警察庁の人も「性欲を興奮させ又は刺激するもの」の判断基準は一般人だというのです。判例は違うんですけど。
児童ポルノとされる描写された児童の姿態
法第二条第三項各号において、どのような姿態が描写されているものが児童ポルノに当たるのか規定されている第二号及び第三号には、「性欲を興奮させ又は刺激するもの」という限定が付されているが、これは、例えば、第二号又は第三号に当たるような姿態を写しているものであるが、児童に対する治療状況を表現する医学図書といったものは、児童ポルノに当たらないということを明らかにするためのものである。
「性欲を興奮させ又は刺激するもの」の意味について、法制定の際の法案提出者は、「二号、三号につきまして、二疋の児童の姿態を記載してございますけれども、これにつきましては、「性欲を興奮させ又は刺激するもの」、こういう文言を入れてございます。そこで、最高裁判例のわいせつ概念とどこが違うかといいますと、まず、「徒らに」ということはこちらは要求しておりません。つまり、過度にという意味ですけれども、過度であることを要しないということです。それから、「普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの」であるか否かについて、論ずるまでもなく規制すべきものとした趣旨でございます。このため、児童ポルノのほうにつきましては、刑法のわいせつに該当しないものも含みうることになります。」「「性欲を興奮させ又は刺激する」、この構成要件につきまして、誰の性欲をというご質問でございますけれども、通常、構成要件に規定して一般通常人というものを基準としております。」旨の説明を行っている
また、裁判例においては、平成二一年、京都地方裁判所が「児童の権利を保護することの重要性にかんがみて、児童ポルノ法は、刑法におけるわいせつの定義、すなわち、「徒に性欲を興奮又は刺激せしめ、かっ、普通人の正常な性的基恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの」という最高裁判所の判例(最高裁昭和三一二年三月二二日大法廷判決参照)によって確立されている定義とは異なった観点から児童ポルノの範囲を定め、性欲を興奮又は刺激せしめる点は必要であるが、しかし、「徒に」興奮又は刺激しなくても処罰の対象とし(この点で刑法よりも規制対象を拡大しているといえる。)、また、禁止される行為の範囲も業としての貸与、頒布等の目的での製造等にまで広げ、囲内外を問わず処罰することとしたのである(同七条参照)。そうだとすると、問題となっている写真、ビデオテープ等が、ことさらに扇情的な表現方法であったり、過度に性的感情を刺激するような内容のものである場合に限るなど、特別な限定をしなくても、性欲を興奮させ又は刺激するものと認められる以上は、三号児童ポルノに該当すると解すべきであるo」「性欲を興奮させ、又は刺激するものであるか否かの判断は、児童の姿態に過敏に性的に反応する者を基準として判断したのではあまりにも処罰範囲が拡大してしまうことから、・・・児童ポルノの定義から最高裁判所判例の掲げる「普通人の正常な性的基恥心を害し」という要件が割愛されているとしても、法の一般原則からして、その名宛人としての「普通人」又は「一般人」を基準として判断するのが相当である。」との判断を示している。
法の運用に当たっては、これらの解釈を前提として、小児性愛者ではなく一般通常人を基準として、児童のポーズ、着衣の状況等を踏まえ、児童ポルノに該当するか否かを総合的に検討することとなる。