児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

提供・陳列時に児童が死亡していても罪の成否に影響ない(大阪高裁H21.9.2)

 外国の古いやつとかになると、被害児童は死んでるかもしれません。
 犯行時に児童が死んでてもいいという「福祉犯」なんてありませんよね。

阪高裁平成21年9月2日
弁護人は,本件犯行時に児童が生存して実在していることが必要である旨主張するが,児童ポルノ法が児童ポルノを規制の対象とするのは,それが児童を性の対象とする風潮を助長することになるのみならず,描写の対象となった児童の人権を侵害するとの考えに基づくものであり,このような立法趣旨にかんがみれば,児童ポルノが作成された時点で対象児童が実在すれば足りるというべきである。そして,関係証拠によれば,本件児童ポルノのもととなった児童ポルノが作成された時点で対象児童が実在したことは明白である。

控訴理由第1 法令適用の誤り〜公然陳列行為時点で児童が生存していることが必要である。
1 はじめに
 児童ポルノ法2条1項の「児童」とは、犯行時に生存して実在している18歳未満の者をいう。
 しかるに、本件の検察官立証では、犯行時の生存・実在が証明されていない。
 にもかかわらず、原判決が本件HDDについて、「児童ポルノ」と認定したことは、生存しない可能性がある児童について「児童」に含まれるとした点において、法令適用の誤りがあるから、原判決は破棄を免れない。