「キスはもはや隠すようなことではなく、わかりやすく共感を呼ぶ演出のひとつになっている」という論者もいますが、形式的に解釈すると、接吻・キスは「わいせつな行為」に該当して、青少年による青少年に対するわいせつ行為を規制する地域の青少年条例には違反するおそれがある。
青少年を処罰するのは
福井、静岡、岡山、広島
http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20150520#1432096878
福井県青少年愛護条例逐条解説H20
(趣旨)
本条は、条例に違反した者に対して適用する罰則規定である。
(解説)
1 罰則については、おおむね各都道府県とも同様に規定されていることから、他都道府県との均衡を考慮して、罰則を規定したものである。
なお、青少年の中には、第35条や第43条に規定するような行為に及ぶ者もみられる場合もあるが、このような青少年に対しては、あくまでもその保護および善導を趣とし、清廉な心身等健全な青少年に立ち返るように指導し、育成していくことが肝要である。
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岡山県青少年保護育成条例の解説H18
[解説]
1 本条は、この条例が確実に守られ、その目的が達成されることを担保するため、罰則を定めたものである。なお、この条例の規定に違反した者については、青少年を除外していない。
http://digital.asahi.com/articles/ASH5H5VPJH5HUTIL036.html
夕日を背に砂浜で。ベッド上で抱き合って――。若い恋人たちが、自分たちのキス動画を撮影し、インターネット上で公開している。キスはもはや秘め事ではないのか。「チューしてここに」。カメラ目線で、左ほおを指さす少女。指示通りキスする彼。「もう1回して」。ほおにキス。「もう1回」。少女は突然彼の方を向き、唇を重ね合う。
愛知県春日井市の高校2年キョウカさん(16)とノアさん(16)。今年の元旦、ノアさんの自宅でキョウカさんがスマホで撮影した。「仲の良さを周りに知ってほしくて」。2人でスマホ向けの短編動画アプリ「ミックスチャンネル」(ミクチャ)に投稿した。
交際1年2カ月だという2人にとって、キスは「ごく普通のこと。隠すことじゃない」。周りの友達も、ミクチャにキス動画を投稿している。オムライスを作る彼に彼女が後ろから抱きつきながらキスする動画などが人気で、その動画のカップルの「ファン」も増えている。ノアさんもファンが多い同級生に憧れ、「肩を並べられたらいいと思った」。「ラブラブさをアピール」して2人に近寄る隙を与えないという浮気防止の意味合いもあるという。
いま2人のファンは4500人を超え、閲覧者が気に入ったときに押す「ライク」は、この動画だけで3800件にのぼる。
アプリはウェブサービス会社「Donuts(ドーナツ)」(東京)が2013年12月に公開。350万件以上ダウンロードされた。動画は投稿も編集も簡単で、誰でも見ることができる。同社によると、利用者の8割は女性。半数近くは16〜18歳の高校生世代だ。
高校生の「みちゃこ」さんも、交際記念日に動画を作製。彼氏に喜んでほしくて、軽いノリで投稿した。キスを見られることの恥ずかしさは「全然ないですね」。
親世代はどう思うのか。高校3年生の娘がいる母親(56)は、記者が見せた動画に絶句した。「みんなに見せて何がおもしろいのか、全く理解できない」。かつては公衆の面前で手をつなぐこともはばかられた時代があった。キスに対する価値観は変わったのか。
「キスはもはや隠すようなことではなく、わかりやすく共感を呼ぶ演出のひとつになっている」。新潟青陵大学大学院の碓井真史(まふみ)教授(社会心理学)は、女性が恋人との関係の公開に積極的になったことが背景にあるとみる。「現代の若者は優しい。気遣い、演出過剰の面がある」とも指摘する。恋愛漫画やドラマといった「メルヘンの世界」を現実で楽しみ、大勢の人に共感してもらうことが動機になっているという。
一方、子どもとネットの問題に詳しい兵庫県立大学の竹内和雄准教授(生徒指導論)はスマホの普及による「気軽さ」を問題視する。「過激な動画撮影に抵抗がなくなった時が怖い。別れた後で『キス超え』の動画を悪用される可能性があると認識する必要がある」と注意を促す。