匿名とはいえ、自分で撮影して公開していた裸の写真は、私事性に欠ける(撮影の対象とされた者(以下「撮影対象者」という。)において、撮影をした者、撮影対象者及び撮影対象者から提供を受けた者以外の者(次条第一項において「第三者」という。)が閲覧することを認識した上で、任意に撮影を承諾し又は撮影をしたものを除く。)から、リベンジポルノには該当しないと説明されています。
名誉毀損罪については、罵詈雑言を書き加えたりするので、可能性はあるでしょう。
私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律
第二条(定義)
この法律において「私事性的画像記録」とは、次の各号のいずれかに掲げる人の姿態が撮影された画像(撮影の対象とされた者(以下「撮影対象者」という。)において、撮影をした者、撮影対象者及び撮影対象者から提供を受けた者以外の者(次条第一項において「第三者」という。)が閲覧することを認識した上で、任意に撮影を承諾し又は撮影をしたものを除く。次項において同じ。)に係る電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。同項において同じ。)その他の記録をいう。
一 性交又は性交類似行為に係る人の姿態
二 他人が人の性器等(性器、肛こう門又は乳首をいう。以下この号及び次号において同じ。)を触る行為又は人が他人の性器等を触る行為に係る人の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない人の姿態であって、殊更に人の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀でん部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの
2この法律において「私事性的画像記録物」とは、写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物であって、前項各号のいずれかに掲げる人の姿態が撮影された画像を記録したものをいう。
よくわかるリベンジポルノ防止法 立花書房
Q10「私事性的画像記録」にいう私事性の要件とは具体的に
はどのようなものをいうのですか。
1 リベンジポルノ防止法では、単なる性的画像記録では足りず、
「私事」性的画像記録を規制の対象としています。すなわち、性
的画像記録のうち、撮影対象者において、第三者が閲覧すること
を認識した上で、任意に撮影を承諾し又は撮影をしたものは、本
法の規制対象となる私事性的画像記録から除外しており、いわば
「私事性」のある性的画像のみを規制の対象としています。
これは、本法の保護法益が、個人の性的プライバシーと性的名
誉であることに鑑み、私的に撮影された性的画像に限定する趣旨
です。
2 したがって、いわゆるアダルトビデオやグラビア写真のよう
に、公開されることを前提として画像が撮影された場合や、撮影
対象者において、撮影をした者が友人などの第三者に画像を見せ
ることを認識しつつ、任意に撮影を承諾した場合などは、私事性
が否定され、私事性的画像記録に該当しません。
3他方、撮影対象者が撮影されること自体を承諾していたとして
も、例えば他人に見せない約束で撮影した性的画像など、撮影し
た性的画像記録を第三者が閲覧することを前提とせずに撮影を承
諾し、あるいは、自画撮りしたものであれば、私事性的画像記録
に該当します。
また、そもそも撮影対象者の承諾がないまま交際相手に隠し撮
りされた性的画像や第三者が盗撮した性的画像など、撮影対象者
において撮影されていること自体を認識しないまま撮影されたも
のも、私事性的画像記録に該当します。
4 さらに、撮影対象者が、第三者が閲覧することを認識した上で
撮影を承諾したとしても、撮影の際に脅迫を受けるなどしてやむ
を得ず承諾したような場合などは、「任意に撮影を承諾し」たと
はいえないことから、私事性はなお否定されません。したがって、
私事性的画像記録に該当し得ることになります。Q11私事性の要件はどのように認定するのですか。
1 リベンジポルノ防止法の保護対象である私事性的画像記録等に
該当するためには、撮影対象者において、第三者が閲覧すること
を認識した上で任意に撮影を承諾し又は撮影したものでないこ
と、すなわち私事性が認められなければなりません。
2 この私事性の判断においては、撮影対象者の認識や承諾の有無
及び任意性といった主観的要素が問題となりますが、その認定に
あたっては、撮影対象者や撮影者の供述のほか、撮影された性的
画像の内容、撮影場所や撮影時間などの客観的な撮影状況、撮影
に至る経緯などの客観的事情等を総合的に考盧して判断されるこ
ととなります。
撮影に関する承諾書、契約書等の有無やその内容、撮影画像に
含まれる音声情報なども、承諾の有無を判断するための有力な手
掛かりになるでしょう。
S なお、私事性の要件である撮影対象者の認識又は承諾の不存在
は、撮影時点において判断されるものです。したがって、撮影対
象者が撮影時点において画像の公表について承諾していた場合に
は、当該性的画像の私事性が否定されますので、一旦した承諾を
撮影後に撤回したとしても、本法の対象である「私事性的画像記
録」等には該当しないこととなります。・・・・
水越検事「私事性的画像記録の提供等による被害の防止について 月刊警察2016年04月
第2条第1項の「撮影対象者において,第三者が閲覧することを認識した上で,任意に撮影を承諾し又は撮影をしたものを除く」旨の括弧書きの趣旨は何ですか。
A 第2条第1項の最初の括弧書きで,撮影対象者において,第三者が閲覧
することを認識した上で,任意に撮影を承諾し又は撮影をした画像に係るものは,私事性的画像記録から除外されています(私事性の要件)。これは,本法が,個人のプライバシーの保護を目的の一つとすることに鑑み, プライベートで撮影された画像に対象を限定する趣旨です。
私事性が認められる例としては,誰にも見せない約束で恋人に対して撮影を許可した画像,恋人だけに見せるつもりでいわゆる自画撮りをした画像,恋人に隠し撮りされた画像,第三者による盗撮画像等が考えられます。
他方, いわゆるアダルトビデオやグラビア写真のように,広く公開されることを前提として画像が撮影された場合や,撮影対象者において,撮影をした者がその友人等の第三者に画像を見せることを認識しながら,任意に撮影を承諾した場合等は,私事性が否定されます。ただし,撮影対象者が,脅迫を受けるなどしてやむを得ず撮影を承諾したような場合は,「任意に」撮影を承諾したとはいえないことから,私事性は否定されません。
なお,私事性の要件は,撮影対象者の撮影時点における認識承諾によって判断されるものです。したがって,撮影対象者が撮影時点において画像の公表について承諾していた場合には私事性が否定され,その後,その承諾を撤回したとしても,当該画像に私事性が認められることはありません。
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警察庁生活安全局長・刑事局長
私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律の施行について(通達)
「撮影対象者において、撮影をした者、撮影対象者及び撮影対象者から提供を受けた者以外の者が閲覧することを認識した上で、任意に撮影を承諾し、又は撮影したものを除く。」とされたのは、第三者に公開することを前提として、撮影に応じたものや自ら撮影したものについては、これが第三者に提供等されたとしても、性的名誉及び性的プライバシーの侵害があったとは評価できなことから、こうしたものを除く趣旨である。これにより、例えば、誰にも見せない約束で撮影を許可した画像、交際相手だけに見せるつもりで自ら撮影した画像、交際相手に隠し撮りされた画像、第三者による盗撮画像等であって①から③のいずれかの姿態が撮影されたものは、私事性的画像記録に該当し、法の保護対象となり得るが、アダルトビデオ、グラビア写真等、商業目的で作成された画像や第三者に見られることを認識して撮影を許可した画像、自ら撮影した画像等は、保護対象とはならないと考えられる。
正体は不倫相手の妻? なりすましアカウントが、私の「わいせつ写真」を続々公開
https://www.bengo4.com/internet/n_7580/
相談者によれば、そのなりすましアカウントがアップしているものは、普段の相談者の写真に加えて、かつて相談者が匿名でSNSにアップしていた自身の「わいせつな写真」も見つけてきて、どんどん晒しているという。さらに、このなりすましアカウントにはフォロワーが増えており「周りの全員に知られるのも時間の問題」だと危機感を抱いている。
・・・リベンジポルノ防止法の「公表罪」に該当する可能性
なお今回は、アップされた写真には「わいせつ」な写真も含まれている。「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」(いわゆるリベンジポルノ防止法)に違反することにならないか。「アップされた写真が裸などであれば、リベンジポルノ防止法の『公表罪』にあたります。第三者が被写体を特定できる方法でプライベートとして撮影された性的画像記録を不特定又は多数の者に提供した場合は3年以下の懲役又は50万円以下の罰金を科すという内容です。
また、どこまで写っているかにもよりますが、刑法上の『わいせつ物等公然陳列罪(刑法175条1項)』で、刑事処罰(2年以下の懲役または250万円以下の罰金・科料)を受ける可能性もあるでしょう」