児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

当時17歳の女子生徒に対し「下腹部に『奴隷』と書いた写真を送りなさい」などと迫り、裸の画像81枚を送信させた行為は、わいせつ行為か?(津地裁r5.8.18)

 強制わいせつ罪の構成要件は「わいせつな行為をする」なので、これを被害者自身の行為で実現するには、被害者の行為を利用した間接正犯の議論があります。強制わいせつ罪の暴行・脅迫は対面状態を予定していて、隔地者だと道具性が弱いと思います。
 
 また、従前、撮影する行為はわいせつ行為とされていますが、撮影させる行為をわいせつ行為とするのには、検察官・裁判所も抵抗していて
強制わいせつ罪否定説の高裁判例が4件あります。全部弁護人は奥村。
  広島高裁岡山支部
  東京高裁
  名古屋高裁金沢支部
  名古屋高裁金沢支部

 最近になって、転説して強制わいせつ罪説の高裁判例が3件出ています。こちらも弁護人は奥村。
  大阪高
  大阪高
  札幌高裁
 撮影させる行為をわいせつ行為とするのか、送信させる行為までわいせつ行為とするのかにブレがあります。

 検察官の裁量で、どっちでもいいという判例もあります
阪高
阪高

 最高裁で決めて欲しいところです。
 とりあえず控訴しましょう。

https://news.yahoo.co.jp/articles/dcc5f9d7adc3a282ac35c9572ee2e5e59a229d5b
 起訴状などによりますと、被告は当時17歳の女子生徒に対し「下腹部に『奴隷』と書いた写真を送りなさい」などと迫り、裸の画像81枚を送信させた罪などに問われていました。
 これまでの裁判で、弁護側は「芸術指導の目的だった」などとして無罪を主張していました。
 18日の判決で、津地裁は「希望の美術大学に合格するためには、要求に逆らえないという状態につけ込んだ、陰湿で卑劣な犯行」として、懲役3年・執行猶予4年を言い渡しました。