児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

京都府児童ポルノの規制等に関する条例11条による心身に有害な影響を受けた児童に対する支援が実施されていないような事案

 日本一厳しい条例だそうですが、加害者の処分は罰則作って警察・裁判所に丸投げすればいいわけですが、被害者支援は「相談体制の充実」に止まり、しかも態勢が整ってないようです。犯人にも厳しく、被害者にも冷たい感じですか。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140820-00000024-kyt-l26
市議から「いじめの域を超えているのでは」との質問があった。柴原弘志指導部長は「暴力行為という位置付けで考えている」と話した。市教委は部員3人がジュース代などとして8人に100〜千円を要求していたことを報告した。
 「被害生徒は心の傷を持っていると思えるが、どう対応したか」との市議の質問に、柴原部長は「生徒指導の指導主事を派遣した。スクールカウンセラーとともに、対応を図ってきた」と答えた。
 しかし、学校によると、カウンセラーは週1回配置されているが、この問題を受け、学校が部員や保護者に利用を勧めたことはなく、カウンセリングを受けた部員はいない。校長は「今後は具体的な対応策をカウンセラーと一緒に考えていきたい」と話している。

http://www.pref.kyoto.jp/reiki/reiki_honbun/a3002017001.html
京都府児童ポルノの規制等に関する条例
(心身に有害な影響を受けた児童に対する支援)
第11条 府は、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童に対し、関係機関と連携を図りつつ、その心身の状況、その置かれている環境等に応じ、当該児童がその受けた影響から身体的及び心理的に回復し、個人の尊厳を保って成長し、生活することができるよう、相談体制の充実を図ること等により必要な支援を行うものとする。
2 府は、前項の支援のため必要があると認めるときは、その保護者に対し、必要な支援を行うものとする。

逐条解説
【解説】
 本条は、本条例第1条の目的を達成する上での「府の責務」のうち、被害児童の支援について特別に規定したものである。
 子どもの時に受けた性的被害は、その子どもの将来や人生のあり方に深刻なダメージを与えるものであり、児童ポルノの被害をなくしていくという観点においても、最優先事項として被害に遭った児童の支援を充実させることが重要であることを明記したものである。
 被害児童の支援に当たっては、児童ポルノ被害に関する相談については、被害者自身からなかなか言い出しにくい面があるので、身近な専門相談窓口を設置し、あらゆる機会をとらえて広く周知に努めるなど、気軽に相談しやすい環境をつくることが大切である。
 あわせて、相談に際して二次被害(被害後に周囲の言動によってさらに傷つけられてしまうこと)が生じることがないよう十分配慮するなど、安心して相談できる環境をつくることも大切である。
 また、子どもは家族の一員であり、被害児童の支援においては、保護者も含めて家族に対するサポートができる体制も必要である。

【具体的な取組方策】
 専門的な知識に基づく迅速かつ適切な支援(助言・指導・一時保護・施設入所など)が行えるようにするなど、相談体制の強化を図るとともに、保護者も含めて家族に対するサポートができる体制づくりを検討していく。
 家族に対するサポートとは、例えば、「自分の子どもが児童ポルノ被害を受けたのは、自分が親としての責務を果たしていなかったから」等と自分を責めるケースも想定されることから、児童と同様、心に傷を負った家族に対しても助言・指導等のサポートを行おうとするもの。
また、保健所や市町村、警察、学校などの関係機関との相互の連携・協力により、家庭支援総合センターを中心に被害児童支援のためのネットワークを府域全体に拡げるとともに、(社)京都犯罪被害者支援センター等の民間支援団体との連携も強化し、個々のケースに応じたきめ細やかな支援体制の構築についても検討していく。