児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

準強制わいせつ2件で執行猶予(神戸地裁r2.7.15)

準強制わいせつ被告事件(神戸地裁r2.7.15)

裁判年月日  裁判所名 神戸地裁 裁判区分 判決
事件番号 令2(わ)232号 ・ 令2(わ)265号
事件名 準強制わいせつ被告事件
文献番号 2020WLJPCA07156003

神戸地裁令和 2年 7月15日
準強制わいせつ被告事件
主文
 被告人を懲役3年に処する。
 この裁判確定の日から4年間その刑の執行を猶予する。
理由
 各被害者の氏名等及びその呼称は別紙のとおり。(別紙省略)
 (犯罪事実)
 被告人は,神戸市〈以下省略〉医療法人財団a・b病院に看護師として勤務
していたものであるが,同じく同病院に看護助手として勤務していた分離前の
相被告人C及び看護師として勤務していた分離前の相被告人Dと共謀の上,入
院中の被害者A(当時62歳)及び被害者B(当時59歳)が,いずれもその
精神障害のため心神喪失の状態にあることに乗じて,両名にわいせつな行為を
しようと考え,以下の各行為を行った。
 第1 平成30年10月31日午前0時16分頃から同日午前0時20分頃
までの間に,同病院B棟4階病室において,~~もって人の心神喪失に乗じて
わいせつな行為をした。
 第2 同日午前5時48分頃,同病院B棟4階病室において,~~もって人
心神喪失に乗じてわいせつな行為をした。
 (証拠)

 (適用法令)
 罰条 いずれも刑法60条,178条1項,176条前段
 併合罪の処理 刑法45条前段,47条本文,10条(犯情の重い第2の罪
の刑に加重)
 執行猶予 刑法25条1項
 (量刑事情)
 被告人は,病院で看護師として勤務していたところ,共に夜勤をしていた看
護師や看護助手である共犯者らによる入院患者らへの虐待を見聞きし,更に被
害者らに接吻をさせようとしたのに対し,面白そうだと思いこれに加わること
とし,自らは被害者Bの顔面を押さえるなどして判示第1の犯行に及び,その
後,共犯者らが今度は陰茎にジャムを塗ってなめさせるということを話してい
るのを聞いて興味を持ち,再びこれに加わることとして,自らは被害者Aの足
を両手で押さえるなどして判示第2の犯行に及んだものである。いずれも,被
害者らの人間としての尊厳を踏みにじる非道な犯行であって,看護師としての
職務中に重度の精神障害を有する入院患者らに対してこのような卑劣な犯行を
行ったということ自体をみれば,実刑に処することを念頭に置きつつ評価すべ
き事案であるといえる。
 一方で,被告人が共犯者らの行為に加担したこと自体は安易としかいいよう
がないものの,主導的に犯行を行ったのは共犯者らであって,被告人には従属
的な面があったことは否定できないこと,被告人自身は本件まで患者に対する
虐待を行っていたものではなく,各犯行も共犯者らと夜勤を共にした一夜の間
のみに行われ,その後は自己の行為の問題を自覚して患者らの虐待に加担しな
いようにしていること,被告人が,被害者らの関係者に謝罪の手紙を送ったり
被害弁済を申し入れたりするなどした上で(なお,各関係者とも弁済を受け入
れなかったことから,全国精神保健福祉会連合会に50万円を寄付してい
る),公判廷でも,今後は一生看護師としての仕事はしないと述べるなどして
反省の態度を示していること,被告人の父親が当公判廷に出廷して今後の監督
を誓っていること,これまで前科がないことなどの事情もあるので,これらを
考慮の上,今回はその刑の執行を猶予することとし,主文のとおり量刑した。
 (求刑―懲役3年)
 神戸地方裁判所第2刑事部
 (裁判官 小倉哲浩)