児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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刑事訴訟法改正による公訴時効の延長

公訴時効については、

附則
(公訴時効に関する経過措置)
第五条 
1第二条改正後刑事訴訟法第二百五十条第三項及び第四項の規定は、第二条の規定の施行の際既にその公訴の時効が完成している罪については、適用しない。
2 第二条改正後刑事訴訟法(施行日以後においては新刑事訴訟法)第二百五十条第三項及び第四項の規定は、刑法等の一部を改正する法律(平成十六年法律第百五十六号)附則第三条第二項の規定にかかわらず、第二条の規定の施行の際その公訴の時効が完成していない罪についても、適用する。

とされていて
新法はr5.7.13施行なので、
それまでに公訴時効になっている事件については、公訴時効になる。時効になった事件が復活することはない。もっとも、行為者が強制わいせつ罪と思っていても、強制わいせつ致傷とか強制性交(未遂)で捜査されることはあって、その場合には公訴時効は延長されることに注意。罪名・構成要件は行為時法による。
それまでに、公訴時効になっていない事件については、改正刑訴法の公訴時効の規定が適用される。被害者0歳だったりすると、18歳になるまでの期間+各罪の公訴時効期間まで伸びることになる。罪名・構成要件は行為時法による。

r05改正後の刑事訴訟法第二五〇条[公訴時効の期間]
① 時効は、人を死亡させた罪であつて拘禁刑に当たるものについては、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。
一 無期拘禁刑に当たる罪については三十年
二 長期二十年の拘禁刑に当たる罪については二十年
三 前二号に掲げる罪以外の罪については十年
②時効は、人を死亡させた罪であつて拘禁刑以上の刑に当たるもの以外の罪については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。
一 死刑に当たる罪については二十五年
二 無期拘禁刑に当たる罪については十五年
三 長期十五年以上の拘禁刑に当たる罪については十年
四 長期十五年未満の拘禁刑に当たる罪については七年
五 長期十年未満の拘禁刑に当たる罪については五年
六 長期五年未満の拘禁刑又は罰金に当たる罪については三年
七 拘留又は科料に当たる罪については一年〔本条改正の施行は、令四法六七施行日〕

③ 前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる罪についての時効は、当該各号に定める期間を経過することによつて完成する。
  一 刑法第百八十一条の罪(人を負傷させたときに限る。)若しくは同法第二百四十一条第一項の罪又は盗犯等の防止及び処分に関する法律(昭和五年法律第九号)第四条の罪(同項の罪に係る部分に限る。) 二十年
  二 刑法第百七十七条、第百七十八条第二項若しくは第百七十九条第二項の罪又はこれらの罪の未遂罪 十五年
  三 刑法第百七十六条、第百七十八条第一項若しくは第百七十九条第一項の罪若しくはこれらの罪の未遂罪又は児童福祉法第六十条第一項の罪(自己を相手方として淫行をさせる行為に係るものに限る。) 十二年
④   前二項の規定にかかわらず、前項各号に掲げる罪について、その被害者が犯罪行為が終わつた時に十八歳未満である場合における時効は、当該各号に定める期間に当該犯罪行為が終わつた時から当該被害者が十八歳に達する日までの期間に相当する期間を加算した期間を経過することによつて完成する。

刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案
(※令和5年5月30日衆議院において修正議決)
可決成立日 令和5年6月16日
公布日    令和5年6月23日(法律第66号)
官報掲載日 令和5年6月23日(号外第132号)
施行日    公布の日から起算して20日を経過した日。
         ただし、第2条の規定並びに附則第4条第1項
       及び第5条の規定は、公布日。
         第3条中刑事訴訟法第321条の2の次に1条を
       加える改正規定及び同法第323条の改正規定並
       びに附則第4条第3項の規定は、公布の日から起
       算して6月を超えない範囲内において政令で定め
       る日。
         附則第19条の規定は、刑事訴訟法等の一部
       を改正する法律(令和5年法律第28号)附則第1
       条第4号に定める日。 

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g21109058.htm
刑事訴訟法の一部改正)
第二条 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。
  第二百五十条に次の二項を加える。
   前項の規定にかかわらず、次の各号に掲げる罪についての時効は、当該各号に定める期間を経過することによつて完成する。

  一 刑法第百八十一条の罪(人を負傷させたときに限る。)若しくは同法第二百四十一条第一項の罪又は盗犯等の防止及び処分に関する法律(昭和五年法律第九号)第四条の罪(同項の罪に係る部分に限る。) 二十年

  二 刑法第百七十七条、第百七十八条第二項若しくは第百七十九条第二項の罪又はこれらの罪の未遂罪 十五年

  三 刑法第百七十六条、第百七十八条第一項若しくは第百七十九条第一項の罪若しくはこれらの罪の未遂罪又は児童福祉法第六十条第一項の罪(自己を相手方として淫行をさせる行為に係るものに限る。) 十二年

   前二項の規定にかかわらず、前項各号に掲げる罪について、その被害者が犯罪行為が終わつた時に十八歳未満である場合における時効は、当該各号に定める期間に当該犯罪行為が終わつた時から当該被害者が十八歳に達する日までの期間に相当する期間を加算した期間を経過することによつて完成する。

附則
(罰則の適用に関する経過措置)

第二条 この法律の施行前にした行為の処罰については、なお従前の例による。

2 前項の規定によりなお従前の例によることとされる場合における第一条の規定による改正前の刑法(以下「旧刑法」という。)第百七十六条から第百七十八条までの罪又はこれらの罪の未遂罪の被害者は、第三条の規定による改正後の刑事訴訟法(以下「新刑事訴訟法」という。)第百五十七条の六第一項の規定の適用については、同項第一号に掲げる者とみなす。

3 第一項の規定によりなお従前の例によることとされる場合における旧刑法第百七十六条から第百七十八条までの罪又はこれらの罪の未遂罪に係る事件は、新刑事訴訟法第二百九十条の二第一項の規定の適用については、同項第一号に掲げる事件とみなす。

4 第一項の規定によりなお従前の例によることとされる場合における旧刑法第百七十六条から第百七十八条までの罪は、新刑事訴訟法第三百十六条の三十三第一項の規定の適用については、同項第二号に掲げる罪とみなす。


(公訴時効に関する経過措置)
第五条 第二条改正後刑事訴訟法第二百五十条第三項及び第四項の規定は、第二条の規定の施行の際既にその公訴の時効が完成している罪については、適用しない。

2 第二条改正後刑事訴訟法(施行日以後においては新刑事訴訟法)第二百五十条第三項及び第四項の規定は、刑法等の一部を改正する法律(平成十六年法律第百五十六号)附則第三条第二項の規定にかかわらず、第二条の規定の施行の際その公訴の時効が完成していない罪についても、適用する。