児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

少女買春「年齢不知」の逃げ道

  古い話を持ち出されました。
 「逃げ道」と言われる判例を作ったのは奥村です。
 国法上は、薄い関係で淫行するに当たり年齢を確認する義務はありません。児童ポルノ・児童買春法でも児童福祉法でも風営法でも同じ規定です。
 青少年条例には過失処罰条項があるわけですが、保護法益は成人は青少年とのみだらな性行為を避ける義務があるという義務違反だと理解すれば、年齢確認義務も理解できるような気がするんですが、バカなのは児童ポルノ・児童買春の立法者が過失処罰条項も含めて青少年条例の買春処罰規定を無効にしたことです。趣旨が違うから残しておけばいいものを法律でわざわざ抜け道を作ってしまいました。それを東京高裁に確認させただけです。

東京高裁平成24年7月17日
http://bylines.news.yahoo.co.jp/okumuratoru/20120927-00021883/
本件控訴の趣意は、弁護人奥村徹作成の控訴趣意書(添付資料を除く。)及び控訴趣意補充書各記載のとおりであるから、これらを引用する。
青少年に対するみだらな性行為等を禁止し、これに違反した者を処罰することとした条例35条1項、53条のいわゆる淫行処罰規定は、児童買春・児童ポルノ等処罰法の施行によって、児童買春に該当する行為に係る部分についてのみ効力を失った

https://news.nifty.com/article/domestic/society/12182-shimpo444845/
〈識者談話〉少女買春「年齢不知」の逃げ道防止を 矢野恵美氏(琉球法科大学院教授)

2017年02月15日 10時41分 琉球新報
 数年前、県教育庁幹部が18歳未満の少女に対価を払って性行為をし、児童買春容疑で逮捕された。その事件で幹部は「年齢は分からなかった」と供述した。今回の教員は「(少女の)年齢については覚えていない」と話している。

 14歳の少女と18歳以上の女性を区別できないはずがないと感じるが、故意がなければ刑事罰は課せられない。児童買春・児童ポルノ防止法(児ポ法)の適用は、行為者が相手を18歳未満だと認知していたことを立証する必要がある。

 前回の教育庁幹部の際は「年齢は分からなかった」という供述を覆す立証ができず、県の青少年保護育成条例いわゆる「青条例」で処罰した。年齢を知らないことに過失があれば処罰できるからだ。

 児ポ法は同条例との関係について附則があり「児童買春なら、相手の年齢を知らない場合にも青条例は適用されない」とする判例が2012年に東京高裁から出た。年齢を知らなければ児童買春をしても無罪となる懸念があり、児ポ法に過失規定を作るか、青条例を適用できると法改正しなければ「年齢を知らなかった」という主張が逃げ道となる可能性がある。

 一方で18歳以上なら買春していいのかという問題がある。それを認めるなら年齢不知を主張する人を非難できず、事件は繰り返されるだろう。買春の是非についても議論すべきだ。(刑事法・被害者学