児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

差し戻し審、男に有罪=知的障害女性がわいせつ被害−宮崎

判例集ではわいせつ誘拐が出ていますが

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110621-00000077-jij-soci
犯人の処罰を求める告訴の利害得失を理解する告訴能力について、差し戻し前の宮崎地裁延岡支部は2009年9月、被害者は告訴を理解できておらず起訴は無効として、公訴を棄却した。
 検察側が控訴し、福岡高裁宮崎支部は昨年12月、女性の告訴能力を認めて一審判決を破棄し、審理を宮崎地裁に差し戻していた

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110621-00000082-mai-soci
被告は1、2審で「女性との間で合意があった」と起訴内容を否認したが、女
性に告訴能力があることを前提に進められた差し戻し審では一転、全面的に認
めた。
 判決は「被害女性は一貫して無理やりわいせつな行為をされたと供述してい
る。客観的状況に照らし、抵抗することは困難だった」と指摘。そのうえで
「女性が感じた恐怖感、嫌悪感は重大で、刑事責任は重く、実刑の選択も十分
考慮されるべきだ」と述べた。一方で、事件後に被告が勤務先を懲戒解雇され
るなど一定の社会的制裁を受けたことなどを挙げ、長期の執行猶予を付ける一
方で実刑の言い渡しを見送った。
 判決後、被害女性の父親は「長くつらかったが、やっと事実が認められた。
知的障害者であることを理由に訴えをまた否定されないか心配だったが、少し
は娘のことが分かってもらえたと思う」とほっとした様子だった。
 判決によると、被告は09年2月11日、被害女性に「家まで送る」と声を
かけて車に乗せ、山中に連れ出して体を触るなどのわいせつな行為をした。
 1審の宮崎地裁延岡支部判決(09年9月)は被害女性が裁判所での証人尋
問の際、告訴状と供述調書の違いを説明できなかったことなどを挙げて女性の
告訴能力を否定。検察官の起訴を無効とした。これに対し、福岡高裁宮崎支部
は昨年12月、女性を鑑定した医師の証言などを根拠に告訴能力を認め、1審
判決を破棄して審理を差し戻していた

判例秘書と判決速報に出ています。
もっと詳細な判断があります。

福岡高裁宮崎支部h22.12.21
告訴能力とは,自らが犯人の犯罪となるべき行為による被害を受けたという客観的経緯を認識し,これについて被害感情を持ち,犯人に対して公の制裁を望むだけの能力があることが必要であり,かっ,これをもって足りるというべきである。なお,親告罪は,被害者の保護のために告訴に伴う被害者の社会的負担を考慮し,公訴提起するか否かを被害者の意思にかからせるため,告訴を公訴提起の条件とすることにしたものであるが,そのことは,直ちに親告罪における告訴能力について告訴に伴う被害者の社会的負担に関する十分な検討をするに足るだけの高度の能力を要求することに結ひつくものではなく,又,被害者が,法廷に出頭して,差恥心に耐え,被害状況や被害感情,処罰感情を述べ,処罰を求める意思、を明確にしているのに,告訴に伴う利害得失について検討する能力がないから告訴が無効であるというのは,かえって,本人以外に事実上告訴権者がいなかった事案において,被害者の保護に欠けることになるのであり,そのような高度の能力を必要と考えることは相当ではない。