夏井先生がお怒りです。
http://cyberlaw.cocolog-nifty.com/blog/2013/08/post-5815.html
『逐条不正アクセス行為の禁止等に関する法律第2版』(立花書房)の誤り
幾つかの重大な誤りがあることを発見した。
これに無条件で依拠して法解釈をしないほうが良い。ただし,批判的に読むことのできる者については,資料的な価値はある。
例えば,60頁の注5の記載を読んで,「日本の警察は何と馬鹿なことを言うんだ!」と激怒しないクレジットカード会社は一社もないだろう。一体,そのような記載のある利用約款が存在するのかどうかを含め,利用実態に関する事実関係をちゃんと調べた上で書いたのだろうか?
そして,もしここに書いてあることが正しいとすれば,他の非常に多数の法令の解釈に重大な悪影響を及ぼすことになる。
この部分を書いた者については,厳重な処分がなされるべきだと考える。
これらの誤りについては,自主的に回収・訂正がなされない限り,後日刊行する新論文で全部指摘し,是正を求める予定だ。
逐条 不正アクセス行為の禁止等に関する法律 第2版(2012年)
p60
イ一方、インターネット・ショッピングを利用した場合の商品購入代金支払い方法については、代金引換郵便によるもの、クレジットカードを利用した支払いによるもの、銀行口座からの振込みによるものがある。インターネット上での電子決済システムにおいては、仮想店舗のシステムを通じてクレジットカード会社や銀行等のシステムに支払い指示に関する情報が送信されることとなる。第三者が他人になりすまして支払い指示に関する情報を送信すると商取引上重大な問題が生ずることから、これらのシステムは何らかの形で商品購入者の識別符号等を用いた識別により利用の制限がなされるべきものである(注5)。(注5) クレジットカード番号及び有効期限のような秘密ではない情報のみを用いて電子商取引を行うシステムもなくはないが、このようなシステムは、他人によるなりすましを防止することができず、システム的に問題があると言わざるを得ない。
逐条解説不正アクセス行為の禁止等に関する法律(初版)
p62
イ一方、これまでのところ、インターネット・ショッビングを利用した場合の商品購入代金支払い方法については、代金引換郵便によるもの、クレジットカードを利別した支払いによるものが多いが、今後は銀行口座からの即時引落し決済も行われるようになってくるものと推測される
インターネット上での電子決済システムにおいては、仮想店舗のシステムを通じてクレジットカード会社や銀行等のシステムに支払い指示に関する情報が送信されることとなるり第三者が他人になりすまして支払い指示に関する情報を送信すると商取引上重大な問題が生ずることから、これらのシステムは何らかの形で商品購入者の識別符号等を用いた識別により利用の制限がなされるべきものである(注五)。(注五)
クレジットカード番号(場合によってはこれにカードの有効期限を加えたもの)のような秘密ではない情報のみを用いて電子商取引を行うシステムもなくはないが、このようなシステムは、他人によるなりすましを防止することができず、システム的に問題があると言わざるを得ない