普通の自治体であれば、「抗拒不能に乗じて」がだめなら「みだらな性行為」として青少年条例違反で立件できるんですが、大阪はできないようです。
構成要件上、「淫行するなら大阪府で」みたいな条例になっています。
また、大阪府内で淫行する感覚で、他府県で淫行して検挙される人も多いです。
準強姦容疑、警官不起訴へ 大阪地検、罪状適用「困難」
2012.08.23 朝日新聞
大阪府貝塚市の海水浴場で、府警布施署の警察官が10代後半の少女を酒に酔わせて強姦(ごうかん)したとされる事件で、大阪地検は22日、準強姦容疑で逮捕された巡査長(27)の刑事処分を保留し、釈放した。地検は準強姦罪の適用は難しいとみており、不起訴処分にする見通し。
・・・・
地検は、関係者の証言や少女の酔いの程度などを踏まえ、準強姦罪とみなすことは困難と判断しているとみられる。22日が巡査長の勾留期限だった。
大阪府青少年健全育成条例
http://www.pref.osaka.jp/houbun/reiki/reiki_honbun/k2010487001.html
(みだらな性行為及びわいせつな行為の禁止)
第三十四条 何人も、次に掲げる行為を行ってはならない。
一 青少年に金品その他の財産上の利益、役務若しくは職務を供与し、又はこれらを供与する約束で、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと(児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第二条第二項に該当するものを除く。)。
二 専ら性的欲望を満足させる目的で、青少年を威迫し、欺き、又は困惑させて、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと。
三 性行為又はわいせつな行為を行うことの周旋を受け、青少年に対し当該周旋に係る性行為又はわいせつな行為を行うこと。
四 青少年に売春若しくは刑罰法令に触れる行為を行わせる目的又は青少年にこれらの行為を行わせるおそれのある者に引き渡す目的で、当該青少年に対し性行為又はわいせつな行為を行うこと。
酔わせて性交するのが、この「威迫・欺き・困惑」に当たるかですが、こういう解釈になっているので、難しいですね。
強姦・強制わいせつの補充性を意識した規定なんですが、準強姦・準強制わいせつ罪の補充性は意識してなかった。
「大阪府青少年健全育成条例の運用について」大阪府警例規
ア「威迫し」とは、暴行又は脅迫に至らない程度の言語、動作、態度等により心理的威圧を加えて相手方に不安の念を抱かせ、自由な判断力を低下させることをいう。
イ「困惑させて」とは、借金の返済を厳しく迫ったり、雇用関係、職場における上司と部下の関係等の特殊な関係を利用して義理人情の機微につけ込むことなど、心理的な圧迫を加え、精神上の自由な判断力を低下させることをいう。
大阪府青少年健全育成条例の解説(平成19年2月発行版)
ウ「威迫し」とは、暴行、脅迫に至らない程度の言語、動作、態度等により心理的威圧を加え、相手方に不安の怠を抱かせることをいう。例えば、暴力団の構成員であると言ってすごむことなどが挙げられる。
エ「欺き」とは、嘘を言って椙手方を錯誤に陥らしめ、又は真実を隠レて錯誤に路らしめる行為をいう。例えば、婚姻をするつもりはないのにもかかわらず婚姻をするつもりであると言うことなどをいう。
オ「困惑させて」とは、立場を利用したり、言語や態度により相手方を惑い困らせることをいう。例えば、雇用や金銭融通の恩義その他義理人情の機微につけ込むことや、職場の上司、教師などの立揚を利用することにより、青少年が拒否の意思表示をできなくすることなどをいう。
参考までに、隣県の条例を紹介しておきます。和歌山県内で同じ行為をすると、青少年条例違反で処罰されます。
和歌山県青少年健全育成条例
http://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/010100/reiki/reiki_honbun/k5010452001.html
(いん行又はわいせつ行為の禁止)
第26条 何人も、青少年に対し、いん行又はわいせつ行為をしてはならない。
2 何人も、青少年に対し、前項の行為を見せ、又はその方法を教えてはならない。