大阪地検では閲覧不許可になったんですが、判例タイムズに解説付きで掲載されています。まあ、閲覧の必要は無くなりました。
公然わいせつ被告事件
大阪地方裁判所判決平成26年1月31日
(罪となるべき事実)
被告人は,平成24年7月31日午後4時20分頃,大阪府貝塚市澤無番地大阪府営二色の浜公園海水浴場の砂浜に置かれたゴムボート上において,海水浴客ら不特定多数の者が容易に認識し得る状態で女性と性交し,もって公然とわいせつな行為をしたものである。
(事実認定の補足説明)
1 弁護人は,被告人が公訴事実記載の日時,場所において性的行為をした事実はあるが,不特定多数の者が容易に認識し得る状態であったとはいえないので公然性がないから,また,少なくとも,被告人には他人がその性的行為を見ることのできる状態にあるという認識はなかったので,公然性の認識がなく故意がないから,無罪であると主張し,被告人もこれにそう供述をする。
(量刑の理由)
本件は,被告人が海水浴場で女性と性交し公然とわいせつな行為をしたという事案である。夏季の日中に海水浴場で性交に及ぶという犯行は,夕刻に近づいていたにしても,海水浴客を始めとして少なくない者がそれを目撃する可能性のあるものであり,性交というわいせつ行為の内容からも,それが健全な性秩序を害する程度を簡単に軽く考えることのできない大胆な犯行である。しかし,本件の内容をみると,被告人が性交に及ぶ前に女性の陰部を触るなどしている段階で,犯行を目撃した別のグループの男性に一度声を掛けられていることを前提にしても,被告人がことさらに海水浴客等に目立つような方法で,あるいは多くの不特定の者に見せ付けることを積極的に意図してわいせつ行為に及んだというまでの事情はなく,もとより,常習性の認められるものでもない。被告人は,犯行当時警察官の職にあり,法を守ることを強く求められる立場にありながら罪を犯していて,そうした点でも強い非難を受けるのは免れず,警察官に対する社会的信頼を損なう犯行であることも無視できないが,その地位を悪用するなどの職務と直接の関連のある犯行ではなく,その意味では責任の加重の度合いには限度もある。
そうしてみると,懲役刑を求める検察官の意見にも相応の理由はあるものの,公然わいせつの罪質を踏まえた行為責任の観点からみて,交通違反歴1件があるほかに前科前歴のない被告人について,直ちに懲役刑を選択するのが相当な事案であるとは言い切れず,被告人に自分の行為と向き合う姿勢がみられないことを考慮しても,主文の罰金刑に処するのが相当であると判断した。
(求刑 懲役6月)
平成26年1月31日
大阪地方裁判所第8刑事部
裁判官 三輪篤志