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6/5 衆議院法務委員会 議事録
○遠山委員
第三に、インターネットの利用に係る事業者の努力規定を設けております。
すなわち、インターネットの利用に係る事業者は、捜査機関への協力、管理権限に基づく情報送信防止措置その他インターネットを利用した児童ポルノの所持、提供等の行為の防止に資するための措置を講ずるよう努めるものとしております。
以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。
何とぞ、御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
以上です。
・・・
○枝野委員
次に、十六条の三で新設されます雑則、インターネットの事業者に対する努力義務規定についてお尋ねをしたいと思います。
これはもう皆さん御承知のとおり、インターネット事業者が、インターネットコンテンツセーフティ協会、ICSAを二〇一一年ですか設立して、警察やインターネット・ホットラインセンター、IHCと連携してブロッキングのためのいろいろな努力を既に進めているところでございます。
ICSAによるブロッキング等の対応の対象になり得る事業者の持っているシェアは、インターネットで七七%、携帯電話では九五%のユーザーのところをシェアする事業者がこうした団体をつくって努力を進めているところでございます。
今回の努力義務規定は、こうした適切な事業者に、少なくとも努力をしている事業者に新たな規制を行うというものではなくて、むしろこうした努力をさらにしっかりと進めていくべきだという後押しをする趣旨だと私は理解をいたします。
また、重要なのは、こうした努力を怠っている、まさに、違法なことをうまいことやって児童ポルノを拡散させたりとか、そのことで暴利をむさぼっている一部の事業者がまたこういった努力のところに加わってこないとか、こういうところに対してしっかりとやらせよう、やってもらわないと困る、こういう趣旨だと理解いたしますが、階提案者の御認識をお答えください。
○階委員今の第十六条の三のインターネットの利用に係る事業者に努力義務を課す規定ですが、委員御指摘のとおり、この条文は、適切な事業者に対して新たな規制を行う趣旨ではなくて、こうした努力を後押しするということと、措置の不十分な事業者に一層の努力を促そうという趣旨であります。
○枝野委員今の点は、法務省、それから、これは実際には運用するときに警察がかなり関係してくると思いますが、それぞれ政府参考人、今の理解でよろしいですね。
共有ですね。
○平口大臣政務官お答えいたします。
インターネットを利用した情報の発信等に必要な電気通信役務を提供する事業者の業務に関しましては、法務省は所管する立場でございませんので、私の方から申し上げるのが適切かどうか、これはちょっとわかりませんが、お尋ねなので、あえてお答えいたします。
改正法の十六条の三は、これら事業者一般に対して、児童ポルノに係る情報の送信を防止する措置等を講ずる努力義務の規定である、このように理解をいたしております。
したがいまして、この規定は、これまでそうした措置を講じてこなかった事業者に対してその努力を促すというものであるとともに、これまでそうした措置を講じてきた事業者に対しては引き続き従前どおり努力するように促す趣旨であると理解をいたしております。
以上でございます。
○宮城政府参考人お答え申し上げます。
私どもも委員と同じ理解をしてございます。
今般の法律の成立によりまして、これまで自主的に努力をされてきた主体におきましては、引き続き取り組みを行われ、こうした努力をしてこなかった事業者においては、ブロッキング導入等への自主的な取り組みを進めていくべきもの、このように考えてございます。
○枝野委員あと、このインターネット絡みでいいますと、附則の三条の第一項について、いわゆる閲覧制限についての技術の開発の促進について政府は十分に配慮するという規定になっているところであります。
こういったものの技術の進歩は大変大きいですし、そうした中で、先ほどの団体をつくっていらっしゃる事業者は、必ずしも自社の利益に直接つながる話ではないのに、団体をつくって一生懸命、技術を高めることを含めて努力をされているわけでありますから、当然、この政府の十分な配慮については、具体的に予算措置をとる、すると書いちゃうと、また政府が反対をされるかもしれないのですが、「十分な配慮」の中には、場合によっては予算措置をつけてこういった開発を進めていくということも含んでいる、こういう趣旨で理解したいと思うんですが、よろしいでしょうか。
○階委員提案者としては、今委員が御指摘された技術の開発に向けた予算の措置も十分な配慮に含まれると考えております。
○枝野委員そうしたことも含めて、政府として努力をしてもらいたいわけですが、これは、予算の話になると総務省だと法務省さんがおっしゃったと聞いていますが、なので総務省さんも政府参考人に来ていただいています。
政府参考人として、総務省として、まず、必要があれば予算要求するようなことも含めて、こうした技術の開発に向けた努力をされるという思いでよろしいか。
それから、実はこれは、総務省だけの話とは私は必ずしも思わないのですけれども、法務省も本法の所管として、こうしたもの、フィルタリングその他のために必要なことがあれば、法務省が予算要求して、そういったことを後押しすることがあっても全然おかしくないと思うんですが、法務省と総務省、それぞれにお答えください。
○安藤政府参考人お答え申し上げます。
総務省では、プロバイダーの規模などに見合った精度の高いブロッキングを導入可能な環境を整備し、事業者の自主的な導入を促進するために、平成二十三年度から平成二十五年度までの三年間、実装に適したシステムの開発やその実証を行ってきたところでございます。
総務省といたしましては、これら三年間の開発実証の成果を活用し、今後、事業者の規模などに応じた自主的なブロッキングの導入の一層の普及促進にまずは努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
また、そうした普及促進の取り組みや今後の技術の動向の中で、必要に応じて適切な検討をしっかりとしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○平口大臣政務官先ほど御答弁申し上げた所管等の問題はございますが、附則三条一項は、インターネットを利用した児童ポルノに係る情報の閲覧等を制限するための措置に関する技術の開発の促進について、政府が十分な配慮をするものとしたものでございます。
この点に関しましては、関係省庁において、予算措置の要否を含め、必要な検討をしていくものと考えております。
以上でございます。
○枝野委員基本的に役所は、各省、自分のところの予算をふやしたくて、境目にあると両方が要求するというのが一般的なんですから、余り腰を引いたことを法務省はおっしゃらない方がいいと思います。
最後、間に合いました。
この附則の三条の二項では、技術開発の状況等を勘案しつつ検討して、必要な措置を講ずるということになっていますが、この検討の仕方、中身なんですね。
まさに現場の実態とか技術の実態などは、先ほどのICSAなどの事業者が一番よくわかっているわけでありますし、いろいろと海外の事情なども研究されているというふうに聞いております。
こうした皆さんに中心になって加わっていただいて検討を進めないと意味がないのではないかということが一つ。
それからもう一つは、ここでは閲覧の制限について検討対象としているんですが、なかなか、閲覧制限というのは、ファイル名を変えてまたアップロードするみたいな話で、イタチごっこになりがちであります。
ここは、違法な児童ポルノということについてはっきりしているのであれば、表現の自由との関係があっても削除させるというようなことは、これは問題ないと思いますので、むしろ、どうやって削除などに持っていくのかといった研究が必要じゃないかというふうに思っていますが、提案者と、それから、これはどこが答えるんでしょう、やはり総務省なんでしょうか、では両方、提案者と総務省でお答えください。
○階委員今御指摘のとおり、ICSAですか、専門的な知見を持った実務者の協会の方々の知見を活用しつつ検討を行うのが効果的だと考えております。
また、本規定に基づく検討は、御指摘のあったように、閲覧の制限について検討対象としておりますけれども、削除の手法もより本質的でありますので、これも検討の対象から排除されないものと考えております。
○安藤政府参考人お答え申し上げます。
前半の方の部分でございますけれども、児童ポルノのブロッキングの運用については、ICSAなど、ブロッキングの実務の実態や海外の状況にも通じた者を中心に現在も検討が行われておるところでございますけれども、今後とも引き続き効果的な検討が行われるよう期待するとともに、総務省といたしましても、そうした活動をしっかり支援してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
それから、ブロッキングと削除の関係でございます。
イタチごっこの面もありますが、もちろん、ブロッキングの方を、いろいろと努力をし、そういったふうにURLを変えたりしたときに、できるだけ迅速にそれをまた追いかけていってブロッキングするというような取り組みももちろん行っておりますが、それと並行して、それを乗り越えちゃっているものについて言えば、委員御指摘のように、削除というところも一つ重要なポイントになってこようかと思います。
この点につきましては、これまで事業者団体において、法律の専門家などの意見も伺いながら、削除できる場合を明らかにするためのガイドラインでありますとか、事業者とユーザーとの間で適用されますモデル契約約款を作成しまして、そういった中で、違法なアップロードなどがされた場合には、それはいろいろと削除などの対応をさせていただきますよといったようなことを規定していただいているところでございます。
総務省といたしましても、こういった民間の取り組みを引き続きしっかりと支援してまいり、適切に削除等の取り組みが行われるよう取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。・・・・・・・・・・・
○高橋(み)委員
ありがとうございました。
やはり児童ポルノを撮られるというか、そういう場合、強制わいせつというか、無理やり撮られたということがどう考えても多いんじゃないかと私は思っております。
ですから、その点、ただ単に立証しやすいから、持っていただけとかというような方に流れるという不安がちょっとあったので今回質問させていただいたんですけれども、その点は、これからどう運用されていくかというところにはかかると思うんですけれども、ぜひ丁寧に見ていっていただければなと思っております。
次に行きまして、インターネットの利用にかかわる事業者の努力というところについてお尋ねしたいと思います。
十六条の三になります。
ここを読ませていただきますと、「捜査機関への協力、当該事業者が有する管理権限に基づき児童ポルノに係る情報の送信を防止する措置その他インターネットを利用したこれらの行為の防止に資するための措置を講ずるよう努めるものとする。
」というような文言になっております。
インターネットの技術というものはきっと日々進歩していて、捜査機関の側の方が幾ら頑張っても、イタチごっこになってしまう可能性というのはかなり大きいものだと思っております。
しかしながら、やはり今は、昔のように、写真を撮って、それを写っている人とか町内会とか近くにばらまくというものではなくて、インターネットに一度流されてしまうと本当に簡単に拡大されてしまって、それを一時削除したとしても、削除し切れない、どこかにはあるかもしれないということで、被害者の方たちの心理的なつらさというのは想像するにかなり厳しいものがあると思っております。
そうしますと、インターネットの接続業者さんたちにはもっともっとぜひ頑張ってもらわなければいけないなというような私は印象がございます。
その頑張るというのは、インターネットの事業者さんは、それに基づいていろいろな商売をやって利益を得ている。
働いて正当な利益を得ているんですけれども、その中に余り好ましくないものがあった場合、インターネットの接続業者さんにも、それをみずから排除するというのか、制限をしていく必要性が私はかなりあると思っております。
そうしますと、ここの文言、「努めるものとする。
」というのでは少し弱くて、必ず、例えば時間を区切って、何年ぐらいにはこういう被害を防止できるようなものにしていくというような、もうちょっと強い、努力義務以上のものを本当はぜひ検討していただきたいなと私は思っているんですけれども、その点いかがでしょうか。
○ふくだ委員お答え申し上げます。
インターネット事業者の自主的な措置といいますのは、これまでも答弁でございましたように、実際、相当程度実施されておりまして、これに義務を課するということは、今まで一生懸命やっている事業者に対して新たな規制を設けるという誤解を招いてしまうこともあると思うんですね。
そこで、本条は、適切な事業者に対して新たな規制を行うという趣旨ではなくて、これからのものの努力を後押しすることとともに、措置の不十分な事業者というのも実際おりますので、そうした方々に一層の努力を促す趣旨として努力義務規定としたところでございます。
とにかく、みんなで応援して、もっとしっかりやってもらおうということで、当面対応させていただきたいという考え方でございます。・・・・・・・
○椎名委員
ありがとうございます。
そうすると、倉庫の業者に児童ポルノを預けているつもりがなくて、預けっ放しにしているような場合、倉庫業者もそれから本人も処罰をされないという結論に恐らくなるだろうというふうに思います。
これで不当な処罰というのが大分限定されてきているのではないかなというふうに私自身も思っています。
次に、十六条の三のインターネット事業者の努力義務のところについて伺ってまいりたいというふうに思います。
先ほど枝野先生からもありましたので確認的だというふうに思いますが、インターネットコンテンツセーフティ協会、これは、ICSAとおっしゃっていましたけれども、これがイクサというものですけれども、このICSAを通じて、かなりブロッキングというものはやっています。
インターネットについては、最新のデータだと七九・六%、そして携帯だと九六・一%ということで、かなりブロッキング自体は行っています。
しかし、かなり回避可能性が高いというふうに言われています。
それは何かというと、例えばグーグルのサーチで援助交際というふうに検索をすると、それはもうブロッキングをされているので見えないということはあったりします。
援助交際の略称である援交というのも、援助交際の援助の援と交際の交で、この二文字で検索をするとブロックされるということはあったりします。
しかし、字を変えて、音が同じ読み方になる、例えば一円、二円の円に光という字を入れて円光というふうに検索をすると、だあっと画像が出てきたりするわけですね。
かなり回避可能性が高いというふうに言われています。
事業者も非常に努力をもちろんしているわけですけれども、しかし、これ以上さらに努力をするという趣旨であると、今の現状の技術ではなかなか難しい部分もあるということで、あくまでもこれは、現状のICSAの行っている自主規制の取り組みに対して新たな義務をさらに追加して課すわけでは決してないということを一応確認させていただければというふうに思います。
○ふくだ委員お答え申し上げます。
御指摘のとおり、提案者といたしましても、本条は適切な事業者に対して新たな規制を行うという趣旨ではありません。
こうした努力を後押しするとともに、措置の不十分な事業者に対しては一層の努力を促す趣旨であると考えています。
先ほど義務化という話もございましたが、このインターネットコンテンツセーフティ協会の中には、まさしく児童ポルノの映像を見て、これは児童ポルノに当たるかどうかを判断して、年がら年じゅう画像を見て当たるかどうかを判断するという仕事をなさっている方もいらっしゃって、こういう方々が、義務だからやりなさいというのは本当に大変だと思うんですね。
あくまでこれは世の中のために、実在する児童の権利保護のために、みずからの心の強さを持ってこうした仕事をなされているということを考えると、私は、義務だからやれではなく、努力としてここが頑張ってもらう、それを応援するということがそうした努力をされている方々にとっては望ましい形だと理解しております。
○椎名委員ありがとうございます。
やはり、過剰なところまでいくと、インターネット事業者もビジネスとしてやっているのでなかなか難しい部分も恐らくあろうかというふうには思いますので、あくまでも応援をしていく趣旨だという確認をさせていただきました。
そして、警察庁の参考人にいらっしゃっていただいているので警察庁に確認をしたいんですけれども、事業者としては、恐らく非常に不安に思うのが、これは努力義務である、我々立法者の意思としては新たに義務を追加する趣旨ではないと思っているけれども、捜査機関はこの規定があるのであれをやれこれをやれと言ってくることは怖いというふうに思っている部分もあるのではないかというふうに思います。
そういったところで、一応確認をさせていただきたいんですけれども、この捜査機関に対する協力というのが努力義務の例示として書かれているわけですけれども、具体的に捜査機関側からどういった御協力をお願いしていくことになるのかということについて、警察庁の参考人に伺えればなというふうに思います。
○宮城政府参考人お答えを申し上げます。
お尋ねの法第十六条の三の捜査機関への協力といたしましては、これまでと同様、捜査に関する照会に応じて、その保有している情報を適切に提供していただくこと、あるいは、捜索差し押さえに関する令状の執行の際に円滑な協力をいただくこと、こういうことを想定してございます。
従来から、捜査に当たりましては、関係者の利便を考慮し、必要な限度を超えた負担が生じないよう配慮しつつ、捜査を行っておるところでございます。
今般の法案が成立した場合も、引き続き同様の配慮を行ってまいりたい、このように考えてございます。
○椎名委員ありがとうございました。
引き続き同様の範囲というふうにおっしゃっていただきました。
ありがとうございます。
インターネットに関連して、あと、附則の三条一項、二項というところがあるので、それらに関連して幾つか確認をしてまいりたいというふうに思います。
この附則の三条、「政府は、インターネットを利用した児童ポルノに係る情報の閲覧等を制限するための措置に関する技術の開発の促進について、十分な配慮をする」というふうに記載されていますけれども、まず一点目、確認的にですけれども、「インターネットを利用した児童ポルノに係る情報の閲覧等を制限するための措置」というところの内容についてふくだ先生に伺えればなというふうに思います。
○ふくだ委員これは、児童ポルノへのアクセス自体を制限するブロッキング等の措置を講ずるということが想定されております。
ただ、先ほども話がありましたように、ブロッキングというのは、基本的には、児童ポルノのデータ自体がサーバーにあるわけですよね。
そうしますと、先ほど事例がありましたように、いつそれが出てくるかわからないという恐怖心とずっと闘わなければならない。
ですから、本質的には削除が重要なんだというふうに思います。
現状、削除の要請につきましては、インターネット・ホットラインセンターという、インターネット協会で運営しているこのホットラインセンターから国内のサイトの管理者に削除要請がまず国内には行きます。
あるいは、海外のサイトの場合もあるわけですから、これにおきましては、海外のサイトには、インターナショナル・アソシエーション・オブ・インターネット・ホットラインという団体、会社を通じて削除要請をかけております。
今こういう状態なんですね。
これができないものに対しては結局ブロッキングしかないということでありますが、本来、削除が基本であるということを考えれば、このインターネット・ホットラインセンターも、海外機関を通じて削除要請するだけではなくて、直接みずからが執拗に削除を働きかけるということも今後展開していくべきではなかろうかというふうに考えております。
○椎名委員ありがとうございます。
削除というのは本当に、言うはやすし、行うはかたしで、かなり難しいんですけれども、やはり本当に重要だというふうに思います。
デジタルデータであれば、ファイル名を、数字の羅列でファイル名がついているわけですけれども、数字の羅列の最後の一桁だけを数字を変えたりすると、またそれを上げてブロッキングから解除、解除というか回避をすることができたりします。
イタチごっこになる、非常に難しい問題だというふうに思いますけれども、やはり削除をし続けていくということが非常に重要だなというふうに私自身も思っています。
二点目、この三条の一項のところ、「十分な配慮」というところについてもあわせてふくだ先生に伺いたいんですけれども、これは予算措置等まで含んで考えてしかるべきかというふうに思いますけれども、どうでしょうか。
○ふくだ委員これは、先ほども御答弁ありましたが、予算措置も「十分な配慮」に含まれ得ると考えておりますし、今削除の話もいたしましたが、こうしたブロッキングだけではなくて、削除に対する技術も含めて、政府としても事業者に対して応援をしていくという趣旨で御理解いただければというふうに思います。
○椎名委員ありがとうございます。
総務省の参考人にもいらっしゃっていただいておりますので、現在のブロッキングの技術等の検討状況等について伺えればなというふうに思います。
○安藤政府参考人お答え申し上げます。
総務省では、プロバイダーの規模などに見合った精度の高いブロッキング方式の自主的な導入を促進するための環境整備の一環といたしまして、平成二十三年度から平成二十五年度までの三年間、実装に適したシステムの開発でございますとか、その実証を実施してきたところでございます。
この実証実験においては、各種のブロッキング方式について実施をし、そのブロッキングの精度の高い方式などについても、ネットワークへの過大な負荷を与えることなく、かつ、複数のプロバイダーでシステムを共同利用することなどにより、比較的低廉なコストで導入することが可能であることなどが確認されたところでありまして、こういった成果を踏まえて、ブロッキングの普及推進を今進めておるというところでございます。
○椎名委員ありがとうございます。
本法ができて、「十分な配慮」というのがこの三条一項に入るので、ぜひ予算を含めて総務省の方でも頑張っていただきたいというふうに思います。
警察庁の参考人にもいらっしゃっていただいているので、もう一点、伺いたいと思います。
先ほど来、ふくだ先生もおっしゃっていますが、やはり削除は非常に重要だというふうに思っています。
しかし、削除というのは、結局、一個一個検索をし、ファイルを探して削除していくというかなり大変な労力だというふうに思っています。
そういう意味で、やはり警察という組織の中で、インターネットの中で専門にサーチをし、取り締まりをする、そういう部隊をそろそろつくっていくということも考えなきゃいけないと思うんですけれども、今の現状として、インターネット専属で取り締まりを行ったりとかサーチをするという能力がどのくらいあるのか、教えていただければというふうに思います。
○宮城政府参考人お答え申し上げます。
警察では、今ございました児童ポルノ事犯のサイバーパトロール用の専用の端末を全国に整備してございます。
これによりまして、国内サーバー上のウエブサイトにつきましては、取り締まりに加えまして、ブロッキング効果によりまして、これは相当程度減少してきているだろう、このような認識でございます。
ただ一方、御指摘のように、事業者のブロッキングを回避いたしましたり、そういった形で児童ポルノ事犯を敢行する例もあることは事実でございます。
そこで、こうした状況に対処するために、平成二十四年、おととしでございますが、捜査の過程で、いわゆる事業者がブロッキングを逃れるためにIPアドレスを数字で直接打ち込む方法、これをIP直打ちといいます、これを客に教示する例、これを解明して検挙したということで、この手口は少し減ってきておるということでございます。
ただ、近年問題になってございますのは、こうしたブロッキングによる対策が非常に困難であるファイル共有ソフト、これによる事犯というのが広まっております。
現在は、これに向けて重点的な取り締まりを行っておりまして、その結果、最近五年間の送致件数は、最近数年を申し上げますと、平成二十五年中にファイル共有ソフトを用いました児童ポルノ事犯については五百七件、平成二十四年には五百十九件、平成二十三年には三百六十八件、このような形でファイル共有ソフトを用いました児童ポルノ違反を検挙しているところでございます。
今後とも、さまざまな手口が出てまいります。
そういったものにつきまして、情報分析の上、効果的な取り組みを進めてまいりたい、こういうふうに考えてございます。
○椎名委員ありがとうございます。
さらに、総務省にもう一点伺いたいと思います。
先ほどふくだ先生からも御説明がありましたけれども、削除というのは、IHCからプロバイダーに対して削除要請をし、そしてプロバイダーが削除をするということになります。
プロバイダーが削除をするとすると、過度に削除をしたりとかすることもあり得るかなというふうに思って、かえって、表現者から、表現の自由を侵したんじゃないかということで訴えられる可能性もあるんだろうというふうに思っています。
そういった場合に、民事上の責任を免責するかどうかという議論がやはりあってしかるべきなのかなというふうに思っていますけれども、そのあたりの検討状況について伺えればというふうに思います。
○安藤政府参考人お答え申し上げます。
インターネット上に流通する児童ポルノ画像により、名誉あるいはプライバシーなどの権利を侵害されたとする者からプロバイダーなどに対して画像の削除の申し出があった場合には、一点目といたしまして、削除したときには画像の投稿者の方から、それから、逆に、削除しなかった場合には名誉等の権利を侵害されたとする者から、それぞれ、プロバイダーなどが損害賠償責任を問われる可能性、まさに、委員のおっしゃるとおり、可能性があるところでございます。
こうした状況に対応するため、現行、プロバイダー責任制限法というのがございまして、この中において、他人の権利が不当に侵害されたと認めるに足りる相当の理由がある場合には、その画像を当該プロバイダー等が直ちに削除したとしても、プロバイダーは、損害賠償の責任を免れる旨の規定をしておるところでございます。
また、プロバイダーなどが画像の投稿者に対して、削除することに同意するかどうか、要するに、削除依頼の要請があったときに、その投稿者の方に削除することについて同意するかどうか照会いたしまして、投稿者が照会を受けた日から七日を経過してもこれに同意しない旨の申し出をしなかった場合には、削除の申し出がなされた画像を削除したとしても、当該プロバイダーは損害賠償責任を免れる旨の規定を用意させていただいているということでございます。
○椎名委員ありがとうございます。
こういった形で重層的に対応していくことで、被害を受けている児童の方々を守り、かつインターネット事業者に過度な負担も与えず、それで流通を削減していくという対応をしていかなければならないなというふうに思っております。
>
○枝野委員
そうしたことも含めて、政府として努力をしてもらいたいわけですが、これは、予算の話になると総務省だと法務省さんがおっしゃったと聞いていますが、なので総務省さんも政府参考人に来ていただいています。
政府参考人として、総務省として、まず、必要があれば予算要求するようなことも含めて、こうした技術の開発に向けた努力をされるという思いでよろしいか。
それから、実はこれは、総務省だけの話とは私は必ずしも思わないのですけれども、法務省も本法の所管として、こうしたもの、フィルタリングその他のために必要なことがあれば、法務省が予算要求して、そういったことを後押しすることがあっても全然おかしくないと思うんですが、法務省と総務省、それぞれにお答えください。
○安藤政府参考人
お答え申し上げます。
総務省では、プロバイダーの規模などに見合った精度の高いブロッキングを導入可能な環境を整備し、事業者の自主的な導入を促進するために、平成二十三年度から平成二十五年度までの三年間、実装に適したシステムの開発やその実証を行ってきたところでございます。
総務省といたしましては、これら三年間の開発実証の成果を活用し、今後、事業者の規模などに応じた自主的なブロッキングの導入の一層の普及促進にまずは努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
また、そうした普及促進の取り組みや今後の技術の動向の中で、必要に応じて適切な検討をしっかりとしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○平口大臣政務官
先ほど御答弁申し上げた所管等の問題はございますが、附則三条一項は、インターネットを利用した児童ポルノに係る情報の閲覧等を制限するための措置に関する技術の開発の促進について、政府が十分な配慮をするものとしたものでございます。
この点に関しましては、関係省庁において、予算措置の要否を含め、必要な検討をしていくものと考えております。
以上でございます。
○枝野委員
基本的に役所は、各省、自分のところの予算をふやしたくて、境目にあると両方が要求するというのが一般的なんですから、余り腰を引いたことを法務省はおっしゃらない方がいいと思います。
最後、間に合いました。
この附則の三条の二項では、技術開発の状況等を勘案しつつ検討して、必要な措置を講ずるということになっていますが、この検討の仕方、中身なんですね。
まさに現場の実態とか技術の実態などは、先ほどのICSAなどの事業者が一番よくわかっているわけでありますし、いろいろと海外の事情なども研究されているというふうに聞いております。
こうした皆さんに中心になって加わっていただいて検討を進めないと意味がないのではないかということが一つ。
それからもう一つは、ここでは閲覧の制限について検討対象としているんですが、なかなか、閲覧制限というのは、ファイル名を変えてまたアップロードするみたいな話で、イタチごっこになりがちであります。
ここは、違法な児童ポルノということについてはっきりしているのであれば、表現の自由との関係があっても削除させるというようなことは、これは問題ないと思いますので、むしろ、どうやって削除などに持っていくのかといった研究が必要じゃないかというふうに思っていますが、提案者と、それから、これはどこが答えるんでしょう、やはり総務省なんでしょうか、では両方、提案者と総務省でお答えください。
○階委員
今御指摘のとおり、ICSAですか、専門的な知見を持った実務者の協会の方々の知見を活用しつつ検討を行うのが効果的だと考えております。
また、本規定に基づく検討は、御指摘のあったように、閲覧の制限について検討対象としておりますけれども、削除の手法もより本質的でありますので、これも検討の対象から排除されないものと考えております。
○安藤政府参考人
お答え申し上げます。
前半の方の部分でございますけれども、児童ポルノのブロッキングの運用については、ICSAなど、ブロッキングの実務の実態や海外の状況にも通じた者を中心に現在も検討が行われておるところでございますけれども、今後とも引き続き効果的な検討が行われるよう期待するとともに、総務省といたしましても、そうした活動をしっかり支援してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
それから、ブロッキングと削除の関係でございます。
イタチごっこの面もありますが、もちろん、ブロッキングの方を、いろいろと努力をし、そういったふうにURLを変えたりしたときに、できるだけ迅速にそれをまた追いかけていってブロッキングするというような取り組みももちろん行っておりますが、それと並行して、それを乗り越えちゃっているものについて言えば、委員御指摘のように、削除というところも一つ重要なポイントになってこようかと思います。
この点につきましては、これまで事業者団体において、法律の専門家などの意見も伺いながら、削除できる場合を明らかにするためのガイドラインでありますとか、事業者とユーザーとの間で適用されますモデル契約約款を作成しまして、そういった中で、違法なアップロードなどがされた場合には、それはいろいろと削除などの対応をさせていただきますよといったようなことを規定していただいているところでございます。
総務省といたしましても、こういった民間の取り組みを引き続きしっかりと支援してまいり、適切に削除等の取り組みが行われるよう取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○枝野委員
終わります。
ありがとうございました。
○江粼委員長
・・・・・・・・・・
○椎名委員
ありがとうございます。
そうすると、倉庫の業者に児童ポルノを預けているつもりがなくて、預けっ放しにしているような場合、倉庫業者もそれから本人も処罰をされないという結論に恐らくなるだろうというふうに思います。
これで不当な処罰というのが大分限定されてきているのではないかなというふうに私自身も思っています。
次に、十六条の三のインターネット事業者の努力義務のところについて伺ってまいりたいというふうに思います。
先ほど枝野先生からもありましたので確認的だというふうに思いますが、インターネットコンテンツセーフティ協会、これは、ICSAとおっしゃっていましたけれども、これがイクサというものですけれども、このICSAを通じて、かなりブロッキングというものはやっています。
インターネットについては、最新のデータだと七九・六%、そして携帯だと九六・一%ということで、かなりブロッキング自体は行っています。
しかし、かなり回避可能性が高いというふうに言われています。
それは何かというと、例えばグーグルのサーチで援助交際というふうに検索をすると、それはもうブロッキングをされているので見えないということはあったりします。
援助交際の略称である援交というのも、援助交際の援助の援と交際の交で、この二文字で検索をするとブロックされるということはあったりします。
しかし、字を変えて、音が同じ読み方になる、例えば一円、二円の円に光という字を入れて円光というふうに検索をすると、だあっと画像が出てきたりするわけですね。
かなり回避可能性が高いというふうに言われています。
事業者も非常に努力をもちろんしているわけですけれども、しかし、これ以上さらに努力をするという趣旨であると、今の現状の技術ではなかなか難しい部分もあるということで、あくまでもこれは、現状のICSAの行っている自主規制の取り組みに対して新たな義務をさらに追加して課すわけでは決してないということを一応確認させていただければというふうに思います。
○ふくだ委員
お答え申し上げます。
御指摘のとおり、提案者といたしましても、本条は適切な事業者に対して新たな規制を行うという趣旨ではありません。
こうした努力を後押しするとともに、措置の不十分な事業者に対しては一層の努力を促す趣旨であると考えています。
先ほど義務化という話もございましたが、このインターネットコンテンツセーフティ協会の中には、まさしく児童ポルノの映像を見て、これは児童ポルノに当たるかどうかを判断して、年がら年じゅう画像を見て当たるかどうかを判断するという仕事をなさっている方もいらっしゃって、こういう方々が、義務だからやりなさいというのは本当に大変だと思うんですね。
あくまでこれは世の中のために、実在する児童の権利保護のために、みずからの心の強さを持ってこうした仕事をなされているということを考えると、私は、義務だからやれではなく、努力としてここが頑張ってもらう、それを応援するということがそうした努力をされている方々にとっては望ましい形だと理解しております。
○椎名委員
ありがとうございます。
やはり、過剰なところまでいくと、インターネット事業者もビジネスとしてやっているのでなかなか難しい部分も恐らくあろうかというふうには思いますので、あくまでも応援をしていく趣旨だという確認をさせていただきました。
そして、警察庁の参考人にいらっしゃっていただいているので警察庁に確認をしたいんですけれども、事業者としては、恐らく非常に不安に思うのが、これは努力義務である、我々立法者の意思としては新たに義務を追加する趣旨ではないと思っているけれども、捜査機関はこの規定があるのであれをやれこれをやれと言ってくることは怖いというふうに思っている部分もあるのではないかというふうに思います。
そういったところで、一応確認をさせていただきたいんですけれども、この捜査機関に対する協力というのが努力義務の例示として書かれているわけですけれども、具体的に捜査機関側からどういった御協力をお願いしていくことになるのかということについて、警察庁の参考人に伺えればなというふうに思います。
○宮城政府参考人
お答えを申し上げます。
お尋ねの法第十六条の三の捜査機関への協力といたしましては、これまでと同様、捜査に関する照会に応じて、その保有している情報を適切に提供していただくこと、あるいは、捜索差し押さえに関する令状の執行の際に円滑な協力をいただくこと、こういうことを想定してございます。
従来から、捜査に当たりましては、関係者の利便を考慮し、必要な限度を超えた負担が生じないよう配慮しつつ、捜査を行っておるところでございます。
今般の法案が成立した場合も、引き続き同様の配慮を行ってまいりたい、このように考えてございます。
○椎名委員
ありがとうございました。
引き続き同様の範囲というふうにおっしゃっていただきました。
ありがとうございます。
インターネットに関連して、あと、附則の三条一項、二項というところがあるので、それらに関連して幾つか確認をしてまいりたいというふうに思います。
この附則の三条、「政府は、インターネットを利用した児童ポルノに係る情報の閲覧等を制限するための措置に関する技術の開発の促進について、十分な配慮をする」というふうに記載されていますけれども、まず一点目、確認的にですけれども、「インターネットを利用した児童ポルノに係る情報の閲覧等を制限するための措置」というところの内容についてふくだ先生に伺えればなというふうに思います。
○ふくだ委員
これは、児童ポルノへのアクセス自体を制限するブロッキング等の措置を講ずるということが想定されております。
ただ、先ほども話がありましたように、ブロッキングというのは、基本的には、児童ポルノのデータ自体がサーバーにあるわけですよね。
そうしますと、先ほど事例がありましたように、いつそれが出てくるかわからないという恐怖心とずっと闘わなければならない。
ですから、本質的には削除が重要なんだというふうに思います。
現状、削除の要請につきましては、インターネット・ホットラインセンターという、インターネット協会で運営しているこのホットラインセンターから国内のサイトの管理者に削除要請がまず国内には行きます。
あるいは、海外のサイトの場合もあるわけですから、これにおきましては、海外のサイトには、インターナショナル・アソシエーション・オブ・インターネット・ホットラインという団体、会社を通じて削除要請をかけております。
今こういう状態なんですね。
これができないものに対しては結局ブロッキングしかないということでありますが、本来、削除が基本であるということを考えれば、このインターネット・ホットラインセンターも、海外機関を通じて削除要請するだけではなくて、直接みずからが執拗に削除を働きかけるということも今後展開していくべきではなかろうかというふうに考えております。
○椎名委員
ありがとうございます。
削除というのは本当に、言うはやすし、行うはかたしで、かなり難しいんですけれども、やはり本当に重要だというふうに思います。
デジタルデータであれば、ファイル名を、数字の羅列でファイル名がついているわけですけれども、数字の羅列の最後の一桁だけを数字を変えたりすると、またそれを上げてブロッキングから解除、解除というか回避をすることができたりします。
イタチごっこになる、非常に難しい問題だというふうに思いますけれども、やはり削除をし続けていくということが非常に重要だなというふうに私自身も思っています。
二点目、この三条の一項のところ、「十分な配慮」というところについてもあわせてふくだ先生に伺いたいんですけれども、これは予算措置等まで含んで考えてしかるべきかというふうに思いますけれども、どうでしょうか。
○ふくだ委員
これは、先ほども御答弁ありましたが、予算措置も「十分な配慮」に含まれ得ると考えておりますし、今削除の話もいたしましたが、こうしたブロッキングだけではなくて、削除に対する技術も含めて、政府としても事業者に対して応援をしていくという趣旨で御理解いただければというふうに思います。
○椎名委員
ありがとうございます。
総務省の参考人にもいらっしゃっていただいておりますので、現在のブロッキングの技術等の検討状況等について伺えればなというふうに思います。
○安藤政府参考人
お答え申し上げます。
総務省では、プロバイダーの規模などに見合った精度の高いブロッキング方式の自主的な導入を促進するための環境整備の一環といたしまして、平成二十三年度から平成二十五年度までの三年間、実装に適したシステムの開発でございますとか、その実証を実施してきたところでございます。
この実証実験においては、各種のブロッキング方式について実施をし、そのブロッキングの精度の高い方式などについても、ネットワークへの過大な負荷を与えることなく、かつ、複数のプロバイダーでシステムを共同利用することなどにより、比較的低廉なコストで導入することが可能であることなどが確認されたところでありまして、こういった成果を踏まえて、ブロッキングの普及推進を今進めておるというところでございます。
○椎名委員
ありがとうございます。
本法ができて、「十分な配慮」というのがこの三条一項に入るので、ぜひ予算を含めて総務省の方でも頑張っていただきたいというふうに思います。
警察庁の参考人にもいらっしゃっていただいているので、もう一点、伺いたいと思います。
先ほど来、ふくだ先生もおっしゃっていますが、やはり削除は非常に重要だというふうに思っています。
しかし、削除というのは、結局、一個一個検索をし、ファイルを探して削除していくというかなり大変な労力だというふうに思っています。
そういう意味で、やはり警察という組織の中で、インターネットの中で専門にサーチをし、取り締まりをする、そういう部隊をそろそろつくっていくということも考えなきゃいけないと思うんですけれども、今の現状として、インターネット専属で取り締まりを行ったりとかサーチをするという能力がどのくらいあるのか、教えていただければというふうに思います。
○宮城政府参考人
お答え申し上げます。
警察では、今ございました児童ポルノ事犯のサイバーパトロール用の専用の端末を全国に整備してございます。
これによりまして、国内サーバー上のウエブサイトにつきましては、取り締まりに加えまして、ブロッキング効果によりまして、これは相当程度減少してきているだろう、このような認識でございます。
ただ一方、御指摘のように、事業者のブロッキングを回避いたしましたり、そういった形で児童ポルノ事犯を敢行する例もあることは事実でございます。
そこで、こうした状況に対処するために、平成二十四年、おととしでございますが、捜査の過程で、いわゆる事業者がブロッキングを逃れるためにIPアドレスを数字で直接打ち込む方法、これをIP直打ちといいます、これを客に教示する例、これを解明して検挙したということで、この手口は少し減ってきておるということでございます。
ただ、近年問題になってございますのは、こうしたブロッキングによる対策が非常に困難であるファイル共有ソフト、これによる事犯というのが広まっております。
現在は、これに向けて重点的な取り締まりを行っておりまして、その結果、最近五年間の送致件数は、最近数年を申し上げますと、平成二十五年中にファイル共有ソフトを用いました児童ポルノ事犯については五百七件、平成二十四年には五百十九件、平成二十三年には三百六十八件、このような形でファイル共有ソフトを用いました児童ポルノ違反を検挙しているところでございます。
今後とも、さまざまな手口が出てまいります。
そういったものにつきまして、情報分析の上、効果的な取り組みを進めてまいりたい、こういうふうに考えてございます。
○椎名委員
ありがとうございます。
さらに、総務省にもう一点伺いたいと思います。
先ほどふくだ先生からも御説明がありましたけれども、削除というのは、IHCからプロバイダーに対して削除要請をし、そしてプロバイダーが削除をするということになります。
プロバイダーが削除をするとすると、過度に削除をしたりとかすることもあり得るかなというふうに思って、かえって、表現者から、表現の自由を侵したんじゃないかということで訴えられる可能性もあるんだろうというふうに思っています。
そういった場合に、民事上の責任を免責するかどうかという議論がやはりあってしかるべきなのかなというふうに思っていますけれども、そのあたりの検討状況について伺えればというふうに思います。
○安藤政府参考人
お答え申し上げます。
インターネット上に流通する児童ポルノ画像により、名誉あるいはプライバシーなどの権利を侵害されたとする者からプロバイダーなどに対して画像の削除の申し出があった場合には、一点目といたしまして、削除したときには画像の投稿者の方から、それから、逆に、削除しなかった場合には名誉等の権利を侵害されたとする者から、それぞれ、プロバイダーなどが損害賠償責任を問われる可能性、まさに、委員のおっしゃるとおり、可能性があるところでございます。
こうした状況に対応するため、現行、プロバイダー責任制限法というのがございまして、この中において、他人の権利が不当に侵害されたと認めるに足りる相当の理由がある場合には、その画像を当該プロバイダー等が直ちに削除したとしても、プロバイダーは、損害賠償の責任を免れる旨の規定をしておるところでございます。
また、プロバイダーなどが画像の投稿者に対して、削除することに同意するかどうか、要するに、削除依頼の要請があったときに、その投稿者の方に削除することについて同意するかどうか照会いたしまして、投稿者が照会を受けた日から七日を経過してもこれに同意しない旨の申し出をしなかった場合には、削除の申し出がなされた画像を削除したとしても、当該プロバイダーは損害賠償責任を免れる旨の規定を用意させていただいているということでございます。
○椎名委員
ありがとうございます。
こういった形で重層的に対応していくことで、被害を受けている児童の方々を守り、かつインターネット事業者に過度な負担も与えず、それで流通を削減していくという対応をしていかなければならないなというふうに思っております。