹起するだけでなく、深夜外出への抵抗感を下げ、将来の単独外出を助長するおそれもあることから、「保護者は、特別の事情がある場合のほかは、深夜に青少年を同伴して外出しないよう努めなければならない」旨の規定を新たに定めた(第25条) 。

(保護者同伴による深夜外出の制限)
第25条保護者は、日常生活上必要である場合、青少年の健全な育成に資すると認められる場合その他の特別の事情がある場合のほかは、深夜に青少年を同伴して外出しないように努めなければならない。
〔趣旨〕
本条は、保護者が青少年を深夜に同伴して外出する行為が、当該青少年の生活習慣の乱れを惹起するだけなく、深夜外出への抵抗感を下げ、将来の単独外出を助長するなど、その健全な育成を阻害するおそれがあることから、特別な場合を除きこれを制限する規定である。
〔解説〕
1 「日常生活上必要である場合」とは、保護者が仕事等で帰宅が遅くなった際に青少年を同伴して食事や買い物をしなければならない場合等、家庭内の事情により、深夜に外出する必要がある場合をいう。
2 「青少年の健全育成に資すると認められる場合」とは、家族旅行、親子で行う天体観測、青少年健全育成活動の一環として行われるスポーツ等の合宿、ナイトウォークラリー、又は地域において慣習として深夜に行われる祭礼、盆踊り、年越しの初詣などへの参加等が該当する。