児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

強姦の際に、強要して撮影した行為は強要罪+3項製造罪か?

 撮影行為は強制わいせつ罪になって、強姦と包括一罪になるはずです。
 さらに、同一児童に対する3項製造罪は包括一罪ですからね、いやだと言ってもかすがいになるんですよ。
 そうやっていくと本件の判示第1〜7は科刑上一罪でしょ。
 裁判所は法令適用を隠しているけど、併合罪になってる。
 それだけで、この判決は破棄されるわけですよ。
 奥村弁護士はそういうことを見ているのに、法令適用が書かれていないのです。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20100406170426.pdf
平成20年(わ)第838号,第1247号
主文
被告人を懲役14年に処する。
未決勾留日数中300日をその刑に算入する。
神戸地方検察庁で保管中の携帯電話(FOMA,F902i,シルバー色)に在中のマイクロSDカード1枚(同庁平成20年領第1336号符号2−2)を没収する。
理由
(罪となるべき事実)

第2(平成20年12月9日付け起訴状記載の公訴事実第1の2関係)
同児童を強要して児童ポルノを製造しようと企て,平成19年5月11日午前10時32分ころから同日午前10時37分ころまでの間,被告人方において,同児童(当時12歳)が18歳に満たない者であることを知りながら,上記のとおり同児童が極度に畏怖しているのに乗じて,別表番号6ないし11のとおり,同児童に対し,「服をまくり上げろ。」などと申し向けて脅迫し,同児童をして,前同様にさらに畏怖させ,よって,同児童をして,その乳房を露出させた姿態,同児童の陰部に被告人の陰茎を挿入している姿態等をとらせ,これを所携の携帯電話機内蔵のデジタルカメラにより撮影し,上記マイクロSDカードに画像データ6ファイルを保存して記録し,もって,同児童に義務なきことを行わせるととともに,児童ポルノを製造した,
第3(平成20年8月8日付け起訴状記載の公訴事実関係)
同児童を強姦しようと企て,平成19年5月11日,被告人方において,同児童(当時12歳)が13歳未満であることを知りながら,上記のとおり児童が極度に畏怖しているのに乗じて,着衣を脱ぐよう申し向けて脅迫し,その反抗を抑圧した上,強いて同児童を姦淫した,

第6(平成20年12月9日付け起訴状記載の公訴事実第1の5関係)
同児童を強要して児童ポルノを製造しようと企て,平成19年7月19日午後8時32分ころから同日午後8時33分ころまでの間,被告人方において,同児童(当時13歳)が18歳に満たない者であることを知りながら,上記のとおり同児童が極度に畏怖しているのに乗じて,別表番号26ないし29のとおり,同児童に対し,「なめろ。」などと申し向けて脅迫し,同児童をして,前同様にさらに畏怖させ,よって,同児童に被告人の陰茎をなめたり,咥えたりする姿態等をとらせ,これを所携の携帯電話機内蔵のデジタルカメラにより撮影し,上記マイクロSDカードに画像データ4ファイルを保存して記録し,もって,同児童に義務なきことを行わせるととともに,児童ポルノを製造した,
第7(平成20年12月9日付け起訴状記載の公訴事実第2関係)
同児童を強姦しようと企て,平成19年7月19日午後8時30分ころから同日午後8時50分ころまでの間,被告人方において,同児童(当時13歳)が上記のとおり極度に畏怖しているのに乗じて,同児童に対し,「脱げ。」などと申し向けて脅迫し,その反抗を抑圧した上,強いて同児童を姦淫したものである。
(法令の適用)
省略
(量刑の理由)


これを併合罪にするのはおかしいです。
 20:30ころには判示第7の強姦の手段たる脅迫が始まっているので、その状態で第6の「陰茎をなめたり,咥えたりする姿態等をとらせ,これを所携の携帯電話機内蔵のデジタルカメラにより撮影」するのは、強制わいせつ罪であって、強要+3項製造罪という構成は間違っている。しかも、強姦の際のわいせつ行為は強姦罪の包括評価されるので、第6と第7は強姦罪一罪と評価しなければならない。
 強要+3項製造罪を強制わいせつ罪と主張するのは、一見すると不利益に見えるが、強姦罪と科刑上一罪になるところまで主張すれば有利な主張である。
 さらに、判例によれば各製造罪が包括一罪になって、かすがい現象で、全部まとめて科刑上一罪なりうることを指摘すれば、処断刑期を下げることになって、結構、有効に使える可能性がある。

第6(平成20年12月9日付け起訴状記載の公訴事実第1の5関係)
同児童を強要して児童ポルノを製造しようと企て,平成19年7月19日午後8時32分ころから同日午後8時33分ころまでの間,被告人方において,同児童(当時13歳)が18歳に満たない者であることを知りながら,上記のとおり同児童が極度に畏怖しているのに乗じて,別表番号26ないし29のとおり,同児童に対し,「なめろ。」などと申し向けて脅迫し,同児童をして,前同様にさらに畏怖させ,よって,同児童に被告人の陰茎をなめたり,咥えたりする姿態等をとらせ,これを所携の携帯電話機内蔵のデジタルカメラにより撮影し,上記マイクロSDカードに画像データ4ファイルを保存して記録し,もって,同児童に義務なきことを行わせるととともに,児童ポルノを製造した,

第7(平成20年12月9日付け起訴状記載の公訴事実第2関係)
同児童を強姦しようと企て,平成19年7月19日午後8時30分ころから同日午後8時50分ころまでの間,被告人方において,同児童(当時13歳)が上記のとおり極度に畏怖しているのに乗じて,同児童に対し,「脱げ。」などと申し向けて脅迫し,その反抗を抑圧した上,強いて同児童を姦淫したものである。