強制わいせつ罪の構成要件は「わいせつな行為をする」なので、これを被害者自身の行為で実現するには、被害者の行為を利用した間接正犯の議論があります。強制わいせつ罪の暴行・脅迫は対面状態を予定していて、隔地者だと道具性が弱いと思います。
また、従前、撮影する行為はわいせつ行為とされていますが、撮影させる行為をわいせつ行為とするのには、検察官・裁判所も抵抗していて
強制わいせつ罪否定説の高裁判例が4件あります。全部弁護人は奥村。
広島高裁岡山支部
東京高裁
名古屋高裁金沢支部
名古屋高裁金沢支部
最近になって、転説して強制わいせつ罪説の高裁判例が3件出ています。こちらも弁護人は奥村。
大阪高裁
大阪高裁
札幌高裁
撮影させる行為をわいせつ行為とするのか、送信させる行為までわいせつ行為とするのかにブレがあります。
検察官の裁量で、どっちでもいいという判例もあります
大阪高裁
大阪高裁
最高裁で決めて欲しいところです。
さらに、強制わいせつ罪を認める場合、児童ポルノ罪と強制わいせつ罪は観念的競合とされます。強制わいせつ罪の関係では撮影させるまでしか認定できないところ、犯人に画像が届いていることを理由付けに使いたいかから、一個の訴因にしてごまかします。
https://news.yahoo.co.jp/articles/dcc5f9d7adc3a282ac35c9572ee2e5e59a229d5b
起訴状などによりますと、被告は当時17歳の女子生徒に対し「下腹部に『奴隷』と書いた写真を送りなさい」などと迫り、裸の画像81枚を送信させた罪などに問われていました。
これまでの裁判で、弁護側は「芸術指導の目的だった」などとして無罪を主張していました。
18日の判決で、津地裁は「希望の美術大学に合格するためには、要求に逆らえないという状態につけ込んだ、陰湿で卑劣な犯行」として、懲役3年・執行猶予4年を言い渡しました。