児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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準強姦未遂で無罪(神戸地裁H25.11.21)

 被告人は72歳で、被害者は80代

無罪判決:準強姦未遂事件 「睡眠剤心神喪失」−−神戸地裁
2013.11.22 毎日新聞
 兵庫県内の病院に入院していた認知症の80代女性を暴行しようとしたとして準強姦(ごうかん)未遂罪に問われた入院患者だった神戸市内の男性(72)に対し神戸地裁は21日、無罪(求刑・懲役3年)を言い渡した。丸田顕裁判長は、事件の約7時間前に病院の処方で服用した睡眠導入剤の副作用による精神障害の可能性を指摘し、「心神喪失状態だった可能性が合理的に否定できない」と理由を述べた。弁護側によると、睡眠導入剤の副作用で責任能力が否定されるのは珍しい。

 男性は心不全などで入院していた2012年3月31日未明、病院内で女性の衣服を脱がし乱暴しようとしたとして起訴された。

 公判で、男性は事件について「当時の記憶がない」と述べ、弁護側は心神喪失による無罪を主張していた。

 判決は、事件直後の男性の不可解な発言や行動などから、副作用で精神障害があったとする精神鑑定結果を「尊重に値する」と判断。男性の行動について「(服を脱がすよう頼まれたなど)妄想のような誤認や曲解があった」とした。

 丸田裁判長は判決言い渡し後、「争点の睡眠導入剤は刑事裁判であまり扱われたことがなく、医学的にも未知の分野。1年8カ月の身柄拘束で気の毒なことをした」と述べた。

 判決後に記者会見した弁護側は「副作用例として意識し、投与する側は十分なケアをしてほしい」と訴えた。

 この睡眠導入剤ゾルピデム酒石酸塩(商品名「マイスリー」)で、説明書には「もうろう状態や夢遊症状などが表れることがある。眠るまでの出来事を記憶していないことがある」などの警告が添付されており、高齢者は副作用が発現しやすいとも記されている。

 製造販売元の「アステラス製薬」(東京都)は「判決の詳細が分からないのでコメントできない」としている。