児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・不同意性交・不同意わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録・性的姿態撮影罪弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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升田雅己「内妻の連れ子に対する性的虐待事案の捜査について」捜査研究751号

 児童淫行罪に詳しくない検事がイロハのイから学習して立件したことがわかります。詳しい検事が居ないんですね。

内妻の連れ子に対する性的虐待事案の捜査について
東京地方検察庁検事升田雅己
第1 はじめに
今回ご紹介する事案は,被疑者が,内妻の連れ子である被害児童(被害当時17歳)に対して,その陰部に指を挿入するなどの行為を繰り返していた児童福祉法違反事案及び被害児童からそのような行為をやめるように懇願されたことに腹を立て被害児童を殴打するなどした暴行事案である。
本件は,被疑者が被害児童に対して約1年1か月間にわたって性的虐待を繰り返していた事案であったが強姦罪や強制わいせつ罪等といった聞き慣れた罪名のみならず,複数の法律構成を検討しそれに沿った捜査を進めたことで,公判請求することができ,適切な量刑を獲得することができたため,今回ご紹介する次第である。
なお,本稿中意見にわたる部分は私見である。

第2 事案の概要及び発覚の経緯
被疑者は,本件が発覚した6年前頃.被害児童の母親と交際するようになり,その約1年後頃からは,被害児童の母親宅で同人及び被害児童と同居するようになった。
そして,その中で,被疑者は,被害児童の様子を観察し,悩み事や相談に乗ってやったり,買い物や食事に連れて行ったりするだけでなく,必要な場合には,被害児童をしかるなどして,次第に被害児童の父親のような存在となっていった。
しかし,被疑者は,本件発覚の1年前頃,被害児童が携帯メールを使って知人男性に自身の陰部の写真を送ったことを知ったことで,被害児童に「風俗店で働いているのではないか? 処女かどうか確認させて。」などと言って迫り,当時17歳であった被害児童の陰部に指を挿入して動かすなと、のわいせつ行為を行った。
その後,被疑者は,約1年1か月間にわたって,おおむね週1回の頻度で,被害児童に対し同様のわいせつ行為を繰り返した。
また,被疑者は,被害児童が18歳になった以降も同様のわいせつ行為を繰り返していたが,被害児童からこのようなわいせつ行為をやめるよう懇願されたことに腹を立て,被害児童に対して罵声を浴びせながら,その頭部を平手及び拳骨で数回殴打しその頭髪をつかんで引っ張るなどの暴行を加えた。さらに,その後も被疑者は被害児童に対して同様のわいせつ行為を繰り返していたが,被害児童の母親が旅行に出かけており,自宅に被疑者と被害児童の2人きりになった隙をついて被害児童との性交に及んだ。
そして,その翌日にも被疑者が被害児童に対して性交に応じるよう強要したため,被害児童が交際相手に相談し.被害申告に至った。
なお,被害児童の母親は,一連の犯行に気がついておらず,被害申告後に本件の全容を知ったものである。

第3 捜査経緯
被害児童は,前記性交について被疑者から強姦されたものとして警察官に届け出たが,警察官は,その態様からすると強姦罪又は準強姦罪の成立には疑義があると考え,とりあえず,前記暴行の事実で被疑者を逮捕して送致してきた。
そこで,暴行の事実で逮捕勾留している聞に,前記性交及び同わいせつ行為についてどのような法律構成が考えられるかわいせつ行為について犯行日が特定できるかといったことについて早急に検討する必要が生じた。

第9 まとめ
本件は,被害児童が警察官に被害を届け出たことで,緊急を要すると判断した警察官が被疑者を暴行罪で逮捕し送致したことから始まったものであるが,その後,担当警察官と協議し,被疑者に適切な量刑を得るために最善の法律構成を考えた上で,捜査を実施した。
また,強姦罪や強制わいせつ罪といった一般人にも聞き慣れた罪名ではなに児童福祉法違反で被疑者を立件するに当たっては,被害児童及びその母親に対して丁寧な説明を行い,納得を得られたことで,被害児童及びその母親からも十分な協力を得ることができた。
(ますだまさき)